5年生における天気の学習は,実際の天気を観察する活動はもちろん大事であるが,その後実際に観察した雲や天気の様子と学習した知識情報とを結びつける(体験と知識・情報をつなげる)ことで自分が普段目にしている天気が身近になり,実感を伴った理解ができると考えている。また,得た知識を活用することで,さらなる理解ができるだろうと考えている。
子どもたちは,今までにじーっと空をながめたことがあるのだろうか。そのような経験をしているかしていないかでは,今後の学習に大きく関係してくると考え,まずは,何も持たず空を眺めさせた。雲を見ていると,その動きの不思議さや形の面白さに目を向ける子がたくさん出てきた。(ブルーシートを広げて,寝ころんで観察してもよかったかも)また,見ている間にも天気が変化することにも気付いた子がいた。その後,雲の動き・形・速さ,風,体感での気温などを見たり,感じたりするように声をかけた。このように空という空間に浸らせることで,普段できないような経験をすることができた。
子どもたちに,3日間(晴天,曇り,雨天)空を定点観察させた。その際ワークシートには同日同時間帯の気象衛星やアメダスの情報を貼り付けるスペースを作り,観察後ワークシートに貼れるようにした。簡単にアメダスと気象衛星の読み方を説明するだけでも理解ができたようで,滋賀県の位置を探して,実際の空の様子と照らし合わせて見ていた。
天気についての基礎知識は調べ学習を主体として知識を獲得させた。実際に空を見たり,観察したりしたことを通して,子どもたちから疑問として出てきた課題や,身につけておいてほしい課題を「指示書」と称して子ども達に配り,その指示書をもとに図書室やパソコン室(インターネット)で調べさせた。
「月がかさをかぶっていたら雨」「夕焼けがきれいだと晴れ」等代表的な言い伝えを取り上げ,そのような言い伝えが生活に生かしていけるということを子どもたちは知ることができた。子どもたちの中には言い伝えを使って,早速気象予報をしている子もいた。
学習したことをいかして,アメダス,天気図,気象衛星の画像を見て,自分で気象予報をするという活動をおこなった。天気について得た体験や知識を駆使して,子どもたちは気象予報士になったつもりで発表をした。調べ学習で得た知識をフル活用できる子もおり,主体的に学習した成果が表れた。
理科学習において子どもたちが「生きた知識」を身につけるためには,常に体験と知識・情報のつながりを行ったり来たりしながら,学習を進めていくことが大事だと考えている。そのような学習展開を繰り返すことで,子どもたちが主体的に学習することができるようになるのではないだろうか。今後もいろいろな単元で生活と結び付けられるような理科学習を実践していきたい。