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既習の知識や数学的な考え方を活用していく授業の展開 〜テトロミノパズルを教材化することを通して〜 |
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1.はじめに テトロミノパズルを教材化してみた。テトロミノパズルは,正方形を4つ,辺と辺をきちんとつけると下の右図のように5種類の形ができる。各種類2枚づつ,計10枚を使って様々な枠に入れるというパズルである。(テトロミノパズル市販されています。算数的活動として,子どもたちに作らせるのもいいと思います。)
本単元では,正方形をつなげて形を構成したり,構成した形(テトロミノ:正方形を4つつなげた形・ペントミノ:正方形を5つつなげた形)で正方形の枠の中を埋めたりする活動から生まれる問いを,既習の知識や数学的な考え方を活用しながら,図形を構成したり調べたり,その結果を的確に表現・処理したりすることができるようにし,それらの活動に楽しみを見出せるようにすることをねらいとしている。 図形の学習と面積の学習(量と測定の領域)や落ちや重なりの統計的な処理の素地(数量関係の領域)に関連付けることで,学習をより発展的に広げることができる。異領域間を関連させ,総合的な見方で物事を考えることにより,理解をより深めることもできるのではないかと考えた。 2.単元の目標
3.指導計画(全2時間)
4.授業の実際
具体的な活動を保障するために,子どもたちに正方形のブロックを10個ずつ配った。(実際に作る場合は,正方形の紙がよい。本校では,印刷屋さんから切れ端の余った紙で正方形を作って無料でいただいている) 問題場面の提示で工夫したことは,「□枚つなげる」という発展性のある形にしたことである。授業では,□=5の時までしか扱わなかったが,興味を持った子どもたちは,授業後,家庭学習などで□=6の35種類に挑戦していった。 □=1・2・3は,「回したら同じ」という見方で処理できる。既習であるこの見方には,子どもたちはあまり抵抗がなかった。種類が少ない段階では,落ちや重なりの意識がない。ここに目を向ける視点をもたせるには,「本当に2種類(3種類)しかできないの?」という発問が必要である。この発問によって,前の形の周りに新しい正方形を置いていくことで説明する子どもの姿が見られた。 □=4では,子どもたちから「5種類」と「7種類」という2つの答えが出てきた。「裏返す」と同じになる見方が出てくる。裏返す見方は,回す見方より難しかったようである。子どもたちから「裏返すことも,回すことと結局は同じ」という意見も出てきた。豊かな感覚で,回転についてとらえることができた子どもたちもいた。 □=5以上になると,種類も多くなるので,落ちや重なりの必要感がより高まる。子どもたちはグループになり,「何種類できた。」「それ,ダブっているよ。」など楽しみながら学習に取り組んでいた。 つなげてできる形を既習のずらす(平行移動),回す(回転移動),裏返す(対称移動)という見方を活用して整理することができた。つなげる正方形の数を増やしていくとできる形の種類が増えていく。「本当に○種類しかできないの?」と投げかけることで,直観的な操作から落ちや重なりを考えた手際のよい操作へ,より効率的な処理の見方へと高めていくこともできた。
右のワークシートを配り,テトロミノパズルで埋めてみようと問題場面を提示した。左側の正方形は簡単に埋まる。子どもたちは,多様な組み合わせで埋めていった。右側の正方形は, 必ず1つ穴が空く。「おかしいな。どうやっても埋まらないよ。」「絶対できないよ。」子どもたちから生まれる「どうしてできないのだろう?」という問いを全体で考えていった。子どもたちは,面積の学習と正方形4つ分でテトロミノパズルができる前時の学習を活用しながら,説明していった。操作的な表現から言葉での表現,式への表現へ,より的確な表現へと高めることができた。 さらに,正方形の枠の大きさを6×6以上に発展させ,埋められる場合を式で表現し見通しを持たせてから,テトロミノパズルを操作する活動を位置付けた。自ら課題を見出したり選択したりしてして,探究する姿が多く見られた。 8×8からは,手持ちのピースで対応できなくなる。友達のピースと合わせて,さらにに大きい正方形に挑戦していく姿が見られた 図形の構成を学習のベースとしながら,既習である広さを量として見る数量化の見方や考え方,それを式で表したり読み取ったりする式表現のよさを活用させたり,落ちや重なりを考える分類整理の処理の仕方など図形の学習と他の領域を関連付け,総合的な見方で考えることによって,より豊かな分かりが生まれることが実感できた。 5.参考文献
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