5年

平行,垂直の意味がわかり,生活の中に平行,垂直が    
たくさんあることを実感できるような授業をめざして    
熊本県山鹿市立千田小学校
田島裕子

1.単元名 平行・垂直

2.単元について

 児童はこれまで正方形,長方形の観察やそれらによる平面の敷き詰めなどの活動を通して,それらの図形の向かい合う辺を伸ばしても交わらないことや直角を二つあわせると直線ができることなど,二つの直線の平行,垂直の関係についての基礎となる経験をしてきている。この学習では,このような経験を生かし,平面上の二つの直線の平行,垂直の関係について調べたりかいたりしながらこれらの関係を理解できるようにすることをねらっている。

3.児童の実態

授業前に15分程度時間を取り,身のまわりから2直線を取り出させた。多くの児童が平行の位置関係を取り出していたが,2直線の位置関係のとらえ方に広がりがみられにくい。しかし,2直線を探し出すことについては抵抗が見られず,意欲的に時間いっぱい2直線探しをすることができる。


4.指導計画(6時間扱い)

小単元 学習内容 時間
平行と垂直
平行,垂直の意味と弁別
平行線の性質

(本時1/2)
平行や垂直な直線のかき方
平行,垂直な直線の作図
方眼上での平行,垂直関係のよみとりと作図
平行,垂直を使った長方形の作図
練習


5.授業の実際

(1) ねらい
平行,垂直の意味が分かり,弁別できる。

(2) この授業で工夫したこと
学習意欲を高めるために,児童に身のまわりの具体的な事象からいろいろな2直線を取り出させ,それを使って学習を進めていく。
平行,垂直の特徴に自ら気づきまとめていけるように,平行,垂直を同時に取り扱う。
自分なりの考えが持てるように一人一人にカードを持たせ,仲間分けをさせていく。
2直線の特徴をよりはっきりとらえさせるため,平行,垂直の定義や用語を知らせる前に,名前を考えさせる。
平行,垂直の意味を深め広げるために,見分ける段階で直線を伸ばして考えるものを取り入れる。
終末段階で,身のまわりから平行,垂直を探す活動を取り入れることで,学習したことが一人一人に身につくようにする。

(3) 授業の流れ
   
T みんなが身のまわりから見つけた2直線を紹介します。


身のまわりから2直線を取り出す。
C わたしが見つけた2直線がある。
 
C にている仲間があります。
C 仲間分けができます。


取りだした2直線を2つの仲間に分ける。
1 自分なりに観点を決めて仲間分けをする。
2 2直線の交わり方に着目して仲間分けをする。
平行,垂直の定義,用語を知る。
 
C 直角がある仲間と直角がない仲間に分けられます。
C 2直線がつながっている仲間とつながっていない仲間にも分けられます。。
 
C 2直線がつながっている仲間をさらに2つに分けてみると・・・2直線が直角に交わる仲間とそうでない仲間に分けられます。
 
T 2直線に名前を付けてみましょう。
 
 
C 直角があるので直角線という名前を付けます。平行線という鉄棒に似ているので,平行線という名前がいいです。
 
 
  教科書で用語と定義を確認する。
 
T 平行でしょうか。垂直でしょうか。


平行,垂直になっている2直線を見つける。
 
C 直線をのばしたらつながるのでどちらでもない。
 
C 平行だ。
C 1本の直線をのばしたら直角に交わるので垂直だ。


身のまわりから平行,垂直な2直線を探し,なぜ身のまわりには平行垂直が多いのか考える。
T これは平行ですか?
C 違います。
直線ではないので平行ではありません。
C 鉄棒の支柱が地面に垂直でなかったなら,落ちそうです。床と天井が平行でなかったなら大変です。


6.授業をふり返って

(1) 児童の声
身のまわりから2直線をいろいろ探しました。今日の勉強でわたしが探した2直線が出てきたので「よし,やるぞ。」と思いました。
「2直線に名前を付けよう」がおもしろかったです。ぼくは,特徴が分かる名前を考えて,直角線とつけました。教科書で調べたら,垂直と言うことが分かり,垂直の関係にあるものは,窓や黒板,ロッカーなど数えきれないくらいありました。
身のまわりには平行や垂直がたくさんあります。なぜかというと,平行や垂直がなかったら世界がゆがんでしまうとぼくは思いました。
遊具の吊り橋は平行かなと思ったけれど,友達が直線でなく曲線になっているといったので,平行ではないことがわかりました。平行や垂直はどんなものか言葉に戻って考えると(定義に戻って考えると)よく分かります。
体操で平行棒というのがあるけど床と鉄棒が平行だからその名前がついたのだと思いました。

(2) 成果
本時の学習に入る前に,業間の時間(15分)に2直線を探して絵で表したものを教材としたが,自分たちで2直線探しをしたものが教材になったことで子どもたちの学習意欲を喚起することができ,「2直線の仲間分けをしよう」という課題が自分たちのものになった。
一人一人にカードを持たせて仲間分けをしたり,隣の席の友達と意見を交流させたりしたことで,自分の考えをはっきりと持って話し合いに参加できた。平行,垂直の用語を知らせるときも,2直線の特徴を生かした名前を考えさせたことで,定義や用語をしっかりととらえることができた。
深める場で,三つの教材(どれも子どもたちが探し出した2直線)を考えさせたことで,定義に基づいて平行か垂直かを考えることができた。また,広げる場でも身のまわりから平行,垂直を探し出し,なぜ平行,垂直が身のまわりにたくさんあるのかを考えさせたことで,平行や垂直の特徴や有用性をとらえることができた。

≪広げる場面で平行,垂直があるかどうかを考えさせた教材≫
(サッカーゴール) (鉄棒) (総合ジム)

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