目次

4年
補充・発展型授業         
〜直列つなぎと並列つなぎの定着をはかる〜
京都市立朱雀第四小学校
石田 裕一
1.はじめに

 「電池のはたらき」の単元では,「乾電池や光電池に豆電球やモーターなどをつなぎ,乾電池や光電池の働きを調べ,電流の働きについての考えをもつようにする。」というねらいのもと,実際に乾電池や豆電球をつかって回路をつくる活動を多く行っている。ただ,直列つなぎと並列つなぎを学習する際,紙面上の図ではわかっていても,実物をつかって接続するのには困難を感じる児童も少なくない。

 そこで,直列・並列を学習したあと,発展・補充の2つのコースに分け,より確実に理解できる支援を工夫した。

2.学習の流れ

  <1時間目>
  乾電池1個とモーター・豆電球を使って,モーターを回したり豆電球に明かりをつけたりして自由に活動する。

豆電球をもっと明るくしたいな モーターをもっと速く回したいな

<2・3時間目>
  乾電池2個を使ったつなぎ方をいくつか考え,豆電球の明るさとの関係を調べる。

つなぎ方がちがうと,明るさが変わるときがあるんだね

<4・5時間目>
  明るさのちがう2種類の回路の電流をはかり,違いを確認するとともに,直列つなぎ・並列つなぎの違いを理解する。

明るさがちがうのには電流の大きさに原因があるんだね。
直列つなぎの特徴は・・・

<6時間目(発展・補充)>
発展 電池のつなぎ方以外で,電流の大きさが大きく変わる方法を探す。
補充 いろいろなつなぎ方で実際に回路をつくり,直列つなぎと並列つなぎの特徴をおさえる。

3.授業の実際

発展『どんどんコース』 補充『じっくりコース』
乾電池が2個の場合で,つなぎ方以外にも電流を強くする方法はあるのだろうか。
見かけが違っているつなぎ方を整理して,同じつなぎ方を見つけよう。
導線がたくさんつながっているので1つ1つの導線をしっかりたどってみよう。




 


グループで交流し,お互いに発見したことを話し合おう。

乾電池の大きさを変えても,導線の太さを変えても流れる電流の大きさは同じだった。

大きい乾電池でも太い導線でも,「直列つなぎでは電流が大きくなり,並列つなぎでは電流の強さは変わらない」ということは同じだった。

友達の新しい発見を知り,「こんな方法もあるんだ」と今後の活動へのさらなるヒントを得た。

自分でもっと調べてみたい!
グループで交流し,お互いに発見したことを話し合おう。

見かけがちがっていても,直列つなぎか並列つなぎのどちらかになるんだ。

直列つなぎと並列つなぎの特徴がよくわかったよ。

これまで自信がなかった子も,結果をより深く理解し発表することができた。

わかった!


4.さいごに

 この学習を通して,発展に進んだ児童は,直列・並列の理解をより確かなものにしながら,自分の力で新しい課題を追究していた。一方,補充に行った児童も,新しい教材に興味をもちながら今まで学習したことをふりかえったり確かめたりし,直列・並列のちがいを理解することができた。

 実験においては,個と個の係わりを多くもつ活動をとりいれ,自分の考えや思いを広げるとともに,友達と共に学び合い解決する喜びや楽しさを感じられるようにしてきた。そして,体験活動を保障し,試行錯誤しながら問題解決をはかっていくことで,4年生の目指す力としている,「変化とともに関わる要因を関係づけて考える力」を育て,豊かな発想をもって学習に取組んでいけるのではないかと考える。今後も,学習したことを単なる知識の習得で終わらせるのではなく,科学のおもしろさ,自然のよさや大切さを感じながら,自分の生活に生かせる態度を身につけられるような実践をおこなっていきたい。

前へ 次へ


閉じる