○児童は一年生の時に,通学路探検をしたり保育園児と交流したりするなど,地域の自然や人とかかわる体験をしてきた。また,日常的にも地域で遊んだり,買い物等で地域の人とかかわったりしている。このように地域は児童にとって身近な存在である。しかし,それについて十分に知らなかったり,自分の生活とのかかわりに気付いたりしていない。そこで,地域のよさや自分の生活とのかかわりが分かり,親しみや愛着をもてることを願って本単元を設定した。
○指導にあたっては,おもに次の3つの工夫をした。
(1) 大蔵のまちの好きな場所や人を紹介しよう。 | ・・・・・・・・ | 2時間+常時活動 |
(2) 大蔵川の上流-中流-下流を探検しよう。 | ・・・・・・・・ | 7時間 |
(3) 大蔵のまちのお気に入りを見つけにいこう。 | ・・・・・・・・ | 21時間 |
(4) 大蔵のまちのお気に入りを知らせよう。 | ・・・・・・・・ | 4時間 |
一年生の時に行った通学路探検を振り返り,大蔵のまちの好きな場所や人を紹介し合い,校区地図に貼っていった。日常的にも見付けた好きな場所や人を紹介し合う活動を継続していった。次第に「○○に行って,○○さんに会ってみたいな」という思いが生まれ,まち探検へのきっかけとなった。
~みんなで探検~
校区地図での紹介から生まれた思いをもとに,全員で大蔵川の上流-中流-下流を探検した。探検が終わるたびに好きな場所や人を「お話タイム」や校区地図で紹介することを繰り返した。もう一度,行ってみたいという思いにつながった。
~自分で探検1回目~
全員で大蔵川の上流-中流-下流を探検した後,もう一度,行ってみたい場所や会いたい人別グル-プに分かれ探検した。まち探検には,合計3回行った。まち探検の前には,「○○さんのいる○○に行って,○○を聞いたり○○をしたりしたい」といった計画を立て,めあてをもって出かけられるようにした。
まち探検後の「お話タイム」と校区地図での紹介は,グル-プで探検に行くたびに繰り返した。「今度は(また)○○に行って,○○さんと○○してみたい」といった1回目のまち探検の時よりも,より具体的な思いや意欲につながっていった。
~自分で探検2回目~
1回目の探検後,「今度は(また)○○に行って,○○さんと○○してみたい」という思いをもとに,2回目の探検の計画を立て,行き先別グル-プで探検をした。
2回目のまち探検後も「お話タイム」繰り返した。1回目と2回目のまち探検を比べ,「1回目の○○さんも2回目の○○さんも優しかったよ。大蔵のまちには優しい人がたくさんいるな。」といった体験を通した実感を伴った分かり方をしたり, 大蔵のまちや人に対する気付きが深まったり高まったりすることにつながった。
2回目のまち探検後に,「探検を通して自分が成長したこと」という視点でこれまでの探検を振り返った。「大蔵のまちの人のおかげで自分は成長できた。感謝したい。」という自分についての気付きにつながった。
「ふかめる」 ~自分で探検3回目~
「ありがとう」を伝えたい相手に手紙やプレゼント等,感謝の気持ちの表し方を工夫し,3回目のまち探検で,実際に渡しに行った。相手からお礼や賞賛の言葉,笑顔をもらうことで,心のつながりや人とかかわることのよさや楽しさを実感することにつながった。また,大蔵のまちの人のおかげで成長できたという感謝の気持ちを持ったり,日常的にかかわっていきたいという思いにつながったりした。
これまでのまち探検で見つけた大蔵のまちのお気に入りを学習発表会で大蔵のまちの人などに伝えた。学習発表会で伝えるセリフや歌の歌詞は児童がつくった。例えば,「大蔵のまちは,真心いっぱいで笑顔をくれるところだよ」「大蔵のまちの人は,みんな優しくて輝いているよ」「大蔵のまちに住んでいてよかったよ」「まちがもっともっと好きになったよ」などである。どのせりふや歌詞にも大蔵のまちや人とかかわるよさが表現されていた。また,「お相手の一年生に大蔵のまちのお気に入りを伝えたい」という思いで,校区地図やパンフレットをつくった。改めて大蔵のまちのよさを実感することができた。
○まち探検や「お話タイム」を繰り返したり,「評価の観点を更に具体化・焦点化した具体的な子どもの姿」を学習指導計画に示し,それに基づいて毎時間の活動を評価したり支援したりしてきた。
その結果,大蔵のまちや人とのかかわりのよさや自分の生活とのかかわりが分かり,親しみや愛着をもてるようになった。また,自分の成長にも気付くことができた。
○一人一人の児童が,大蔵のまちや人とのかかわりを豊かに広げていくためには,地域と繰り返しかかわることができるような活動や単元構成を工夫することが大切である。そのためには,まち探検に何度も出かけられる学校全体の協力体制を整える必要がある。また,地域の方々に対しては,事前に学習の趣旨を理解していただき,児童への声かけやかかわり方について協力を願うことが大切である。