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生活

自分や家族の笑顔を増やす活動を通して家庭生活の充実を図る

大田区立中富小学校 中水 なつみ

1.はじめに

本単元は,自分と自分を育ててくれる家族を対象とする単元である。自分や家族の「にこにこ」を増やす活動を通して,規則正しい生活が必要なことや家庭での生活は互いに支え合っていることに気付き,家庭生活における自分のこと,自分でできることなどについて考え,家族への感謝の思いをもち,自分の役割をすすんで果たそうとする態度の育成を目指している。
    本実践では,まず自分の気付いたことを発表する時間と場を十分に設け,自分の思いや願いを大切にした活動を取り入れる。そして,その後,話し合う場を設け,互いのよさを認め,受け入れる姿勢や態度を育てるとともに,一人一人の気付きの質を高めていくようにする。ということを大切にしながら行った。

2.単元について

(1) 単元名

「みんなの にこにこ だいさくせん」

(2) 単元目標

「にこにこ」だいさくせんの計画をたて,実践し交流する活動を通して,家庭での生活は互いに支え合っていることが分かり,家族の笑顔が増えるようにすすんで取り組んだり,健康に気を付けて生活したりしようとする。

(3) 生活科の内容

【『小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 生活編』第3章 生活科の内容 第2節 生活科の内容】

(2)家庭生活に関わる活動を通して,家庭における家族のことや自分でできることなどについて考えることができ,家庭での生活は互いに支え合っていることが分かり,自分の役割を積極的に果たしたりし,規則正しく健康に気を付けて生活したりしようとする。

(4) 単元設定の理由

本単元は,自分と自分を育ててくれる家族を対象とする。自分や家族の「にこにこ」を増やす活動を通して,規則正しい生活が必要なことや家庭での生活は互いに支え合っていることに気付かせたい。また,家族にしてもらっていることを振り返り,家庭生活における自分のこと,自分でできることなどについて考え,家族への感謝の思いをもち,自分の役割をすすんで果たそうとする態度の育成を目指している。
    また,本単元は,笑顔を表す言葉「にこにこ」をキーワードに学習を構成する。第1次では,学校や家で「にこにこ」する時の自分を思い起こし,「にこにこ」が増えるとうれしいことに気付くことができるようにする。そこから,家族の「にこにこ」について考える。第2次では,家族の「にこにこ」を増やすために自分にできることを見つけ,計画をたて,実際に家庭で実践した後に報告会をする。計画をたてる際には,「にこにこだいさくせん」を,「①自分のことを自分でする,②家のお仕事や当番,③家族を楽しませる」の3種類に分類する。第3次では,活動を振り返り,家族のよさに気付き感謝の気持ちを表現したり,自分が家庭の中でできるようになったことに気付いたりすることができるようにする。そして,自分自身の成長に気付くとともに,今後の生活についても考え,家族の一員としての自覚をもって生活することができるようにする。

(5) 研究主題に迫るための手だて

学習対象にすすんで関わるための手だて
  • (ア) 生活の中での事象と出会い,思いや願いをもてるようにする
  • (イ) 児童の多様な思いや願いを生かした活動の工夫
  • (ウ) 児童が,自分自身の成長に気付くことができるようにする
共に学ぶための手だて
  • (エ) 環境構成を工夫する
  • (オ) 気付きを共有する場を工夫する

(6) 指導計画(11時間扱い)

●主な学習活動
・予想される児童の姿
◎目標とする姿

◇手だて…

(1)すすんで関わるための手だて
(2)ともに学ぶための手だて

評価 (評価方法)
■他教科との関連

1 「にこにこ」をみつけよう。

●運動会の写真や家からもってきた写真を見て自分が「にこにこ」している時を思い起こす。

  • 楽しい時や嬉しい時に「にこにこ」している。
  • 「にこにこ」たんていになって,家族の「にこにこ」を見つけてこよう。

◎自分がどんな時にどうして「にこにこ」しているのかに気付き,「にこにこ」のよさを実感するとともに,家族の「にこにこ」に目を向ける。

◇保護者に協力を呼びかけ,運動会の昼食中の写真や競技中の写真を撮っておいて,思い出しのヒントとなるようにする。…(1)

◇写真を4人グループで共有し,感想や気付いたことを伝え合うことで,自分がどんな時に「にこにこ」しているかに気付くことができるようにする。…(2)

◇運動会の写真を見せ,家族の「にこにこ」に視点を向ける。…(2)

