本校の児童は元気で活発である。休み時間になると運動場や中庭に向かい,セミのぬけがら取りや虫取りをしたり,自分が育てているアサガオの観察をしたりと,自然に親しむ様子が見られる。
一方で,家庭の生活状況などにより,下校後や休日は室内で遊ぶ児童も多く,自然の中で遊ぶという経験や四季の変化に対する感覚などは個人差が大きい。
そこで,本単元では日常生活の中で誰もが感じることができる朝晩の気温や日の長さ,服装などの変化をとりあげ導入とし,どの児童も季節の変化に目が向くように工夫したい。また,表現力を育む場として,秋の授業参観に発表会を設ける予定としている。
本単元において,子どもたちがやってみたい・してみたいと自分の思いや願いを持ち,具体的な体験や活動を行い,直接対象と関わる中で感じたり考えたりしたことを表現し,行為するプロセスとしていきたい。
第1学年10月~11月 「たのしいあき いっぱい」12時間
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11月 「つくろう あそぼう」9時間
学習活動 | 指導上の留意点 | 家庭との連携 | |
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9月下旬導入 |
・季節の変化を感じる。 |
・日の短さ,気温,服装の変化などに意識が向くようにする。また,秋分の日,お月見,秋の七草などの紹介をする。 |
学年だより9月号 ・11月の参観日の発表会に向けて,生活科の学習計画を紹介し,家庭でも季節の変化を意識させていただけるよう協力のお願いをする。 ・保護者に「あきみつけ」に出かける日時を伝え,インタビューに応じてもらえるよう協力のお願いをする。 ・保護者に「おもちゃの材料集め」の協力のお願いをする。 |
10月 |
1.あきをさがそう。
・自分が感じる夏との違いについて交流する。ベン図を使ってグループワークを行う。 |
・運動場や子どもたちも遊びに行く校区内の公園などの夏の様子の写真を掲示し,秋の自然に目が向けられるようにする。 |
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2.あきみつけの
けいかくをつくろう。 ・グループで相談して実際に見に行く計画をたてる。 |
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3.あきみつけパート1
~うんどうじょう~ ・「かんむり」をつくろう。 |
・本校の運動場には,実が落ちる樹木はない。よって,秋の様子を観察した後,「かんむり」づくりを全員に経験させ,「おもちゃづくり」につなげたい。 ・通学路や公園にある落ち葉や木の実を教室に集め,自由に遊べるよう工夫し,「おもちゃづくり」へつなげる。 ・参観日「みつけたあきをしょうかいしよう」で活用できるように,ビデオや写真で活動の様子を記録する。 |
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11月 |
4.おいもパーティーをしよう。
・「さつまいもきんとん」をつくって食べる。 ・収穫の喜びを絵に描こう。 |
・春に植えたさつまいもの収穫をする。 |
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5.はっぱやみであそぼう。
・具体物を提示し,製作へのイメージを高める。 ・必要なものを考え,「あきみつけパート2,3」の活動への意欲を高める。 |
・教科書や資料,教師がつくったおもちゃなどを提示する。 |
学年だより11月号 ・活動報告 ・「おもちゃの材料集め」の協力のお願い。 ・参観日や授業内容の案内 |
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6.あきみつけパート2
~ポンプじょうこうえん~ ・あきのこうえんであそぼう。 ・「インタビュー」をしよう。 ・公園に来ている人に,季節の変化ととともに変わる生活の様子について質問する。 |
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「ポンプ場公園」にて ・保護者や地域の方に安全の見守り,インタビューを受けてくださるよう協力のお願い。 |
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7.あきみつけパート3
~あきのえんそく きゅうほうじりょくち~ ・あきのこうえんであそぼう。 ・「おもちゃのざいりょう」をあつめよう。 |
・試しに遊んでみて,改良したり,遊び方を工夫できるよう材料と時間を確保する。 |
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8.おもちゃをつくろう。
・つくったものを交流し,改良を加えながら遊ぶ。 |
・お友だちの意見を聞いて,おもちゃを改良しよう。 |
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9.〈さんかんび〉
みつけたあきをしょうかいしよう。 |
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参観日 ・子どもたちの発表を称賛してもらうとともに,「こうしたらもっといいよ」などのアドバイスもお願いする。 |
本単元のまとめとして,参観日での発表を設定した。低学年では,自らの学びを直接的に振り返ることは難しい。よって,参観日での発表という相手意識に支えられた表現活動で,ふり返りを行うこととした。その中で,自分自身の成長や可能性に気づいてほしい。これが,自分はさらに成長していけるという期待や意欲を高める「主体的な学び」の実現の一歩にしたい。
また,「おもちゃをつくろう」では,自分が作ったおもちゃを友だちに紹介し,アドバイスをもらう活動を行う。この,伝え合い交流する体験を通して,双方向性のある「対話的な学び」につなげたい。
児童の生活圏である学校,家庭,地域を学習の対象や場とし,「たのしいあき いっぱい」の学習を進める。本学習終了後も,児童が日常生活の中で感じ取った変化を意識したり,自分自身の実感の伴った言葉に表したり,様々な事象と関連付けたりして,「身近な生活に関わる見方・考え方」を生かして捉えようとする「深い学び」を育成したい。
『中央教育審議会 審議のまとめ』文部科学省