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生活

『自分らしさを生かし,ともに学ぼうとする子どもの育成』を踏まえて実践した町たんけん
~2年生活科 「とび出せ!町のたんけんたい」から「町のすてきをつたえたい」の授業実践~

帯広市立北栄小学校 扇 有美

1.はじめに

今年度本校では,研修テーマを『自分らしさを生かし,ともに学ぼうとする子どもの育成』と位置づけ,①子どもが主体となるような学習場面を工夫することによって,一人一人が自分の学びを表現し,意欲的・主体的に課題を追求する力を育むことができるのではないか。②協働的に学習するために柔軟な場の設定や時間の保障をすることによって他者とともに学んだり,深めたりしていく力を育んだりすることができるだろうという2つの仮説を立て,授業実践に取り組みました。

本校は国道に面したところに立地し,飲食店を始め,車販売店,コンビニ,洋服屋などたくさんのお店があり,2年生生活科「とび出せ!町のたんけんたい」「もっと知りたいたんけんたい」の単元に適した学習環境にあります。1学期の「とびだせ!町のたんけんたい」を町のたんけん第1弾,2学期の「もっと知りたいたんけんたい」を第2弾と位置づけ,本校では自分たちの住んでいる町のことをより深める学習に取り組みました。1学期には2年生全員で3方面を歩き回り,どんなお店があるかをつかみ,それぞれがお店に対する意識を高めました。2学期は更に興味をもったお店を訪れ,インタビューを通して自分たちが調べたいことを調査してくるという学習をしました。そして,第3弾の「町のすてきをつたえたい」では,町のすてきをまとめたことを保護者の方々に伝える実践をしました。

2.3つの単元学習の流れ

主な学習活動 指導の工夫
第一次(⑰時間)

「とび出せ!町のたんけんたい」

  • ① 自分達の住んでいる町の知っていることを話し合う。
  • ② 東・南・西方面にたんけんに行く。
  • ③ 見てきたことを白地図に書き込んで,方面別の特徴をつかむ。
  • ④ グループごとに発表し合う。
  • 探検の前に着眼点を相談し,お店の名前,看板の色や工夫,何のお店なのかを調べてくるようにした。
  • 帰ってきた後には,白地図にお店のことを書いた付箋とお店の写真を貼り,各方面の特徴をまとめた。

国道沿いなので飲食店やディーラーが多いことに気付くことができた。

第二次(⑪時間)

「もっと知りたいたんけんたい」

  • ① 前回の町たんけんを振り返り,もっと知りたいお店を選び,グループを作る。
  • ② グループごとに,インタビューする内容を考え,練習をする。
  • ③ グループごとに町探検に出かけ,インタビュー活動をする。
  • ④ インタビュー活動をして発見してきたことを絵と文章でカードにまとめる。
  • ※訪問をお願いするお店への連絡は,学校支援地域本部コーディネーターを活用した。
  • 入店したことのないお店については,どうしてそのお店に行ってみたいのかを中心にインタビュー内容を考えた。
  • 挨拶も含め,インタビュー訪問でのマナーも学習した。
第三次(⑪時間)

「町のすてきをつたえたい」

  • ① これまでの探検カードや絵地図などの作品を整理する。
  • ② 自分の見つけた町のすてきを考え,紹介し合う。
  • ③ 自分の伝えたい内容や町のすてきについてグループで決めた方法でまとめていく。
  • ④ 発表会の準備をする。
  • ⑤ 町のすてき発表会をする。
  • これまでの学習の記録(探検カード,メモ,絵地図,絵日記,写真など)をもとに,町のすてき(町の人の願い・おすすめ・工夫)を見つけ,交流した。町のすてきについて子ども自身が気付いたことや,インタビューを通して学んだことを保護者に紙芝居,ペープサート,ロイロノートクイズ,スライド,劇などの方法を子ども達が選んで発表した。

