乗法の筆算とアルゴリズム

アルゴリズムという言葉は,インドからアラビアへ,さらにヨーロッパへと伝わっていった筆算を,アラビアの数学者アル=コワリズムの名にちなんで呼ぶようになったのが始まりです。
今日では,この言葉は広い意味で用いられ,
「同じ種類の計算や問題を解くときに,いつも使うことのできる計算方法や手順」
を,アルゴリズムと呼んでいます。
算数の指導では,計算や問題を一般的に解決できる計算方法や手順を,初めから教師が与えて,そのレールに児童をのせるのは好ましくありません。児童自身にこうしたアルゴリズムをつくらせるようにすることが大切なのです。
例えば,かけ算の筆算の指導では,下の例のように,一の位から順に計算するという手順を見つけさせ,かけ算の筆算のアルゴリズムをまとめるようにするとよいのです。

●かけ算の筆算のアルゴリズム
1.位をそろえてかく→2.一の位にかける→3.十の位にかける→4.あわせてかく

さらに,乗数が2位数のかけ算についても,乗数が1位数のかけ算のアルゴリズムをもとにして考えさせるとよいのです。そして,下の例のように,部分積の位に注意すれば,乗数が1 位数の場合の手順の繰り返しで処理できることを見つけさせるようにするのです。