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規則性の発見を生かした能動的な学習の展開 〜「分数のたし算」の発展的な学習を通して〜 |
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1.はじめに 「考える力」の育成を視点において学習を展開する時,「問題解決学習」は欠かせない。問題解決学習というと,「問題をつかむ」「見通す」「考える」「話し合う」「まとめる」といったような段階に当てはめればよいという考え方がまだまだ見られる。しかし,形式的に段階に当てはめただけでは問題解決にはならない。与えられた問題に関わる過程において,子ども達自らが課題意識をもち,その課題を解決していこうとする授業を構成することが大切なのである。つまり,教師から「○○をしましょう」と与えられた問題を受動的に解くだけではなく,「なぜ?」「どうしたら解けるだろう」と能動的に問題に関わるようにすることが大切なのである。そして,能動的に学習に取り組むことが「考える力」を育てるのである。2.クイズを取り入れた授業 数字を使ったクイズは私たちの周りにあふれている。そして,授業にクイズを取り入れることはよくある。クイズは子ども達が大好きなので意欲的に取り組むこと間違いなしである。しかし,クイズをそのまま出題したのでは授業にならない。子ども達に発見や気付きがあったり,先に述べたように能動的な関わりを生み出すような手立てが必要がある。今回,取り入れたのは次のクイズである。
今回は6年生の単元「分数」の発展として授業に取り入れるため,分母を10にした分数に変えて問題にすることにした。 3.授業の実際 (1) 分数の計算問題を出す
(2) 番はどんな問題でしょう 次に「番はどんな問題でしょう?」と投げかける。子ども達が,「はっ?」「え〜?」と疑問の声を上げるだろう。同時に上の2問の問題にヒントが隠されているのでないかとじっと2つの式を見つめ始める。計算の途中の通分を見てみると規則性があることに気付き始める。
「あっ,分かった!」子ども達が能動的に関わり始める場面である。分子が順に並んでいることに気付いたら次の問題が次第に見えてくる。また,左項が2つ→3つ,右項が1つ→2つとなっていることから,「次は左側が4つで,右側が3つだ」というつぶやきがきこえてくるはずである。つまり番の問題とその答えはの関係から次のようになる。
子ども達は,計算問題を解くのではなく,見つけた式が合っているのかを確かめるために計算を始める。
さらに,教師から言われることなく番の問題を作り始める子どもも出てくる。子どもの取組が受動的から能動的に変わってきている。
(3) 番の問題の最初の数は? 自分達の発見に満足している子ども達に,次は「じゃあ,番の問題の最初の数は?」と投げかける。再び「え〜?」と声が響く。しかし,子ども達はこれまで見つけた式の中にヒントがかくされているはずだと再び式を見つめ始める。ここで大事なのは,最初の数だけを見つけさせることである。それは,式全部を見つけさせるのは長過ぎて子ども達が面倒に感じることと,これまでの式の最初の数に目を向けさせるためである。 最初の数を並べてみると…
「あっ,分かった!」分子の数列から新しい発見が始まる。それぞれの分数の分子を見てみると問題番号を2回かけた数(2乗)になっていることに気付く。つまり,
となっているのである。ということは,番の問題の最初の分数の分子は 10×10=100となる。つまり,
4 実践を終えて 子ども達は連続数のおもしろい関係式に驚きを感じ,また,自分達の発見をもとに学習を展開できたことに満足感を得ていたようである。教師から指示された問題を解くだけでなく,自ら次の展開を予想し発展させようとする態度は,このような経験をたくさんすることが大切である。私たちの身の回りにたくさん溢れている楽しいクイズをもとに授業を構成,展開してみてはどうだろうか。きっと考える事そのものに楽しさを感じ,算数好きの子どもたたくさんできるはずである。
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