小学校 教科書・教材|知が啓く。教科書の啓林館
生活

主体的・協同的・創造的な学びをめざす生活科学習

1年 徳島県阿南市立桑野小学校 小堀 訓子

1.はじめに

徳島県教育委員会より出された,「徳島県学校マネジメント・学力向上実行プラン」によると,生活科における目指す子どもの姿として,「自分の思いや願いの実現に向けて,対象への働きかけや人とのかかわり方などを自分なりに考え,主体的に活動することができる」と示されている。その方策として,①体験活動を充実し,他者を認め協同的な活動を推進する。②気付きの質を高める支援を工夫する。③子どもに寄り添った見取りと支援を充実する。の3点に重点を置いた取り組みを進めることにした。

そこで,上記の3点を実現するためには,1年間の単元構成を明確にし,具体的活動を工夫し,長期的な活動を展開することが有効であると考えた。そして,長期的な学習活動の実現には,子どもの主体的活動のための意識の継続と家庭との連携が必要不可欠であると考え,実践することとした。

長期的な学習活動

2.実践

1 実践単元について

第1学年5~11月単元「ぐんぐんのびろ」全22時間

単元の目標
アサガオを継続的に栽培して,その変化や成長の様子に気付くとともに,自分たちと同じように生命をもって成長していることが分かり,アサガオを大切に育てることができるようにする。

2 実践の実際(全22時間)

3.考察

「ぐんぐんのびろ」の半年にわたる学習活動の中で,子どもたちは,アサガオという対象に水やりや追肥,芽・葉・つる・花の観察等の働きかけを繰り返し行った。また,小さな種から発芽し,ぐんぐん成長して,葉を増やし,ツルを伸ばし,たくさんの花を咲かせ,また種をつけるというアサガオからの働き返しを体感することができた。この連続した双方向性のあるかかわりを通して,子ども同士の気付きを交流したり,共同でアサガオの生長を見つけたりすることにより,植物のもつたくましい生命力への気付きや多くの喜びを発見することができた。

今回の実践では,それらの気付きや喜びを定期的に学級だよりで家庭へ知らせることで,学習活動の意義や子どもたちの学校生活の中での成長に対する理解を得ることを重要視し た。その結果,家庭からの継続的なサポートを受けることが可能となり,長期的な学習活動の展開が実現したことが成果であると考えている。今後,アサガオの生長にかかわる子どもの姿や学校・家庭生活の中での子どもの成長について,子ども・保護者に気付いてほしいと考えている。

しかし,いくつかの課題も見えてきた。第一に,アサガオをうまく生長させることができなかった子どもたちがいたことである。植物も人間も生きている。生きていくためには,何が必要かをみんなで話し合い,生命について考えを深めた。第二は,子どもたちがそれぞれ感じたり,見つけたりしたことを十分交流することができなかったことである。言葉や文章,絵等に表現したものを互いに交流することで,気付きは一層深まると思われる。その場の設定の時期や方法を改善していく必要があると考えている。

9月下旬,子どもたちは,一粒一粒,まるで宝石のように丁寧に種を集めていた。その姿に,半年間のかかわりの中で,アサガオを大切に思う気持ちが心にあふれているのだと感じた。11月には,アサガオの生長を振り返ると同時に,家庭の協力を得ながら自分の成長を親子で話し合い,それぞれの成長を交流することができた。直接的に対象とかかわり続け,主体的・協同的・創造的に学ぶことができる生活科学習。これからも試行錯誤を繰り返しながら,よりよい実践を探求していきたいと考えている。