小学校 教科書・教材|知が啓く。教科書の啓林館
生活

2学年生活科 ― 友だちや異学年との交流 ―
「あそび 大すき あつまれ!」の実践

2年 若狭町立みそみ小学校 教諭

具体的実践

[1] 単元の目標

[2] 指導について

本単元は,身近な自然を利用したり,身近にある物を使ったりして,遊び自体を工夫したり,遊びに使う物を工夫して作ったりすることが主な活動である。そして,その過程を通して,遊びの面白さや自然の不思議さに気付くとともに,みんなで遊びを楽しむことができるようにすることを目指している。指導にあたっては,昨年,保育所の園児を招待した「きのみのおもちゃランド」と2年生に招待してもらった「おもちゃランド」のことを思い出させ,計画的・主体的におもちゃ作りをさせる。おもちゃ作りに必要な材料を自分で集めたり,動きを生み出している動力を意識したりしながら,身の回りにある材料を利用しておもちゃを作る楽しさを十分堪能し,友だちとかかわりながらみんなで遊ぶ楽しさを実感することができるようにしたい。

おもちゃの作製にあたっては,動き方や工夫を考えて記録するカードを持たせ,よりよく動くおもちゃができるように工夫させたい。また,作ったおもちゃで遊んだり友だちとかかわりながら遊んだりすることによって,動き方の面白さや自然の不思議さに気付かせるとともにみんなで楽しめる遊び方についても考えさせたい。作ったおもちゃですぐに遊べる十分なスペースを確保し,遊んでいる最中におもちゃが壊れたらすぐに修理できる道具なども準備して,作って遊ぶ活動を十分保障できるような場や時間を設定する。そして,科学的な目をもっておもちゃを改良したり,友だちと協力して楽しく遊ぶためのルールを決めたりするなど,豊かな創造力,実行力を育てていきたい。また,遊び方のルールや約束を決めて「おもちゃランド」を開くことによって,みんなでルールや約束を守って遊ぶと楽しいことを実感させたいと考えている。

最後に,1年生を招待して作ったおもちゃで楽しく遊ばせることを目的として,「おもちゃランド」を開きたい。1年生を喜ばせることを通して,充実感や自信をもち,これからの生活をよりよいものにしていこうとする意欲や,自分自身の成長にも気付かせていきたい。

【本校研究テーマと関連した目指す子ども像】

【言語活動の充実のために】

おもちゃ作りについては,「動きのよさや面白さ」,「飾り付けのよさ」などについて話し合い,さらによりよい動きにするためにどうしたらいいかなどアドバイスの場面を設けたい。また,おもちゃランドでは,「おもちゃの使い方」「遊び方」「気をつけること」「上手にできるこつ」などの言葉をキーワードに説明できるようにさせたい。

[3] 指導計画

(1)評価規準
評価の観点 評価規準
生活への関心・意欲・態度 身近にある物を使って動くおもちゃを作って遊ぶことに関心をもち,意欲的におもちゃがうまく動く工夫をしたりルールを考えたりして,みんなで遊びを楽しもうとする。
活動や体験についての思考・表現 おもちゃの動く仕組みに着眼して作って動かしたり,みんなで楽しく遊ぶためのルールを話し合ったりして,工夫点や遊び方を絵や文章に表すことができる。
身近な環境や自分についての気付き 身近にある物を使って動く仕組みのあるおもちゃを作ったり動かしたりすると楽しく遊べることに気付くとともに,遊び方のルールを決めるとみんなで遊びを楽しめることに気付くことができる。
(2)指導と評価の計画 全11時間(本時8/11)
段階 学習活動 教師の支援 評価規準 評価(評価方法)
つかむ

・手作りおもちゃの動かし方を工夫して楽しく遊ぶことができる。

(1時間)

・教師が提示したおもちゃで一緒に遊び,動かし方を教えたり,動かす工夫をしていたりした時に称賛しておもちゃ作りに興味をもたせる。

(課外)名人ブックも参考にしておもちゃの材料を持ってくるよう家庭への協力を求める。
 

・手作りおもちゃで遊ぶことに関心を持ち,意欲的に動かしたり,動かし方を工夫したりして,楽しく遊ぼうとしている。(行動・発言)

調べる

・おもちゃの設計図をかいてから,身の回りにある材料を使っておもちゃを作る。

・2つめ,3つめのおもちゃを作って,よりよく動くように作り方や動かし方を工夫する。
(2時間)

・自分が作りたいおもちゃがはっきりしない場合は作ったおもちゃや名人ブックのおもちゃを参考にさせる。

 

・自分が作りたいおもちゃの設計図を書き,動かし方を書いている。(カード)

・作り方が分からない児童には手伝いながら一緒に作る。

・教師の参考作品を見せながら手順を説明したり,動く仕組みと動かし方の関係を動かしながら教えたりする。

(図工)図工の時間も使って作る。
 

・身の回りにある材料を使って,動くように考えながら,おもちゃを作っている。(行動,発言,カード)

   

・手作りおもちゃの作り方や動かし方がうまくできると楽しく遊べることに気付いている。(行動,発言,作品,カード)

まとめる

・手作りおもちゃをみんなで一緒に動かして,みんなで楽しく遊ぶことができる。
(2時間)

・おもちゃの動きに応じたコーナーを作って,動きを比べることができるようにしたり,グループの中で動かし合ってよいところや直した方がいいところを言い合ったりさせる。

・同じおもちゃでも作り方や動かし方によっていろいろな動きの特徴が見られるようになり,友だちと一緒に動かして遊ぶと楽しいことに気付いている。(行動,発言,作品,カード)

