小学校 教科書・教材|知が啓く。教科書の啓林館
英語

自他を大切にし,進んで互いの思いや考えを伝え合おうとする子の育成

京都市立朱雀第二小学校  増田 悦子

〇 はじめに

本校では,平成30年度より研究教科を外国語活動とし, 英語を使って互いの気持ちや考えを伝え合う言語活動を通して新学習指導要領の目標に示された資質・能力を育てていきたいと考えている。やり取りの力を高めるには,聞く力も同時に高めていく必要がある。そこで,新教材を活用したカリキュラムのもと,推測しながら音声を聞いたり,思考を働かせながら話したりすることを重視した授業改善に取り組むことで,主体的・対話的で深い学びの実現を目指したい。

1 単元のポイントと単元計画

“Let’s play cards.”好きな遊びを伝えよう(“Let’s Try!2” Unit 2 参照)の単元では,世界への興味や関心を広げるため,児童にとって身近な話題である「遊び」を題材にした。また特別活動と関連付けて,学級のみんな遊びで世界の遊びを経験したり,たてわりグループのリーダーである6年生に世界の遊びを紹介し,その遊びに誘ったりすることで,各時間に出会った知識及び技能を,実際のコミュニケーションにおいて活用できるようにした。

目標と主な活動
1


時 ∨

世界と日本の遊びの共通点と相違点を通して,多様な考え方があることに気付くとともに,天気や遊びの言い方を知る。

  • ・Let’s Chant: How’s the weather?を言う。
  • ・Small Talk: 遊びについて,指導者の質問に答える。
  • ・遊びの言い方を知る。
  • ・Let’s Watch and Think 1: 映像資料などで,世界の子供たちの遊びの様子を見て,自分たちの遊びと世界の子供たちの遊びの共通点や相違点を発表する。
  • ・指導者の話から,単元のゴールについて知る。
2

遊びや天気の言い方に慣れ親しみ,さまざまな動作を表す語句や遊びに誘う表現を知る。

  • ・Let’s Chant: How’s the weather?を言う。
  • ・Let’s Listen 1: 音声を聞いて天気を聞き取り,登場人物とイラストを線で結ぶ。
  • ・Let’s Play: 動作を表す語句や体の部分を表す(語句に慣れ親しむ遊びをする。)
  • ・Let’s Sing: Eeny, meeny, miny, moeを歌う。
  • ・Let’s Listen 2: 衣類等の言い方を知る。音声を聞いて天気と衣類を線で結ぶ。
3

天気の言い方に慣れ親しみ,好きな遊びについて尋ねたり答えたりして伝え合う。

  • ・Small Talk: 天気について,指導者の質問に答える。
  • ・Let’s Listen 3: 国名と天気を聞き取り,□に天気の絵を描く。
  • ・Let’s Watch and Think 2: 世界のさまざまな天気について分かったことを発表する。
  • ・天気に応じた好きな遊びを伝え合う。
  • ・指導者の指示のもと世界の遊びをみんなでする。
4

相手に配慮しながら,友達を自分の好きな遊びに誘おうとする。

  • ・Let’s Sing: Eeny, meeny, miny, moeを歌う。
  • ・Activity: 教室内を歩いて回って友達とペアになり,挨拶をし,指導者が指示した天気に応じて好きな遊びを尋ね,遊びに誘う。
  • ・指導者の指示のもと世界の遊びをみんなでする。
  • ・天気に応じて,どんな世界の遊びをしたい友達が何人いたかを表に書いて発表し,6年生との活動につなげる準備をする。
  • ・天気に応じて,たてわり遊びでどんな世界の遊びをしたいかを6年生に伝える。

2 授業の様子(第1時)

(1)挨拶をする

挨拶をした後,指導者とHere you are. Thank you.とやり取りをして「イングリッシュパスポート(振り返りカード)」を数名の児童が預かった。預かったパスポートを友達に渡す際は,お互いの目を見てやり取りをしていた。

(2)チャンツを言う

Let’s Chant: How’s the weather? で,デジタル教材を使用した。児童は指導者のListen carefully.の声かけで集中し,1回目が終わるとOne more time, please. とさらに聞こうとする意欲的な声が上がった。また,多くの児童が指導者の指し示す天気カードを頼りにしながら口ずさんでいた。

(3)Pre Small Talkをする

テーマを「好きな遊び」とし,前時に出会った表現I have questions about how to play games.で始まったPre Small Talkは,指導者からのインプット中心で進めるようにした。指導者は,児童が類推しやすいように,既習のDo you like ~?の表現とともにジェスチャーを付けて話すようにしていたので,児童が質問に対して挙手したり呟いたりするなどの反応が見られた。一つ一つの遊びを表す絵カードを掲示することで,Pre Small Talkが次の活動につながるようにした。

