私が生活科の授業で大切にしていることは,「関わる対象・機会の充実」「成長の自覚」「実生活から学びをスタートし,実生活に生かしていく」の3点である。
本実践は,1年生の秋に行った季節の遊びの単元である。また,本校は人権教育推進校として校内研究を行っている。そのため,友達や自分のよいところを授業の中でもたくさん共有し,それが成長につながったり,実生活に生きたりするということを体験として子供たちが自覚できるように手だてを工夫した。
「みんなであそぼう はる なつ あき ふゆ ~あきだいすき~」
○身近な秋の自然に関心をもって関わり,季節の変化に気付くとともに,そこで見付けた自然や身の回りの物を利用して工夫し,友達と楽しく遊ぶことができる。
○遊びを通して,友達や身近な人と関わることのよさや楽しさに気付くことができる。
本単元は,「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 生活編」に定められる目標及び内容をもとに設定した。
(5) 身近な自然を観察したり,季節や地域の行事に関わる活動を通して,四季の変化や季節によって生活の様子が変わることに気付き,自分たちの生活を工夫したり楽しくしたりできるようにする。
(8) 自分たちの生活や地域の出来事を身近な人々と伝え合う活動を通して,身近な人々と関わることの楽しさが分かり,すすんで交流することができるようにする。
ア 生活への関心・意欲・態度 | イ 活動や体験についての思考・表現 | ウ 身近な環境や自分についての気付き |
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単元開始前には,必ず児童にアンケート調査を実施し,手だてに生かしたり,単元の終わりに児童に返すことで成長を実感できるようにしたりしている。今回は,次のような内容で行った。
① あなたは,秋が好きですか。
好き:15人 普通:4人 嫌い:0人
② 秋といえば何を思い浮かべますか。
栗:5人 どんぐり:5人 松ぼっくり:3人 落ち葉:2人 紅葉:2人 ハロウィン:2人
焼き芋:1人 きのこ:1人 モンブラン:1人 柿:1人 (無回答6人)
アンケートの結果から,本学級の児童は,秋という季節について,多くの児童が興味をもっていることが分かった。しかし,秋に関係があるものをはっきりとイメージできていない児童や,秋の季節の遊びを十分に楽しんだことがない児童が多くいることも分かった。
児童の姿を他者との関わりという視点から見ると,1学期の学校探検の学習では,2年生と一緒に学校を巡った後に新たな疑問をもち,もう一度先生に聞きに行ったり,部屋に行って調べようとしたりする意欲的な姿が見られていた。また,認め合うという視点からは,友達の意見を一生懸命聞こうとする児童が多く,目を見て,体を向けて話を聞くことを意識している様子が見られていた。ただ,話の内容について聞くという点では,調べたことや気付いたことの発表で,友達の意見を受けて自分の考えを見直したり,友達の気付きと自分の気付きを関連付けたりすることにはまだ指導上の課題がある。
①目いっぱい秋の遊びに浸らせ,季節の変化や自然の不思議さ,自然物を使った遊びの楽しさに今まで以上に気付かせたい。
②他者(友達や身近な人)と関わる機会を多く取り入れ,よりたくさん自分の考えを伝えたり,自分にはなかった考えを聞いたりすることができるようにする。
関わる対象・機会を多く設定し,児童が遊びを楽しみながら,友達や身近な人々と積極的に関わることができるようにした。また,関わることでさらによいアイディアが生まれたり,より楽しく遊べたりすることを実感できるよう,リハーサルをして意見を交流するという活動を取り入れた。
秋に関しての具体的なイメージをもっていない児童が多いため,秋の自然と触れ合う場所を
①学校のポケットパーク(中庭)→②近所の公園(萩中公園)→③大田区内の公園(平和の森公園)
と順を追って設定し,全員の児童が無理なくスモールステップで気付きを深めていけるように工夫した。
工夫して作った遊びや得た学びを自分たちの中にとどめるだけでなく,今度は自分たちがあきまつりとして保育園児に伝えることで,世代を超えて発信できるようにした。
中庭で秋探し①
中庭で秋探し②
保育園児との交流①
保育園児との交流②
保育園児との交流③
保育園児との交流④
保育園児との交流⑤
生活科の授業の流れを毎時間統一し,「今日の時間にやりたいこと(やること)→発見したこと(よかったところ・もっとこうしたらよいと思ったこと等)→次の時間にやりたいこと(やるべきこと)」というサイクルで,児童が見通しをもって活動できるようにした。
授業の導入(やりたいことの共有)
見通しをもつ・示す
班での話し合い①
班での話し合い②
ステップアップシートの記入
他の班のお店で交流
児童の記述内容
班での振り返り
全体での振り返り
(発見・アドバイス等)
オープンスペースに「あき ひろば」を作り,秋に関する本や材料・作成途中の物等を置いて,児童の発想が豊かになるよう工夫した。また,学習の軌跡や単元のゴールイメージがもてるよう,写真等を常掲した。
あきひろば①(本・道具)
あきひろば②(作成物)
あきひろば③(作成物)
学習の軌跡①(ゴールイメージ等)
学習の軌跡②(学習方法の写真等)
時 | ねらい | ○主な学習活動・児童の反応 | *留意点等 ◇評価 |
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0 |
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1 | 草花や木の実等の身近な自然と関わり,季節の変化に気付き,秋の自然への興味・関心を高めることができる。 | あきをさがしにいこう |
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○身の回りや通学路で見たり聞いたりした秋の兆しを出し合い,話し合う。ポケットパークで遊び,秋の物を探す。
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2 |
○秋を探しに公園へ行く計画を立てる。
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秋の公園で自然と関わり,体全体で秋を実感することができる。 | あきのあそびばにいこう① |
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○近くの公園で秋を探して遊ぶ。
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5 | 見付けた秋を紹介したり,秋の物を使って遊びを考えたりすることができる。 | あきとあそぼう |
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○見付けた秋について紹介し合い,したい遊びをする。
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秋の自然や身近な物の形や特徴を生かして遊ぶことができる。 | あきのものでつくってあそぼう |
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○秋の自然や身近な物等を使って,飾りや遊ぶものを作って遊ぶ。
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秋の公園で自然と関わり,体全体で秋を実感することができる。 | あきのあそびばにいこう② |
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○平和の森公園へ出かけ,自然と関わる遊びをする。
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10 11 12 13 14 |
したいことを見付け,身近な自然・物を使った遊びや遊び方を工夫することができる。 | みんなであそぼう「あきまつり」 |
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○「あきまつり」の計画を立てる。
○秋の自然や身近な物等を使って,飾りや遊ぶ物を作って遊ぶ。
○より楽しい「あきまつり」にするためにどんな工夫ができるかを考える。
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15 16 |
○作ったもので実際に遊んだり,よりよい遊びにするために工夫したりする。(リハーサルを含む)
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秋の自然物等を使って,工夫しながら,友達や保育園児に等とその楽しさを共有することができる。 |
○「あきまつり」を開き,友達や保育園児等に秋の遊びの楽しさを伝え,一緒に楽しむ。
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19 | これまでの学習を振り返り,秋の自然の変化や遊び・人と関わること・自分や友達のよさに気付くことができる。 |
○「あきまつり」の活動を振り返り,次の活動への意欲をもつ。
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落ち葉釣り
あきありがとう①
あきありがとう②
あきありがとう③