授業実践記録(化学)
エステルの合成・分解とヨードホルム反応
1.はじめに
脂肪酸とアルコールから,酸を触媒としてエステルが生成される。この中にはフルーツの香りを有するものが多くある。今回はこの身近な香料の成分であるエステルを簡単に合成させる。さらに,合成したエステルをけん化して,脂肪酸のナトリウム塩とアルコールに分解する反応も確認する。いずれの反応においても,においと液相から確認できるので,生徒に好評の実験である。また,特定の構造をもつ物質に対して反応するヨードホルム反応についても,酢酸とエタノールが陽性か陰性か確認する。
2.実験の方法
[必要な器具]
300mLビーカー,試験管,ガラス管付きゴム栓,温度計,試験管ばさみ,駒込ピペット,保護メガネ,三脚,セラミック付金網,マッチ
実験1 酢酸エチルの合成
〔準備〕 | エタノール,酢酸,濃硫酸 | |
〔方法〕 |
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写真1 湯浴中で加熱 (直火で行わない) |
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写真2 純水を入れると2層に分かれる | ||
〔考察〕 |
(4)のにおいと状態について
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実験2 酢酸エチルの加水分解(けん化)
〔準備〕 | 実験1で合成した酢酸エチル,5mol/L水酸化ナトリウム水溶液,6mol/L硫酸 |
〔方法〕 |
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〔考察〕 |
(3)と(4)のにおいについて
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実験3 ヨードホルム反応の実験
〔準備〕 |
エタノール,酢酸,実験1で合成した酢酸エチル ヨウ素ヨウ化カリウム水溶液,5mol/L水酸化ナトリウム水溶液 |
〔方法〕 |
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〔考察〕 |
(4)のときのエタノール,酢酸,酢酸エチルの試験管内の変化について
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写真3 ヨードホルム反応の様子 左:酢酸 右:エタノール(合成した酢酸エチルも同様の反応を示す) |
3.指導上の留意点
- ★すべての実験は50分もあれば終わるが,ヨウ素ヨウ化カリウム水溶液はあらかじめ作っておくと良い。なお,溶液を作るときに指につくと黄色くなり取れにくくなるので注意が必要。
- ★温度は多少高くても問題ない。高くなり過ぎないように注意する。
- ★喚起に注意する必要がある。
- ★エタノールなどの可燃性のもの,強塩基,強酸の取り扱いにも注意が必要である。
- ★実験の一通りの反応については,先に学習してから行っており,実験を行うことで理解を深めている。
4.生徒の様子,感想など
- ○エステルの合成,分解反応は,液相の様子や,においからわかることと,失敗もほとんどないので,全班楽しめたように思う。
- ○ヨードホルム反応は,エタノールの反応が鋭敏で,水酸化ナトリウム水溶液を1滴ずつ垂らすたびに黄色に着色されるのでわかりやすいが,ヨードホルムのにおいはわかりにくいように感じる。
- ○一部のクラスでは,酢酸と1-ペンタノールでエステルを合成する実験も行った(酢酸エチルを合成する実験とほぼ同じ方法)。こちらの方が香りも良く,生徒には好評であった。
- ○盛りだくさんの内容であり,エステルの合成と分解だけでも良いかもしれない。
5.参考文献
○原色図解 理科実験大事典 化学編 (全教図)