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理科

光合成の実験法の開発
6年「植物と養分」日光と葉のでんぷん

6年 埼玉県鶴ケ島市立長久保小学校 理科支援員 橋口 政昭

1.はじめに

光合成により,葉でつくられるでんぷんの検出実験は,中学校でも行われる。中学校では葉の葉緑体ででんぷんがつくられているところまで確認することになっている。

小学校学習指導要領解説(理科編)には,
ア 日光とでんぷんのでき方の関係を調べるため,日光が当たっている何枚かの葉で,アルミニウム箔などを被せて遮光した葉と遮光しない葉の対照実験を行い,ヨウ素デンプン反応によって日光が当たっている葉の中のでんぷんの存在を調べ,植物が自ら体内ででんぷんをつくりだしていることを推論を通してとらえられるようにする。

とある。小学校でのこの実験のねらいは,日光の当たる葉ではでんぷんがつくられ,当たらない葉ではでんぷんがつくられないことを実験を通して理解することである。

葉にできたでんぷんの調べ方については,従来,葉を湯でにる方法,たたき出す方法,アルコールで脱色する方法で実施されてきた。しかし,いずれも児童が十分納得できるような顕著なヨウ素デンプン反応が見られないのが実態である。

この実験は,当日の天気に左右されるとともに実験時間を極力午後に設定しなければならないなど,計画通りに進めるのが難しい実験でもある。

2.時間(45分)内にできる簡単な実験「すりつぶし法」

前日,又は前々日に実験に使う葉の準備をする。実験当日その葉を採取し,少量乳鉢ですりつぶす。水を少量加え,さらにすりつぶし,その上に漂白剤を加える。5分後にその液をろ紙に数滴たらし,そのろ紙にうすいヨウ素液を数滴加え,反応を調べる。

方法が簡単なので,児童でも20分程度で実験ができる。

3.実験方法の詳細

  • (1) 日光を十分に当てた葉と前日又は前々日に遮光した葉を用意する。
    (写真のように葉の一部をアルミニウム箔等で遮光した葉を準備すれば十分である)
  • (2) それぞれの葉(遮光した部分と遮光しなかった部分)を小さくちぎり,乳鉢ですりつぶす。(乳鉢は2組用意する。すりつぶす葉の量は面積にして10cm2程度で十分である)

(1)ツルレイシ(ゴーヤー)

(3) 水を5ml程度加え,さらにすりつぶす。

(4) 2倍にうすめた台所用漂白剤(塩素系)を5mlほど加え,葉の緑色を漂白する。

(5) 3~5分後,漂白した液を2枚重ねたろ紙に数滴たらす。(下のろ紙にろ過した液を吸収させる)

(6) その上にうすいヨウ素液を数滴たらし,遮光した部分と遮光しなかった部分のヨウ素デンプン反応の違いを調べる。(キクイモ)

4.その他留意点等

(7) クワ(前々日の夕方遮光,前日は快晴。当日の朝6時20分に葉を採取。午後1時30分に実験。左 光なし 右 光あり)

(8) ツルレイシ(ゴーヤー)(7)に同じ条件(午前11時30分に実験。左 光なし 右 光あり)

(9) ピーマン(前々日快晴,夕方遮光,前日は曇りのち雨,当日の朝8時に葉を採取。午後2時実験。左 光なし 右 光あり)

(10) オシロイバナ(当日の朝8時15分,まだ日陰にある葉を遮光,9時半頃から日がさし,2時45分葉を採取。午後3時実験。左 光なし 右 光あり)