倍関係

倍関係は文章題の思考法の一つで,整数倍,小数倍,分数倍という倍概念と呼ばれるものと区別して使われます。思考法の分類では「要素を結びつけて新しい要素を作り出す」場合に「まとめて考える」方法があり,その内の一つの「(まとめて)何倍になるかを考えること」を倍関係と表現しています。

例えば,上の問題では学校の高さの2倍がデパートの高さで,デパートの高さの3倍がテレビとうの高さであることから,学校とテレビとうの高さの関係を

「2倍の3倍(=6倍)」

としてまとめて考えています。
これはたいへん広がりのある考え方で,第5学年の割合の学習では小数の倍関係,第6学年では分数の割合の倍関係にも同様の考え方が必要になってきます。
指導にあたっては,数量の関係を上記のような関係図に表すことから始めます。

順にもどす思考法を用いて,90÷3=30,30÷2=15としてもよいのですが,「2倍の3倍で6 倍」だから90÷6=15と「新しい関係(この場合は学校とテレビとうとの関係)は何倍になっているか」という考え方があることを理解させます。

この考え方を使うと,先程述べた小数の割合の倍関係や分数の割合の倍関係を考える場合に複雑な計算を一度に済ませることができます。
算数・数学の世界に留まらず,日常でも「まとめて考える」方法はよく使われるため,理解させておくことが大切です。