本単元は,実際のものの長さを比較したり測定したりする体験的な活動を充実させ,長さの測定の基礎的・基本的な知識・技能を身に付けることで,日常生活の中でいかすことをねらいとしている。共通の課題で長さを比較することにより,長さの概念をより確かなものにし,より簡潔,明瞭,的確に測定の基礎となる考え方や技能を身に付けさせたいと考える。
実生活で経験する長さの比較や測定を行う場面で,その方法について考え,長さの量感を豊かにすることをねらいとして,単元の終末に1年生活科の秋のおもちゃ遊びと関連させた学習を展開する。
本時は,これまでの学習を活用する場として,操作活動を取り入れ,知識や技能の定着化,一般化を図る。生活科で使う魚釣りに必要な道具の長さの比較や魚の長さを得点化するために測定するという場面を設定し,既習の長さの比較や測定の仕方と,出合った問題場面とをつなぎ,比較や測定などの算数的活動を行いながら場面に応じた方法を思考させる。
また,秋のおもちゃ遊びで友だちに魚釣りを楽しんでもらおうという目的意識をもたせることで,関心・意欲を高めるとともに,長さを正確に測定することへの必要感をもたせることができる。
○場面に応じた長さの比較や測定の方法を選択してものの長さを調べ,直接重ね合わせることのできないものの長さの比べ方を工夫して,基準量のいくつ分で正しく測定し,比較することができる。
○釣竿は竿の模様の数で,釣り糸は巻き数で任意単位による比較をし,数量で表すことのよさに目を向けさせ,単位の考えを意識させる場として児童が動かせないものを用意した。
釣竿は,はしを隠して提示することで,「はしをそろえるとよい」「ならべるとよい」などの意見を出させ,既習の学びを想起させた後,動かさずに長さ比べをする課題を与えた。
釣り糸は,巻いた数で比べる体験と初めて出合う児童もおり,巻き数を実際に確かめる活動をとって知識の共有化を図った。
釣竿の色分けした模様の長さが同じであることや釣り糸を巻いた板の長さが同じであることなど,基準となるものの大きさが同じであることを児童とともに確かめる活動を大事に扱った。
○魚は,事前に生活科の学習で作っておき,本時の学習で用いた。魚の長さを方眼ますに合わせて「ます目の何ます分」と数量化できるよう,視覚的な支援として長さの目印となる直線を引いておいた。方眼ますに魚を置く活動を通して,方眼の線と魚のはしをそろえることを意識し,既習の学びである「まっすぐにする」ことや「はしをそろえる」ことなどを用いようと思考が深めることができた。
○任意単位による比較から数量化して表す活動を通して,「どちらが長いか」だけでなく,「どれだけ長いか」を数の大小で表現できることのよさを話し合い,共通のもので測定し,それを数量で表すことの便利さやよさを価値付けたことで,日常生活の中でも活用できるよう意識を高めることができた。
○前時に,手や鉛筆のほかにブロックを並べて任意単位で表す活動をして,「ブロックは並べるのが大変だ。」「ぐちゃぐちゃになって困る。」という体験をしたことで,本時のます目の便利さをより実感できていた。
○本時は,長さを得点に置き換えるという考え方から,ます目の必要性を実感させながら,これまでに学習してきた比較や測定の知識・技能を自分で試させた。児童は,測定するもの自体にめもりがないものでも,任意単位を用いると自分で数量化できるという喜びを感じていた。
○生活場面や生活科の学習と関連させた学習を展開したことで,目的意識をもち長さの学習への意欲が増した。生活科の魚釣りの活動では,友だちに,「9つ分だよ。」と伝える姿が見られ,学んだことを進んでいかそうという意欲が感じられた。