4年
一人ひとりの可能性を伸ばす算数科指導
      −コンピュータを活用して−
大阪府東大阪市立孔舎衙小学校
山川伸章
1.単元  4年 算数 「面積」

2.教材観及びコンピュータ活用の視点

面積の自作教材を作成するにあたって留意したことは,教師の説明の道具ではなく,子どもたちの創造の道具にすることであった。つまり,子どもたちが主体的にコンピュータを活用して,学ぶ楽しさや,つくる喜びを体得できるようにしたいと考えた。このことは,先に発表された中教審答申の「生きる力」と一致するものである。
 
この実践時では本市の小学校にコンピュータが導入されていなかったので(昨年度に各小学校11台,一部に21台導入された。)持ち込みの7台のコンピュータ(1班に1台)という環境でスタートした。
 
面積の問題づくりでは,今までの面積の学習をもとに好きな図形をかき,着色する活動を通して図形のおもしろさを体感させていきたいと考えた。この活動は一人ひとりの子どもの個性が発揮される場面であり,その考えをわかり合うことで子どもたち相互のコミュニケーション能力の向上が期待できる場面でもある。そこで,コンピュータが導入されている校区の中学校のコンピュータルームを借りて2人に1台という環境で実践した。このことは,本市の教育改革の1つでもある幼・小・中の連携,段差の解消とも一致している。
 
1cm2の形をつくる活動では,1cm2が□(1辺が1cmの正方形の面積)の広さとしか考えていない子に多様な1cm2があることに気づかせ,その概念をくずすことに意を用いた。また,3cm2の形をつくる活動では,限られた広さでもいろいろな形ができることがわかり,図形(面積)に対する柔軟な見方を育てるとともに図形の持つ楽しさや美しさを実感させていった。
 
面積の公式では,単位面積の個数を早く計算する方法の見通しを持たせた(マス目がある場合,マス目がない場合)。その後の練習問題(ただし,子どもが数字を入力)を通して,面積の公式「縦×横」「一辺×一辺」を発見させていった。
 
複合図形の面積では,解決の方法の見通しを持たせる。パソコンで図形の合成・分解を操作させ図形の構成に気づかせていった。また,ヒント画面や電卓画面,着色画面を用意し,思考の手助けとした。
 
1cm2,3cm2の形をつくる時や複合図形の面積を求める時の考え方は,面積の保存性を生かした等積変形の基礎となり,5年生の基本図形の求積の公式を作り出す時の素地になったと思う。
 

3.主な学習内容と児童の感想

(1)第1時 単位面積と5cm2の形づくり

 パソコンを使って社会や算数の勉強ができるなんて,すごいと思いました。なぜなら,私はパソコンはゲームをうつことしかできないと思っていたからです。 算数の勉強は少しきらいだけど,パソコンで勉強したらマウスで動かして『=』のところとか□のところを押したら,文字とかがでてきて,おもしろいので算数の授業も楽しくなりました。算数の勉強でボタンを押したら1つずつ赤の色になって,よくわかった。(H−女)

(2)第2時 1cm2,3cm2の形づくり

                       

 私は□だけが1cm2だと思っていたけど,も1cm2だとは思いませんでした。パソコンはわかりやすくて,遊んでいるようにできるので算数でパソコンをするのが楽しいです。(I−女)

(3)第3時 長方形,正方形の面積

 面積を速く表す方法はかけ算をすることだとわかりました。パソコンがこんなに楽しいとはわかりませんでした。私はゲームをするだけが楽しいなぁと思っていたら算数の勉強もパソコンでできて,すごくきのうより楽しかったです。(I−女)

 今日の算数の時間はとてもおもしろかったです。人に問題を出したりしてとてもおもしろいし,答えを出すのもおもしろかったです。また,人に問題を出したいです。(N−女)

(4)第4時 複合図形の面積

 私は初めて凸凹な形を習いました。どうやってするのかなぁと考えていて,こんな問題とけるかなぁと思っていました。でも区切りをつけたらいいのかなと思って区切りをつけてみれば簡単でした。黒板とちがって,ヒント1や問題練習などがあって,すごく楽しかったです。(I−女)

(5)第5,6時 面積の問題づくり

 中学校のパソコンは,2人に1つぐらいあって,すごく楽しかったです。先生のパソコンとちょっとやり方がちがうけど,すぐおぼえてちょっとずつ楽しくなっていきました。すごく楽しかったので,また,行きたいです。それとやっぱりふつうの教室でやるよりすごくおもしろいです。
 えんぴつで書くよりボタンとかおせて,すぐできました。色もぬる時間があって,文字はかけなかったけど,やっぱりマウスの使い方は難しかったので文字まではできませんでした。線がいがんだりしてやり直してばっかりしたけど,きれいに最後はできました。また,いけたらすごくうれしいです。自分の思い通りにできたので良かったです。 パソコンの「KiTED」は,だいぶなれてきて良かったです。ぼくの家はパソコンなんかないから,初めて見た時はすごくびっくりしました。でも,それがちょっとだけ今はなれてきました。ぼくも家にあったらすごく楽しいです。(A−男)

 パソコンで問題を作る時中学校のコンピュータ室に入ると,すごいパソコンとか機械がたくさんありました。コンピュータ室にはけいほうきとかがありました。パソコン1台2人で使いました。最初はきんちょうしてたけどだんだんなれてきてこのクラスのパソコンのようになれてきました。クラスのパソコンと使い方が同じなのでむずかしいとこはありませんでした。作り始めたら線はずれずれでしたが先生になおしてもらってなれてきました。1台2人で使うからちゃんと2人分キーボードとマウスがありました。マウスはAとBがありました。ぼくはマウスBを使いました。ぼくが先にやらしてもらいました。問題作りは楽しかったです。 (O−男)

なお,この自作プログラムは,加藤 譲氏が著作権を有するプレゼンテーションソフトKiTED(フリーソフト)で作成しました。


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