現代社会では,子どもを取り巻く環境の変化やアレルギー等により,家庭で生き物を飼育したり植物を栽培したりする経験ができない子どもが増えているため,責任をもって生き物の世話をし続ける機会が乏しくなっている現状がある。そこで,低学年でも比較的容易に栽培ができるあさがおを教材として取り上げることで,日々の生長の様子や変化を捉えるとともに,生命の尊さや連続性を実感する場面に向き合い,生き物への親しみをもって大切にしようとする思いを高めることができると考えた。また,一人一鉢のあさがおを栽培することで,一人一人の生育状況が異なっていたり,咲いた花の色が違ったりするなど,友達と比較しながら世話の仕方を思考する活動が期待される。自分自身とあさがおの関わり方について思考を重ねることにより,自ら判断・決定し,学びを創り続ける子どもの姿に迫ることができると考えた。
知識・技能 | 思考・判断・表現 | 主体的に学習に取り組む態度 |
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(4)単元の全体像
(5)全体指導計画
時 | 主な学習活動 | 他教科との関連 |
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1 | 〇 あさがおの種を観察する。 |
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2 | 〇 種まきの準備や方法を話し合い,今後の学習を考える。 |
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3・4 | 〇 あさがおの種を植え,これからの育て方について話し合う。 |
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2年生からもらったあさがおさんを育てていこう!
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5 | 〇 発芽の様子を観察し,あさがおの気持ちを考える。 |
◇体育科 〇〇ランド ◇音楽科 お花になってあそぼう ◇国語科 しらせたいことをかこう |
6 | 〇 あさがおを観察し,あさがおの今の様子について考える。 あさがおさんのかわいいところを伝えよう!
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7 |
〇 困ったことを話し合い,これからの育て方について考える。 |
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8 |
〇 ゲストティーチャー(公務補さん,2年生)のアドバイスをもとに,支柱立てや間引きを行う。 |
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9 |
〇 葉やつぼみの様子を観察し,この後の生長を予想する。 |
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10・11 |
〇 あさがおの花や葉を使って遊びを考える。 |
◇図工科 あさがお美術館 |
12 |
〇 あさがおさんとの思い出を残すにはどう表現すればいいか話し合う。 あさがおさんとずっといっしょにいるためには
どうしたらいいかな? |
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13 |
〇 種の仕組みを観察し,種取りをする。 |
◇算数科 おおきいかず |
14 | 〇 あさがおの生長をまとめる。 |
◇道徳科 ハムスターの赤ちゃん |
15 | 〇 あさがおの生長と自分や友達の成長を振り返る。 |
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16 |
〇 あさがおの種を来年の1年生にプレゼントするための準備をする。 |
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あさがおさんありがとう。これからもいろいろな生き物を育ててみたいな!
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子どもが「自ら判断・決定し,学びを創り続ける」ための手立て
①思いや願いが課題となる文脈の工夫
あさがおを大切に育てたいという思いや願いをもって関わることができるよう,単元の初めに2年生からもらったあさがおの種に名前を付け,親として世話をする意識を高める活動を設定した。また,朝の会などであさがおの様子を伝える場面を設定することで,自分や友達のあさがおの生長や変化に気付き,あさがおに対する思いや願いについて全体で交流する必要感を高めた。
2年生から種のプレゼント
子どものつぶやきから新たな課題へ
②選択し自己決定する場の設定
あさがおの生長の中で生じる困っていることや解決したいことを話し合い,自分の世話の仕方を見つめ直したり,友達にアドバイスしたりする場を設定した。気付きを伝え合い,自分とあさがおにとって適切な世話の仕方を自己決定できるようにした。また,枯れてしまうあさがおとの思い出を残す方法を全体で話し合い,アルバムやリース,写真撮影など,自分が納得のいく思い出の残し方について自己決定する場を設定した。
学年全体で話し合う
思い出の残し方を決定
写真に撮って気付きを交流
③教科横断的視点による単元構成
子どもによる体験活動と表現活動が一体となり,子どもの思いや願い,気付きをもとにねらいに迫っていけるような単元を構成した。あさがおの生長に気付いたときに日記や手紙,作文を書く(国語),花や種の数を数える(算数),あさがおの生長を歌にして歌う(音楽),発芽の様子について体を動かして表現する(体育),花やつるを使って飾りを作る(図画工作)など,様々な方法で表現できる場を設定した。
(1)成果
(2)課題