(4)Let’s Watch and Think 1をする

デジタル教材の映像に加え,ALTが小さいころにした遊びについて説明する映像,インターネット動画を視聴した。「今から遊びについての映像を見るので,どんな遊びかよくWatch and Think してね」と,聞く視点を与えたり,一つ一つの映像が終わる度にWhat kind of play?と内容を確認したりし,日本の遊びと比べやすくした。また,さらにめあてに向かう活動となるように,その遊びの国名を示したり,絵カードを掲示して遊びについて指導者が説明したりした。多くの児童が,新たな世界の遊びを知る度に「日本の〇〇と似ている」などと呟いていて,世界と日本の遊びを比べながらこの活動を進めていることが分かった。

(5)振り返りをする

指導者が本時のめあてを確認してから,「イングリッシュパスポート(振り返りカード)」
に書くようにした。児童のほとんどが「世界と日本の遊びの似ている点」について書いていた。また,「世界の遊びをたくさん知って,実際にやってみたくなった」という振り返りも多くあった。

(6)単元のゴールについて知る

指導者が「この時間で知った世界の遊びをこれからの学校生活でどうしたいかな」と投げかけた。児童は振り返りにも書いているように「遊んでみたい」と答えた。そして,「みんな遊びですればいいんじゃない」とアイデアが出たので,指導者は,単元計画の中で紙を貼って隠していたゴールのコミュニケーション活動の相手「学級や学年の友達」を示した。さらに,「もっと他の学年の人たちにも広げる方法はないかな」と投げかけると「フレンドリー活動があるよ」とたてわり遊びのことを言った児童がいた。すると,他の児童も「それいいね」と賛成したため,指導者は「たてわりグループのリーダーは誰かな」とさらに投げかけ,学級の友達ともう一つの相手である「6年生」を示した。このように,本時の最後にゴールについて知る時間を設定することで,児童がこの時間の活動を生かして自らゴールを見出せるようになった。児童は次時の活動へ,また単元のゴールへと,意欲を高めていた。

3 授業の様子(単元のゴールの活動)

世界の遊びをたくさん知れば知るほど,児童は自然な流れで「実際に遊んでみたい!」という気持ちになっていった。学級のみんな遊びでも,度々やったことのない世界の遊びが登場するようになった。1時間は,ALTと英語を使いながら遊ぶ時間も設けた。遊びの中で使われる英語は分からないことが多かったが,何とか分かろうとする姿が見られ,みんなで楽しむことができた。

そして,最後はいよいよ「世界の遊びのおもしろさを全校児童に広めよう!」と取り組む時間となった。全校児童に広めるために本学級の児童が考えた方法は「たてわりグループのリーダーである6年生に世界の遊びについて伝えて,フレンドリー遊びで使ってもらう」というものであった。6年担任と6年児童に協力を依頼し,4年教室で児童が作成した「世界の遊びルールシート(晴れ・雨バージョン)」を活用し,指し示しながら使えるところは英語を使って伝えた。6年生は4年生の話に熱心に耳を傾け,Do you like ~?やNice idea! Me,too. などと,会話が往復のやり取りになるようにつないでくれた。そして,4年生がLet’s play ○○!と遊びに誘うと,6年生はYes! Let’s! と元気に答えてくれた。そして,フレンドリー遊びの日がやってきた。いくつものグループが4年生のおすすめした世界の遊びを取り 入れてくれていた。

おわりに

現代は人と言葉を交わすことがなくても生活が成り立つ時代である。からこそ,児童には「言葉と生きる」というよさや喜びを感じられるようにしたい。言葉を使ってなんとか分かり合おうとする経験は,多くのものを得るはずである。そして,続けることで他にも波及する変化が見られると思う。また,Pre Small Talkや映像教材では,新しい表現に日本語を介さずに出会った。その時に児童は「何て言っているのかな」と頭をフル回転して聞いていた。この「頭をフル回転して」は新学習指導要領解説の「推測しながら」にあたる。視聴教材をどう使えば「推測して聞くこと」につながるかを探っていきたい。
これまで取り組んだ単元では,ゴールの活動を授業の最初に知らせることを常としてきたが,この単元では最後に児童に知らせることにした。それは,「その時間に得た知識をどうしたいと思うか」と,児童の思考を予想したからである。「児童が考える場面」を活動のどの部分にしかけるのかも,今後探っていきたいと考える。
児童が生き生きと「本当」のことを伝え合う姿を目に浮かべながら,これからも切磋琢磨していきたい。