「速さ」は「単位量あたりの大きさ」の1つであるが,ある時間に進める長さを考えるといった観点で,その素地的学習は小3にある。「速さ」を詳しく学習するのは小6である。ここでは,速さを比べること,数値化することに主眼が置かれているので,道のり,時間,速さの関係についての学習が中心となる。
また,小学校では,数量の関係を線分図や関係図,表などに表してとらえることを学んでいる。また,簡単な場合について,□やxなどを用いて数量の関係を式に表したり,その□やxにあてはまる値を逆算の考えを用いることにより求めたりしている。実際,小学校の算数では,文字を使わずに逆思考的な方法で問題を解いたり,いろいろな工夫をしたりすることで問題を解いてきている。
しかしながら,数量関係が複雑になるにしたがって,算数の考え方だけでは解くことがだんだん難しくなってくる。そこで,前章で学習した文字を使うことの良さを,方程式の利用を通して実感させていくことが大切である。
○「速さ・時間・道のり」の問題を,1元1次方程式を使って解決することができる。
数学への関心・意欲・態度 |
○方程式と算数の解法の違いを理解する。それぞれの良さを感じ,方程式を利用して問題を解決しようとする。 |
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数学的な見方や考え方 |
○数量の関係を的確にとらえ,方程式を利用して問題を解決し,その過程を振り返って考えることができる。 ○方程式を使わない解法を考える。 ○求めた解や解決の方法が適切であるかを,与えられた条件に即して考えることができる。 |
数学的な技能 |
○速さ,時間,道のりの関係を理解している。 ○適切な数量を文字で表すとともに,問題の中の数量関係を的確にとらえ,それを基につくった1元1次方程式を解くことができる。 |
数量や図形などについての知識・理解 |
○1元1次方程式を活用して問題を解決する手順を理解している。 ○解の吟味の必要性を理解する。 |
(4)本時の学習指導
学 習 活 動 | 指導上の留意点・評価 | |
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導入 |
・速さ,時間,道のりに関する問題である。 ・小学校で学んだ速さ,時間,道のりの関係を復習する。 |
・速さ,時間,道のりの関係が十分に理解できていない生徒も多いので,教科書P221~222の内容について触れ,小学校で学んだこれらの関係を復習する。 |
展開 |
・ワークシート1を提示し,どのような問題設定であるかとともに,何を求めるかを理解する。 PDFデータ(ワークシート1) |
・興味関心を持って問題設定を理解しようとしているか。 ・復習した速さ,時間,道のりの関係をこの問題で,どのように利用すればよいかを考える。 ・何をxにするかを考える。 |
・姉が弟に追いつく→(姉が進んだ道のり)=(弟が進んだ道のり) ・ワークシート1で,方程式を立てる。 ・ワークシート2内の表を完成させて,方程式を立てる。 ・ワークシート1または2の方程式を解く。 |
・姉が弟に追いつくということの意味を考える。 |
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・方程式を解き,題意を満たしているかを確認する。 |
・方程式の解が問題の解として適当か(題意を満たしているか)を確認する。 |
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・問題を解く。 ・解の吟味の必要性を伝える。 |
・解の吟味の必要性を確認する。 |
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・方程式を使わない解法について考える。 |
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PDFデータ(ワークシート3)
・ワークシート3を提示し,方程式を使わないで解けないかを考える。 ・ワークシート3に沿って問題を解く。 |
・時間を与え,ワークシート3に沿って,解法を進めていく。 ・同一方向は速さの差を考える,逆方向は和を考えるなど,算数独自の解き方の良さを感じる。 |
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まとめ | ・本時のまとめ |
・算数,数学それぞれが持っている解法の良さについて考え,発表する。 |
方程式を用いた解法は,今後数学の学習を進めていく上で,応用範囲が広く有益なものである。一方,ここで用いた算数の解法は,速さの差に注目するという算数独特の解法である。本時の学習を通して,数学および算数それぞれの解法の良さを学び,今後の数学の学習に生かせるようにしたい。
啓林館 小学校と中学校の算数,数学 学びのつながり
啓林館 指導書 未来へひろがる数学1 第2部 詳説
図書文化 観点別学習状況の評価規準と判定基準 北尾倫彦監修
平成24年度大阪市立中学校教育研究会 数学部【小中連携班】指導事例