・動きの違いは,作り方や動かし方が違うからだと気付くように,グループで動きの違うわけを話題にするようにして交流させる。

・動きがよくなるように考えて,おもちゃを直したり友だちにアドバイスしたりしている。(行動,発言,作品,カード)

伝える

・「おもちゃランド」の準備をする。

・「おもちゃランド」のグループごとに役割分担をさせ,「おもちゃの使い方」「遊び方」「気をつけること」「上手にできるこつ」などをまとめて画用紙に書かせる。

・ルールや約束を考えて,分かりやすく書いてまとめられているか。(説明書,行動,発言)

 

・聞いている人の方を見て,おもちゃを見せながら,分かりやすく説明させる。

 

・グループで協力して説明の練習をしているか。(行動,発言)

・「おもちゃランド」を開き楽しく遊ぶことができる。(4時間,本時3/4)

・時間を守って,説明したり遊んだりして,みんなで協力して「おもちゃランド」ができるようにさせる。

・おもちゃを見せながら,聞いている人に分かりやすく説明しているか。(行動,発言)

・説明を聞いて,ルールを守って遊んでいるか。(行動,発言)



・1年生を招待して「おもちゃランド」を開き楽しく遊ばせることができる。
(2時間)

・1年生に分かりやすいようにおもちゃを見せながら説明し,自分の仕事をしっかりして楽しんでもらうようにさせる。

・ルールを守って,みんなで協力して1年生を楽しませることができたか。(行動,発言)

・「おもちゃランド」の感想を書かせ,自分の成長に気付かせる。

・1年生が楽しんでくれた様子や自分たちの成長した様子に気付いているか。(ワークシート,発言)

[4] 本時の目標

遊び方のルールや約束を決めて,2年生で「おもちゃランド」を開き,みんなで楽しく遊ぶことができる。

[5] 本時の評価規準

[6] 本時の指導過程

活動内容及び活動 教師の支援(児童A・B☆★)・評価(※は評価)
導入 1本時の課題を知る。
「おもちゃランド」を開き楽しく遊ぼう。

・遊び方が分かるようにゆっくりはっきり説明しよう。

・自分の仕事をしっかりしよう。

・遊び方のルールや約束を守って遊ぼう。

・よりよく動くような動かし方を考えて遊ぼう。

・店番の人と遊ぶ人に分かれることを確認する。4つのおもちゃのグループの半数の人が3つの遊びを回り,半数の人が説明をして遊ばせるようにする。

・説明している人の話を聞いて,遊び方のルールが分からない場合は質問をするなどさせる。

・自分のグループの人に聞いてもらって,ルールや約束がよく分かるように,おもちゃを動かすなどしながら説明の練習をさせる。

展開 2「おもちゃランド」を開く。

・自分のコーナーで遊びの説明をしながら,順番に遊ばせる。

・友だちの説明を聞いて,ルールを守って遊ぶ。

・よく動くように考えながら遊ぶ。

※友だちに分かりやすく説明し,よく動くように教えるなどしながら,遊ばせてあげようとしているか。(思考・表現)

※友だちの説明を聞いて,ルールを守って遊ぼうとしているか。(関心・意欲・態度)

★しっかり話す人の方を見て,おもちゃや説明の紙を見ながら聞くように支援する。理解できない場合は,そばで説明する。

☆自分の役割の仕事をしっかりして,遊ばせてあげるように支援する。

終末

3「おもちゃランド」で遊んでよかったところや工夫して動かしてよかったところなど気付いたことをワークシートに書き,発表する。

・ルールや約束を分かりやすく説明できた。

・ルールや約束を守って楽しく遊べた。

・風がよく当たるようにあおいだ。

・タイヤを真っ直ぐにするとよく動いた。

・みんなできまりを守って遊んで楽しかった。

4次時の課題を知る。

※おもちゃの説明や聞き方でよかったこと,ルールを守って楽しく遊べたことや遊び方でよりよく動くように工夫したことに気付いている。(気付き)

[7] 単元を終えて

児童は作りたいおもちゃの材料を家から持って来るなどしておもちゃ作りを意欲的に行った。作るときに難しいことについては手伝ったが,絵を描いたり色を塗ったりすることは自分たちで考えてきれいにできた。作ったおもちゃで遊ぶことも意欲的に行い,自分たちでおもちゃを作ることの楽しさや遊ぶことの楽しさに気付くことができた。おもちゃがよりよく動くように工夫したり直したりすることについては,ウイングカーのうちわのあおぎ方を速くすることやたこの走り方を速くするなど自分たちで考えてアドバイスをしていた。しかし,タイヤに穴を開けることやぶんぶんごまの中心に穴を開けることなど,うまく直せない児童もいて,手助けが必要である。保護者参観日に一緒に遊んでもらうことでアドバイスをもらい,よりよく動く工夫ができたグループもあった。このような経験を生かして,日々の生活の中でも,よりよい生活にしていくために工夫することができる児童に育ってほしい。

〈授業の様子とワークシート〉
〈回る順番カード〉

〈1年生を「おもちゃランド」に招待した後のワークシートと写真〉

1年生を招待して,「おもちゃランド」を開いた後,全員,保育所でも「おもちゃランド」を開きたいと言うので行くことになった。保育園児は,見本を見せながら遊び方の説明をしても理解が難しかったり,遊び方が理解できても力が足りなくて車が進まなかったり,たこが飛ばなかったりした。そのため,手を添えて一緒にやってあげるなど,小さい子を思いやる行いが自然にできていた。兄弟がいたこともあり,帰りに別れるのがつらくて泣きながら見送ってくれた園児もいた。児童はとても楽しかったと感じ満足して帰って来た。

〈保育所訪問の様子とワークシート〉