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学んだことを生かし,進んで考える子の育成
10000より大きい数を調べよう「大きい数のしくみ」 |
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1.はじめに 算数の内容は指導者が,教材研究を十分にしなければ児童に理解させることはできない。指導者が「わかりきっていること」「簡単なこと」ととらえて指導したら,その段階で児童にはもう理解できない。 まず,児童の実態を的確に把握して,「どうしたら理解させることができるか」「分かりやすい課題提示はないか」「つまずきはどこか」を十分に事前に把握していなければならない。どの単元でも・・・ 「大きな数」は児童にとっては量としてとらえることが難しい。まず,身近に接したり使ったりしている数から「おおきな数」を意識させた学習活動をめざした。また,本校は年間を通して,算数指導で基礎基本の定着について取り組んだことも提案したい。 子どもたちは新しい学習内容に期待し,学び取ろうとしている。中学年は,既習を意識できる段階にある。「昨日の勉強は,たし算でできたから今日もたし算でできるだろう。」と何気なく既習を感じられるようになっていることが,既習を意識できるようになっていることの証拠である。 低学年での学びを広げ,既習を生かしながら「学習を創り上げるのは自分たちである」ことをより実感させたい。そのためには,学び合いの授業が大切である。「一人一人の考えには何かよいものがあるはずだ」という尊重の心をもち,お互いの意見をよく聞き,受け入れるという共感的な雰囲気で学び合いの授業を展開したい。 学び合いの中で友達の新たな見方,考え方に出会い,算数の内容を自分のものにしていく学習感を獲得させたい。そして,問題を解決するときに「あのときに学習したあの考えが使える。」「あの学習とここが似ているな。」と関連づけて学ぶことができれば,つながりを感じて自分なりに問題を考える楽しさや自信につながるだろう。 2.単元について
数については,第2学年で百から千,そして一万までに範囲を拡張し,十進位取り記数法による数の表し方,数の構成,系列,順序,大小,それぞれの位の大きさの関係などについて学習してきている。数範囲は第4学年で億,兆にまで広げられて,整数の範囲の拡張はほぼ完了する。 第2学年では,千万の位まで学習しているが,当然,けた数が1つ上がるときの数の構成,数詞の巧妙な繰り返しについては,ほぼ気づいているはずである。 第3学年の本単元では,一万の位をもとにして,第2学年までに学んだ千までの位全体がもう1度繰り返されるのである。一万の位のすぐ上の位が一億でなく十万,百万,千万と繰り返す。この繰り返されることをしっかりふまえると,第4学年で一億をもとにして十億,百億,千億と繰り返し,さらに一兆をもとにして十兆,百兆,千兆と繰り返すというしくみに比較的容易に気づくであろう。このように,十進数は,数詞が少なくてすむように工夫されている。このことをしっかり理解させるために,本単元は重要な役割を果たす段階であることをふまえておきたい。 このように,本単元では数範囲を万の位をもとにしてさらに千万の位まで拡張する。 3.単元の目標
4.教材の内容
児童が豊かな考え方をし,算数的な概念を追究していくために算数的活動をさせる。単元の導入(1時間目)で,「やってみたいな!」という意欲を起こさせる工夫として「お金を数える」活動を取り上げる。生活の中から素材を選び,生活の中にある算数を舞台にあげる授業づくりをすることで,子どもたちにとって身近な問題としてとらえることができると考える。お金の「スプーンキャッチャーゲーム」を行い,数えるという操作的な活動を取り入れることで,意欲的に取り組める。つかんだお金を1人で数えるのは大変だが,班全員で協力することで数えることが軽減される。コミュニケーションを図りながらできる共同活動になるのではないかと考える。
単元の指導の重点となる「これだけは身に付けさせたい」という基礎・基本を教師が明確に押さえることで,定着を図りたい。新しい学習ではあるが,2学年で学習した10000までの数のしくみと考え方は同じであるということに気づかせたい。このことを一般化させ,活用できるように理解させる。そのためには学習した問題の数字を変えたり,条件を変えたりして,他の場合でも使えるかどうかも考えさせたい。教科書のおさらい問題に取り組んだり,繰り返し練習したりして復習を重視し,忘れないように身に付けさせたい。また,毎授業の最初の時間にステップアップタイムを設けて,学習の復習や計算問題に取り組みながら基礎・基本の定着や集中力をつけようとしている。
授業中の机間指導において○つけ法を実践しながら,考える力を高めたい。1人1人の取り組みの過程に○をつけながら,支援や励ましの声をかける。正答ならば,「合っているよ。」「よく考えたね。」「いい考えだね。」などの称賛の言葉と「他の解決方法もないかな。」「みんなに説明できるように考えてみよう。」と次への指示をかける。誤答ならば,「ここまで合っているよ。」「・・・のときにやった方法で考えてみたら。」などの部分肯定と考え直す言葉をかける。手が止まっている場合には,「これ(具体物)で考えてみてね。」「これを簡単にしたらできそうかな?」と言葉をかける。教師が子どもの考え方を予想し,声かけの言葉を考えておくことで個に応じた指導を行いたい。
5.展開
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