京都府大谷中・高等学校 高間 秀章 |
1. はじめに 中学2年生の「場合の数」についての授業実践報告をしたいと思います。「場合の数」で苦労する生徒たちも多いと思います。本来ならば高校1年生で習得する「集合論」を理解した上で「場合の数」に入っていくことが理想であると思います。 しかし,中学では「集合論」は習わないため,なかなか定着しないと思っている中学校の先生方も多いのではないかと思います。私は,あえてこの定着しにくい「場合の数」についてお話したいと思います。 「場合の数」の基本でもありながら,最も生徒たちが躓くのは「和の法則」,「積の法則」 であると思います。私が,高校生を教えているときも,質問に来る生徒の大半は,「和の 法則」,「積の法則」が十分に理解していないという印象があります。よって,なんとか生 徒達に「和の法則」,「積の法則」を理解させれば,この「場合の数」は必ず定着するとい っても過言ではありません。しかし,生徒達に「和の法則」,「積の法則」を教えるのは非 常に難しいとここ何年かで実感しています。そこで,なんとか「和の法則」,「積の法則」を 定着させることを目標にがんばりました。また,本校は「6ヵ年一貫教育」を実践しており,本来ならば高校1年生の分野ですが, 中学校の段階で「順列・組合せ」も教えました。やを使わずに教えることは大変難し かったのですが,なんとか中学生にも「和の法則」,「積の法則」が理解できれば,高校の分野ではありますが「順列・組合せ」も定着させることができましたので参考にしていただければ幸いです。 2. 生徒の実態 中学生の学力低下が叫ばれている中,特に数学については苦手意識の強い生徒が多いと思われる。しかし,本校において,課題などはしっかりとやってくる生徒が多いのは救いである。 特に関数な図形の問題など,思考しなければいけないもの,また,創意工夫の必要な分野について苦手意識が強いと思われる。そこで,数学の中でも計算が主である場合の数について十分理解させることによって数学に興味をもたせたいと考えた。 3. 教材観(場合の数) 2年生の数学では,連立方程式や1次関数など今後「関数」をしていくなかで必要な分野を学習するなかで,この場合の数においては「関数」という分野からは離れることになる。しかし,実社会でもこの「場合の数」が数多く使われていることを実感させたい。 4. 実践のねらい 課題の工夫や,操作活動に配慮すれば,自分なりの考えをもって課題に取り組み,実社会で使用されている「場合の数」,「確率」について興味をもつことができると考える。
5. 課題 まだ,すべてを数え上げようとする生徒もいたので,次年度はなんとか和積の法則の教え方をさらに工夫し定着をはかりたい。 6. おわりに 今回あげた「場合の数」,それに連動して「確率」を学習するわけだが,やはり集合論を先に学習したほうが効率はよいと考える。そういった意味でも今一度「6ヵ年一貫教育」についてのあり方を検討したい。また,今回取り上げてはいなかったが,中学校数学のなかで生徒たちが最も苦手とする分野は「関数」であると私は思う。だから,「関数」について興味をもってもらえるような授業を考えていきたい。
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