私は,この3年間,宇治市のICT活用研究員や,京都府のICT利活用の推進リーダー(エバンジェリスト3期生)として,タブレット端末を活用した授業実践を積んできた。
昨年度は,「自学自習のできる自律した児童の育成」をテーマに,「1人1人の学び方の工夫」と「個別の課題選択」が可能な授業研究を進めてきた。
今回の実践は,教育DXを推進するための「新しい授業形態」の提案である。
伴って変わる2つの数量の関係を明確にするために,資料を表に表したり,グラフに表したりできることを理解している。
伴って変わる2つの数量の関係を表に整理して,変化や対応の特徴を考察している。
表やグラフ,式に表された変化や対応の特徴をふりかえり,それぞれの表し方のよさに気づき,さらに考察を進めようとしている。
次数 | 目標 | 学習活動の流れ | 評価・資料 |
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経済産業省「未来人材ビジョン」では,2050年にはデジタル化や脱炭素化という大きな構造変化によって,「問題発見力」「革新性」「コンピュータスキル」などが求められると言及されている。
また,オクスフォード大学の研究によると,2030年に必要とされるスキルとして,「戦略的学習力」「発想の豊かさ」「アクティブラーニング」などが上位に挙げられている。
上記のように,これからの時代に求められる能力やスキルを習得させるために,私は「3つの視点」を意識して,指導にあたっている。
現在の一人一人の学力は,これまでの学習習慣の積み重ねによってもたらされた結果である。習慣の大切さは,常日頃から指導し,授業においても,PDCAサイクルを意識させた学習習慣の形成に取り組んできた。
本単元では,毎時間の最初に,その時間の目標と学習課題を全員で共有した。1時間の目標と学習課題を確認したうえで,児童一人一人に学習形態や学習教材を選択させた。これは,自分に最適な学習方法を見つけさせ,自学自習のできる児童の育成に繋げるねらいがある。
学習に集中しやすい環境というのは,それぞれ違うものの,自分に合った環境で学習に向かうことができれば,学習の成果をより一層期待することができる。
本単元では,「一斉指導」,「グループ学習」,「個別学習」という3つの学習形態から,自分に合った学び方の選択を可能するために,教室を3つのゾーンに分け,授業を展開した。
自分に最適な学習方法を1つでも習得していれば,今後,効果的に学習を進めることができるのは言うまでもない。一人一人が,確かな学力を身に付けていくために,自分に合った学び方の選択は,必要不可欠になる。
本単元では,①「教科書」,②「ノート」,③「ワークシート」(教科書の内容に合わせて作成した学習プリント(下記参照)。紙媒体とPDFの2種類で用意した。),④「タブレット端末」(MS365の活用,「わくわく算数」の視聴,ドリルパーク(ベネッセの個別学習ドリル)の演習)の中から,自分に合った学び方を選択させた。
今までの教育や指導の在り方を否定するつもりは全くない。ただ,教育や指導の在り方は,時代と児童生徒の実態に合わせて変化させる必要はあるのではないだろうか。今後,求められる能力やスキルを育成するために,最適な指導方法について試行錯誤し,辿り着いた結果が今回の実践である。ICTを活用することが目的となるのではなく,一人一人の最適な学習方法を実現させ,今後,求められる能力やスキルの育成のために,ICTを効果的に活用していきたい。
今回の実践は,理想の授業形態として思い描いていたものの,年度当初からICTを活用した授業を展開し続け,3学期にようやく実現させることができた。本実践は,決して完璧なものではないが,より多くの方々にとって,ICTのさらなる利活用を促進するきっかけになればと願っている。今後も,一教職員として,効果的な指導を研究していきたい。
【参考・引用文献】