新学習指導要領では,理科教育の充実が求められている。理科の目標は,「科学的な見方や考え方を養う」ことである。目標が達成されるために重要なことは,子どもたちが科学を学ぶことの意義や有用性を実感し,科学への関心が高まっていくことと考える。教師には,子どもたちに科学が身近なものとしてとらえさせ,知的好奇心を喚起し,興味・関心をひく教材の導入や実験・観察が有効な手段となる。
子どもたちが楽しさを感じるためには,まず教師が楽しいと感じるものでなければならない。教師主導で教え込む授業では,子どもたちは興味を示さないし,意欲を引き出すこともできない。子どもたちの興味・関心や意欲を引き出し,教師が適切にアドバイスをしていけば,子どもたちは,自主的に学習に取り組むようになると考える。
6年生「水よう液の性質」の単元で,リトマス紙を使うことによって,「酸性」「中性」「アルカリ性」の三つの性質に分けることができるこということを学習した。
児童がさらに興味を示すためには,
の2つを行うことが必要と考えた。
この授業を行うために,単元の導入で,生活の中にある身近な水溶液には,どのようなものがあるかを児童に聞いてあり,その時に出てきた水溶液を実験に用いることにした。
●児童の発言による身近な水溶液
□スポーツドリンク | □アルカリイオン水 | □砂糖水 | □レモン水 | □酢 |
□料理酒 | □ハンドソープ液 | □アルコール消毒液 | ||
□漂白剤 | □パイプ洗浄剤 | □重曹 | □台所用漂白剤 | |
□トイレ洗浄剤 | □ウォッシャー液 | □洗濯洗剤 |
○ムラサキキャベツの抽出液(プチボトル) ※液の作り方は,下記参照
○試験管立て ○試験管 ○各種水溶液(上記参照)
※ムラサキキャベツの抽出液の作り方
考察する際には,観点を絞ると子どもたちからは,より良い意見が出てくると考える。今回の実験では,「ムラサキキャベツの良さ」と「実験を通してわかったこと・感じたこと」の2点に重点を置いた。すると,以下のような意見がでてきた。
この実践は,苫小牧市教育研究会理科部会の公開授業で行ったものである。準備に時間がかかることや,45分の中では,内容が盛りだくさんであるという課題もあるが,児童にとって,使用したものは,家の中にあるものであり,生活の中に密着しているものである。また,色がはっきり変わる実験なので,変化に気付きやすく,より興味を抱く実験だった。事前に予備実験をした際に,指導者である私自身が,何色に変化するのかとわくわくしながら行ったように,子どもたちも,各種水溶液の性質を楽しみながら実験をしていたように感じる。
今回の実験のように,楽しい実験であること,理科が身近な生活の中にあるということを発見することで,より科学に興味・関心を高められると考える。
【参考文献】
北海道立教育研究所付属理科教育センター指導資料