2 「にこにこ」たんていの報告会をしよう。

●家族の「にこにこ」に目を向け,家族が「にこにこ」するのはどんな時か報告し合い,分類をする。

  • お母さんは,僕が頑張っている時に「にこにこ」するよ。
  • 「にこにこ」には種類があるね。

【①自分のこと②家のこと・おせわ③楽しませる】

◎家族の「にこにこ」に自分が関わっていることに気付き,家族の「にこにこ」をもっと増やそうとういう意欲をもつ。

◇グループでにこにこカードを共有し,コメントを書き「やってみたい」「自分もできそう」と思った友達のカードを発表するようにする。…(2)

◇にこにこカードを分類することで,次時の計画に繋がるようにする。…(1)

◇次時の導入がスムーズになるように,児童の気付きを整理して板書に残す。…(1)

■道徳「かやねずみの おかあさん」

3 もっと「にこにこ」をふやしたいな。
~「にこにこ」だいさくせんの計画をたてよう~

●「にこにこ」を増やすための計画をたて,実践するための話し合いをする。

  • ①の自分のことを自分ですることは,すぐにでもできそう。
  • ぼくは,家族の「にこにこ」を増やすために,朝一人で起きるようにする。

◎自分のことが自分でできるようになることも家族の大きな喜びであることに気付く。

◇児童の気付きや発案を整理して板書に残すことで,計画をたてやすいようにする。…(1)

◇児童がたてた計画を継続して実践できるようにするために,シールを貼って毎日の経過を記録するようにする。…(1)

■国語「しらせたいな,見せたいな」

4 「にこにこ」だいさくせんパート①の報告会をしよう。

●「にこにこ」だいさくせんパート①をしてみて,気が付いたことや効果を報告し,友達と共有し合う。

  • ○○さんのこの作戦大成功だね!(いいね)
  • ぼくも,これやってみようかな。

◎報告会を通して,自分のことが自分でできるようになることも家族の大きな喜びであることに改めて気付く。

◇お店屋さんの形式で報告会をし,友達の報告を聞いたら「いいね」のシールを貼るようにする。…(2)

5 「にこにこ」だいさくせんパート②の計画をたてよう。

●「にこにこ」だいさくせんパート②の計画をたて,実践するための話し合いをする。

  • 家族の「にこにこ」をもっと増やすために,次はぼくにもできる家のことをやってみよう。
  • わたしは家族みんなのくつならべなら,頑張って続けられそう。
  • またみんなで1週間続けてみよう。

◎自分も家族の一員として役にたちたいと思い,自分にできることを探して行おうとする意欲をもつ。

◇児童がたてた計画を継続して実践できるようにするために,シールを貼って毎日の経過を記録するようにする。…(1)

6 「にこにこ」だいさくせんパート②の報告会をしよう。

●「にこにこ」だいさくせんパート②をしてみて,気が付いたことや効果を報告し,友達と共有し合う。

  • わたしが考えたお手伝いをしたら,家族みんなが「にこにこ」してくれた。
  • 「にこにこ」ゲットできてよかったね。
  • ○○さんのそのお手伝いいいね。

◎自分も家族の一員として,家族の役にたつことができるということに気付く。

◇飽きないようにお店屋さんの形式で報告会をし,友達の報告を聞いたら「いいね」のシールを貼るようにする。…(2)

◇グループで振り返りを共有し,「家族のためにこれからも続けていこう」という気持ちを高めるようにする。…(2)

7 「にこにこ」だいさくせんパート③の計画をたてよう。

●「にこにこ」だいさくせんパート③の計画をたて,実践するための話し合いをする。

  • 「にこにこ」見つけのプロになって,家族が楽しめるようなことを見つけたい。
  • 「あっちむいてほい」をすると妹は「にこにこ」するかもしれない。
  • 家族でじゃんけん大会をするとみんなが「にこにこ」するかもしれない。

◎家族の一員として,家族を楽しませようと思い,自分にできることを探して行おうとする意欲をもつ。

◇児童の気付きや発案を整理して板書に残すことで,計画をたてやすいようにする。…(1)

◇楽しいことを考えるために参考の資料や絵本を用意し,楽しませるための計画をたてやすいようにする。…(1)

8(本時) 「にこにこ」だいさくせんパート③のやってみよう会をしよう。

●前時でたてた計画を実践する前に,友達とやってみよう会をし,実践への見通しをもつ。

  • ○○さんのだいさくせんは,お母さんが喜びそうだね。
  • お手紙をもらうとすごく嬉しい気持ちになるね。

◎家族の一員として,家族を楽しませようと思い,自分にできるこを探して行おうとする意欲をもつ。

◇3人1グループになり,実践(5分),付箋にコメントを書く(2分)×3にすることで,活動内容をパターン化させる。…(2)

