福井県福井大学教育地域科学部附属中学校 小林真由美 |
1.単元名 〜お得な携帯電話プランをつくろう(「一次関数」「連立方程式」)〜2.単元設定の意図 (1)単元について数量の関係を日常生活の中から見つけ出し,「一次」の概念を式や表,グラフなどを用いて総合的に獲得していく学習場面である。1年時に学習した「一元一次方程式」と「比例」の概念をさらに一般化し,「二元一次方程式」と「一次関数」として考えていく。ここでは「連立方程式の解法」とか「一次関数のグラフの書き方」といったセクションごとの学習ではなく,設定した日常生活の場面の中で必要に応じた学習を進め,その学習場面を利用してグラフの書き方などの表現処理能力を獲得するという形で単元を構成している。 (2)単元の流れ
3.本時の授業構想 日常生活の中には,「一次」の関係になっているできごとがたくさん存在している。何気なく体験しているできごとも,関数的な見方で次を予測したり,関係式を利用して未知の数を解明したりできる。しかし,私たちがそれを数学的に処理しようとするとき,これは連立方程式で解く問題,これは一次関数の問題と分けて考えられるものではなく,それらは一次の関係として構造的につながって扱われる。そこで本時は,生徒にとって興味深いと思われる携帯電話の料金設定を数学的に解明することで,一次の関係を分かりやすく整理していく。一見,安そうに見えるプランも表やグラフに表すことで,意外と高額な料金になっていることを体験して,数学的に処理することのよさを体感するであろう。それぞれのプランの特徴を調べていくうちに,より安いプランは時間によって変わることが問題となる。その切り替わる時間が連立方程式の解であり,グラフの交点となる。生徒達はここまで学習してぼんやりとつかみかけてきた一次の概念を利用していくうちに,そのよさに気づき,関係についても理解を深めていくであろう。 本時はグループ活動を中心に,互いに学んできたことを出し合いながら一つの問題を解決していく形をとる。どのグループも同じ結論にいたるので,グループ内で解決したあと,クラス全体でさらに練り上げていく場面が設定しにくいと思われる。しかし,同じ式に到達しても,そこまでの過程はさまざまであり,その過程の関係こそが一次の概念のつながりである。グループでの活動をよく観察し,それぞれのグループの解決方法を共有しながら,みんなでそのつながりを発見していけるよう支援していきたい。
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