1. はじめに
埼玉県では,平成17年度より文科省で唱えている知徳体の育成を確実に定着すべく「教育に関する3つの達成目標」を全小中学校で実施した。本県では, 読み書き・計算, 規律ある態度, 体力,の3つについて最低限身につけて欲しい内容項目を挙げている。各学校の実態に応じた特色ある取組を重視し,県の実施するアンケートや学力検査を通して検証し,更なる向上をねらったものである。
本校の数学科では,以前より数学における基礎基本について論議を重ね,基礎基本を簡単な代数計算とするのでなく,「ひらめきや数学的発想をするのに必要な基礎知識と処理能力」と捉えた。今回は,いろいろな取組の中で,県が提示している基礎基本の定着に対する本校の取組をレポートする。本校では,各単元において基礎基本を確認し,その基礎基本の定着に向け次の4つの取組を行っている。
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(1) |
教科担任の行っている授業での取組 |
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(2) |
学年を越えた数学科としての取組 |
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(3) |
教科を越えた学年での取組 |
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(4) |
他の教科にも波及した学校全体での取組 |
以下その具体的取組をあげる。
2. 具体的取組
3. 検証
(1) |
「朝基礎テスト」(数学)の2年間の推移 |
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第1回(小学校の計算) |
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65.1 |
69.4 |
第2回(正負計算) |
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64.8 |
72.5 |
第3回(文字計算) |
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54.4 |
70.1 |
第4回(方程式) |
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65.9 |
77.1 |
第5回(1〜4のまとめ) |
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69.0 |
78.8 |
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第1回(小学校の計算) |
62.7 |
62.8 |
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第2回(正負計算) |
66.8 |
75.9 |
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第3回(文字計算) |
50.2 |
65.1 |
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第4回(方程式) |
70.3 |
73.1 |
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第5回(1〜4のまとめ) |
61.2 |
71.1 |
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第1回(小学校の計算) |
59.6 |
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第2回(正負計算) |
66.6 |
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第3回(文字計算) |
48.6 |
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第4回(方程式) |
66.0 |
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第5回(1〜4のまとめ) |
59.4 |
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同じ問題を全学年共通で行っているので比較しやすい。 |
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確実に年を重ねるごとに定着していることが分かる。 |
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1年次1回目のテストの平均をみると,基礎学力が年々下がってきている。 |
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(2) |
県の学力テスト(2学年実施) |
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教科 |
県平均 |
本校平均 |
国語 |
77.9 |
77.3 |
社会 |
56.2 |
51.5 |
数学 |
66.7 |
69.9 |
理科 |
55.5 |
53.4 |
英語 |
73.9 |
69.2 |
5教科 |
66.0 |
64.3 |
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2学年は,本年度より1クラスを2つに分けての習熟度別学習を取り入れたこともあってか県平均を唯一上回った。 |
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本校では,数学のほかに,国語と理科において,「朝基礎テスト」を年間に4〜10回実施している。 |
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4. まとめ
「各学年,各単元における基礎基本」については,啓林館に準拠した形で作成し,「朝基礎テスト」においては,「各学年,各単元における基礎基本」と埼玉県で実施している「教育に関する3つの達成目標」の「計算」における学力テストを参考に改良を加えて作成している。
2年間継続して行ってきた取組であるが,まだ,できていないものもあったり,学年差が生じたりしている。教科を越えて学年で学力問題を真剣に考え全職員で取り組んでいく必要性を強く感じた。今後は,学年としての取組を充実させることと小学校や近隣の大学との連携を考えていきたい。
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