◇コメントを書き合うことで自己肯定感が高まり,活動への意欲が高まるようにする。…(1)

9 「にこにこ」だいさくせんパート③の報告会をしよう。

●「にこにこ」だいさくせんパート③をしてみて,気が付いたことや効果を報告し,友達と共有し合う。

  • 一緒にキャッチボールをしたら,お兄ちゃんは「にこにこ」したよ。
  • ○○ちゃんが考えた遊びをしたら,家族みんなが「にこにこ」したよ。
  • この遊び大成功だね。

◎自分は家族の一員として,家族を楽しませることができるということに気付く。

◇飽きないようにお店屋さんの形式で報告会をし,友達の報告を聞いたら「いいね」のシールを貼るようにする。…(2)

◇グループで振り返りを共有し,「家族のためにこれからも続けていこう」という気持ちを高めるようにする。…(2)

10

11
「にこにこ」だいさくせん大成功の賞状を書こう。

●今までの実践を振り返り,自分で自分に「にこにこいっぱい賞」を書き,自分の成長に気付く。

  • 「にこにこ」をたくさんゲットして,「にこにこ」だいさくせん大成功したね。

◎これまでの活動を振り返り,家庭での自分の役割や,自分でできること,健康に過ごすことの大切さを実感する。

◇振り返りを通して,単元前との自分の成長にも気付くことができるようにする。…(1)

◇してみて楽しかったことや,これからもっとしてみたいことなどの思いを自由に伝え合う場を設定する。…(2)

(7)本時の指導(8/11時間)
〇本時の目標
前時でたてた計画を実践するために,友達と「やってみよう会」をして,家庭で実践する意欲をもつことができる。
〇本時の展開

児童の活動・予想される児童の思いや願い・気付き

◇手だて…

(1)すすんで関わるための手だて
(2)ともに学ぶための手だて

□指導上の留意点 ☆評価(方法)

1  前時までの活動を振り返り,今日の見通しをもつ。

  • 「にこにこ」だいさくせんパート③「一緒に楽しむ」の計画を振り返る。

「にこにこ」だいさくせんパート③のおためし会をしよう。

◇前時に考えた「家族を楽しませる計画」を紹介し,本時の見通しをもてるようにする。…(1)

□前時の終わりに考えた本時のめあてを掲示し,見通しをもたせる。

2  グループで「やってみよう会」をする。

  • ①プログラムの説明をする。
  • ②やって見せる。
  • ③コメントをもらう。

C:○○さんの計画の○○ゲームは,妹が喜びそうだね。
すごく楽しそう。

C:おりがみの折り方を教えるのが上手だね。

C:お手紙を読むとお母さんが喜ぶと思うよ。

C:家族でじゃんけん大会をするとみんなが「にこにこ」するかもしれないね。

◇3人1グループになり,実践(5分),付箋にコメントを書く(2分)×3にすることで,活動内容をパターン化させる。…(2)

□譜面台にプログラムを置くようにさせる。

☆「にこにこ」を増やす計画を試し,実践への意欲をもっている。

3  今日の振り返りをする。

  • 個人の振り返りカードに記入する。
  • 学級全体に発表する。

C:やってみよう会をしてみたから,うまくいきそうだ。

C:はやく「にこにこ」だいさくせんパート③をしたい。

C:みんなに,ぼくが考えた計画を褒められて嬉しい。

◇振り返りを通して,実践への意欲をもつことができるように声をかける。…(1)

(8) ワークシート・学習過程の教室掲示物

ワークシート①:家族の「にこにこ」を見つける

ワークシート②:①で見つけた「にこにこ」の分類分け

ワークシート③:自分の身の回りのことを自分でして,家族の「にこにこ」を増やす計画・報告

ワークシート④:家庭生活の中で自分自身にできるこをして,家族の「にこにこ」を増やす計画・報告

ワークシート⑤: 家族の一員として,家族を楽しませて(団らん),家族の「にこにこ」を増やす計画・報告

掲示物①:みんなの「にこにこ」を見つけよう

掲示物②:家族の「にこにこ」の分類分けをしよう

掲示物③:自分がたてた計画の報告会をしよう

(9) 成果と課題

【成果】

【課題】

【引用・参考文献】
文部科学省(2017)『小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 生活編』