けた数の多い数の計算や複雑な計算をするとき,概数を使って,結果の近似値を求めることを概算といいます。複雑な計算などは計算機やコンピュータにまかせることになりますが,このときに,概算を通して結果がどのくらいになるかを見通した上で出てきた結果を信用するといった態度が重要になってくるでしょう。
和と差の概算では,求めようとする和や差の概数にあわせてあらかじめ概数をとって計算します。
和や差を千の位まで求めようとするなら,最初の数も千の位の数までの概数にして計算します。
結果をおよその数で求めることでよいなら,複雑な数をそのまま計算して労を費やすより概数で計算した方が効率的です。
具体的には,下のように一の位まで正確に求めた結果との対比の中で,概数をとって計算することのよさを見定めることが大切です。
概算の指導はとかく形式的な計算になりがちです。小学校では特に具体的な場面に結びつけて概数をとって計算することの意味をとらえられるようにすることが大切です。また,和と差の見積もりを行うことは,結果の見通しを立てたり,大きな誤りを防いだりするために大切です。指導にあたっては,目的に応じて概数で見積もることができるようにすることを重視し,形式的な処理のみをさせることのないよう配慮したいものです。
教科書では,千の位までの概数を求めてから計算するようにしてあります。目的によっては切り上げるなどして百の位までの概数で求めることもあります。