3.単元について

(1) 単元名
「町のすてきをつたえたい」

(2) 単元の目標
◎これまでの町探検で気づいたことや季節を通しての町や人々の様子,多くの人との関わりや交流について,まとめたり,身近な人たちと伝え合ったりする活動を通して,自分たちの町の良さに気づいたり,町やそこに住む人々への愛着をいっそう深めることができるようにする。

(3) 単元の評価規準

知・技 季節を通しての町の様子が分かり,町のいろいろな「すてき」に気づくとともに,町への親しみや愛着が増したり,人々と適切に交流することができるようになったりした自分自身の成長に気付いている。
思・判・表 町探検で気付いた町の良さや人々と関わることの楽しさについて考え,自分なりの方法で表現したり,発表したりしている。
態度 季節を通しての町の様子に対する関心や,町の人々や様々な場所に対する親しみをもって,これまでの町探検のまとめをし,友達や町の人々と伝え合おうとしている。

(4) 単元の指導計画(2/11)

おもな学習活動 研究の視点の重点
1 ・これまでの探検カードや絵地図などの作品を整理する。
・自分の見つけた町のすてきを考え,紹介し合う。
3 ・自分の伝えたい内容や伝える相手に適した伝え方を選ぶ。
4 ・町のすてきについてグループで決めた方法でまとめていく。
5

8
・発表会の準備をする。
9 ・発表会の最終確認をする。
10 ・町のすてき発表会をする。(参観日)
11 ・町のすてき発表会を振り返る。

※ 本校では,研究の視点を3点設定しています。

を検証しています。

4.本時の学習(2/11時間目)

(1) 本時の目標
・これまでの町探検を振り返り,自分たちの町にはすてきな人や場所がたくさんあることに気付くことができるようにする。

(2) 本時の展開

学習活動 研究の視点 ★評価規準
  • 1.前時の学習をふりかえる
  • ・春と秋の町探検で取り組んできたことを確認する
  • 2.今日の学習内容を把握する。
  • ・インタビューに行ったお店のすてきを探していく。
  • 3.本時の課題を確認する。

自分の中のすてきを見つけよう。

  • 2.インタビューカードや絵日記・写真をもとに印象に残っていることを思い出すことができるようにする。
    <視点2>
  • 4.町探検でインタビューしたことをもとに自分のすてきを探す。
  • ・インタビューカードや絵日記・写真をもとに自分が気付いたすてきをロイロノート・スクールに書き込む。
  • 5.全体で交流する。
  • ・それぞれのすてきを発表する。(数人)
  • ・自分のすてきとくらべて似ているところ・違うところがあるかをロイロノート・スクールで選ぶ。
  • 5・6 自分の考えたすてきを友達のすてきと比べるために
    全体交流やグループ交流でたくさんの意見を聞いて,共通点や相違点を見つけることができる。
    <視点③>
  • 6.グループで交流する。
  • ・町探検の同じグループどうしですてきを伝え合う。
  • ・一人一人がすてきを見つけて,ロイロノート・スクールに書く。
  • ・それぞれのすてきをグループでまとめる。
  • 7.全体で交流する。
  • ・それぞれのすてきをグループごとに発表する。
  • ・友達のすてきを自分のすてきと比べたり,付け足ししたりして聞く。

8.振り返りをする。

・簡単に記号で振り返る。

◎・・・すてきを見つけたし,友達の考えを聞いて,自分のすてきを増やすことができた。

〇・・・すてきを見つけられた。

△・・・難しくて見つけられなかった。

★評価規準

4【思判表】町探検で見つけたり聞いたり感じたりしたことを関連付けて,町の人の願い・おすすめ・工夫にについて考えている。(発言・対話・行動)

5・6【主体】町のすてきを伝えたいという思いをもって,町探検の中で気付いたことや多くの人と交流をもてたことを身近な人達に伝えようとしている。(発言・行動)

  • 9.次時の予告

振り返りシートから

5.成果と課題

(1)成果

(2)研修テーマにおける成果と課題

【参考文献】