1.はじめに
植物を扱った単元を学習するとき,学校のそばによい採集地がないことがあります。また,季節の移り変わりによって生育する植物が違っていることを意識させるには,実物を保存し調べることも必要です。そこで植物標本を作るのですが,採集した植物をきれいに標本にするためには,長い時間と根気強い努力が必要です。
そこで,今回は,短い時間で簡単に植物標本を作る方法を紹介します。
2.電子レンジでつくる植物標本
各学年の(特に低学年の)生活科や理科などで,植物教材が多く扱われています。また,総合的な学習の中でも環境にかかわって植物標本を作ったりする場面があると思います。しかし,実際に採集した植物を押し花にして保存したくても,完全に乾燥するまで時間がかかります。
また,子どもたちに取り組ませても,新聞紙の交換を忘れて途中でくさってしまったり,加圧が不充分でふにゃふにゃしてしまったりすることが多々あります。そこで,電子レンジを使って簡単に植物標本を作ってみましょう。
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電子レンジ |
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タイル2枚 |
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料理用たこ糸 |
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白ボール紙 |
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ティッシュペーパー |
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標本用台紙 |
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ピンセット |
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はさみ |
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カッターナイフ |
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軍手 |
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ボンド |
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※ | タイルはホームセンターで安く売っているもので十分です。なお,大きさは,電子レンジに入るものであればお好みで…。
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※ | 重さのあるタイルであれば,たこ糸でしばらなくてもいいですが,加熱時間は3〜4分ほどと少し長めにやってみてください。
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(1) |
タイルの上に白ボール紙を置く。 |
(2) |
次にティッシュペーパーを置く。 |
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(3) |
採集してきた植物を適当な大きさに切り,ピンセットで形を整えてティッシュペーパーの上に置く。 |
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あまりボリュームのあるものは失敗します。(アマニュムなど) |
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(4) |
植物の上にティッシュペーパーをかぶせる。 |
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(5) |
白ボール紙をかぶせる。 |
(6) |
タイルを重ね,たこ糸でしばる。 |
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※ | たこ糸でしばるのは標本となる植物に圧を加えるためで,ゴムバンドやクリップなどで固定してからしばるとよりきつくしばることができます。ゴムバンドそのものを利用することも考えられますが,加熱時間が長くなると,ゴムの臭いがすることがあります。
圧を加えるものは,電子レンジの熱に耐えることができれば何でもよいので,例えば,「石」のようなおもりや重いお皿をのせるといった方法でも可能です。
ただし,このときは,石やお皿もかなりの熱を帯びますので,素手でつかむことがないように注意が必要です。
また,タイル自身にも重さがあるので,小さな植物は重石をしなくても大丈夫です。
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(7) |
電子レンジの中に入れて1〜2分間加熱する。
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(8) |
加熱後,取り出す(やけど注意)。
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(9) |
植物はティッシュにくっついていることがあるので注意。
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小さくて見づらいですが,アイロンをかけたようにきれいに押し花になっています。 |
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(10) |
乾燥標本を台紙に貼り付けて完成。
このとき,上質紙を細長く切ったもので台紙に貼り付けます。以前子どもたちにこの作業をさせたとき,上質紙を太く切ってしまうため,きれいにできませんでした。教師側で用意したほうがよいと思います。
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☆ | 標本を作る時間が大幅に短縮できます。
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☆ | 材料費が安い。
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☆ | 理科教材として以外にも使い道があります。
以前,押し花を使って栞を作ったときもこの方法を使いましたが,きれいにできるので失敗があまりありません。
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★ | 大きな植物は標本にできない。
最近は電子レンジも大型化してきましたが,それでも限界があります。20cm四方に収まるものが限界です。
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参考までに
この方法は,タイルを使って行いましたが,基本的には電波を通すものであれば応用できます。たとえば,ガラス,木,紙などですが,木や紙は耐熱性を考えると使用できません。また,ガラスも割れやすいことを考えると,あまりお勧めできる材質ではありません。
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| *参考文献 「理科おもしろ実験・ものづくり完全マニュアル」 左巻健男 著 東京書籍 |
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