日常の身の回りにあるものをよく観察すると,一方の量と他方の量が伴って変わるものがたくさんあります。
伴って変わる2つの量のうち,一方の量(x)を決めると他方の量(y)が決まる関係にあるとき,yはxの関数であるといいます。また,この2つの量を関数関係にあるともいいます。例えば,次のような事象はすべて関数関係になっています。
・10 の分解で,たして10になる一方の数と他方の数
・水そうに蛇口から一定の量で水を入れるときの時間と水の量
・正方形の1辺の長さと周りの長さ
・円の円周と直径の長さ
ところで,上述の円周は,直径の長さを知ることによって求められます。それは,円周が直径に依存して決まる(直径の3.14倍)からです。
このように,ある数量について調べようとするときに,それと関連の深い他の数量を見つけ,それらの数量に成り立つ関係を明らかにしながら考察していく考えが関数の考えです。
この関数の考えのよさやおもしろさを感得させるには,次の点が指導のキーポイントになります。
(1)2つの数量間の依存関係に着目させる。
(2)伴って変わる2つの数量の間の変化の様子を追跡させる。
(3)伴って変わる2つの数量の対応や変化のきまりを見つけさせ,問題解決に積極的に活用させる。
この学年では,具体的な問題の場で,対応させる数量に着目して値の組を表に表して関係を調べたり,□や△を用いた式に表して,□や△に数を当てはめて表に表し,式と表の関係を考えさせるなど,関数関係を表現する方法としての表や式の働き,よさについて十分に理解を図ることが必要です。