5年
友達と学び合う,ワクワク算数の時間    
〜みんなで楽しむ算数の問題(特設課題)を取り入れて〜    
面積の学習から 「同じ面積に分けるには?」
神奈川県平塚市立山下小学校
山田 純子



 私の学級では,だいたい一単元にまとめの時間をとるようにしているのですが,特設課題(クイズ・ゲーム的なもの,子どもの身近な日常のトピックスから生まれたもの,少々解決に抵抗感のあるもの等)を取り入れることにしています。子どもたちはこの授業が巡ってくるのをけっこう楽しみにしてくれています。高学年になると算数嫌いが増える傾向にありますが,教室から外に出たり,実際の子どもたちのデータを使ったりして,算数的活動をより魅力的でダイナミックなものになるよう心がけ,算数が好きになってくれるよう工夫をしています。





 (1) 問題解決学習を取り入れた主体的な学習

多様な考え方が生まれるような問題の設定
多様な考えを生み出すための子どもたちへの具体的な支援

ワークシート
補助問題
グループの適切な人数,構成
友達に説明する場づくり→新たな発見
できた子どもには他のやり方を考えてもらう
 (2) 自らの考え方が学習の中で活かされる喜び,充実感のある学習

集団の中で個を活かす手立ての工夫
ネームカードの活用(学びの中の存在を示す)
発表でのクラスルール
 (3) 友達の多様な考えを知り,共有する面白さのある学習

算数科における話し合い活動の仕方の学習と習慣

 (4) 考える楽しさを味わえる学習

学習形態(授業の中での流れ)の工夫

一人でじっくり問題に向かう楽しさ

友達と考えを出し合い,ともに考える楽しさ

共有,高め合い

題材名「同じ面積に分けるには?」(2時間扱い;連続)

課題


T 「ワークシートを使い,自分なりの考え方で同じ面積に分ける方法を考えよう」

 * マス目の引いてある図形,引いてない図形の2種類を用意し選べるようにした。

C 「マス目のあるワークシートで数えながら面積を半分にしてみよう」

C 「直線を引いてみよう」

「長さを測って面積を求めよう」

C 「切り取ってみたらどうかな?」

ワークシートの用意

T 「グループで直線の引き方を考えよう」
 
C 「同じ数のマスを消していって残った長方形に対角線を引けばいいんじゃない」

C 「発表の準備をしよう」

「みんなで役割を決めようよ」


分からない子どもも,できた子どもの考え方を聞くことで,考え方や解答がわかる。また,クラスで決めた発表ルールにそって発表したりすることを通して画用紙にまとめるなどの役割を分担し,どの子も何かしらの形で参加することになる。
C 「ここだよ」

「うん,ここで正解だね」
 

T 「クラス全体で,考えたことを教え合おう」

C 「まず,面積44cm2を計算しました。それから,台形を考えて22cm2になるように直線を引きました。周りの長さで面積を知るのに必要な部分は測りました。」

C 「この部分と同じだけどんどん消していって残ったところを半分になるように線を引きました。」

「マスを数えて消していくの。」


いろいろな考え方を発表するグループのメンバーたち

   
 算数科におけるクラスのルール(みんなが授業に参加できるために)

 クラスでは,子どもたちが意見を出し合い,グループのメンバー全員が何らかの活動で話し合いや発表の場に参加できるようにいくつかのマニュアル的なものを考え掲示している。

 新たなものを思いつくとまた次に追加し,マニュアルを増やしていくようにしてる。

 この掲示物を見ながら,自分の活動を考 えている子どもの姿を見ることがある。

T 「いろいろな考えが出てきたが,それぞれの考え方について感想などを話し合おう」

「計算しなくてもマス目を使ってやる方法をしていたときが楽しくできました」

「面積を計算し,それを2で割って,それに合う形を取って直線を引く方法は考えつかなかったのですごいなあと思いました」

「長方形を考えたら,割り切れなくてダメでした」

「たくさん線を引いてきたBさん達のグループの発表に感動しました」

「わたしは思いつかなかったので,教えてもらい,やり方が分かりました」




実践を終えて

 考える力はいくつかの考え方や解答が出てきて,比べる場面があると伸びる。
多様な考えを引き出していくことが大切


 自ら学び自ら考える力は,教師と子どもとだけでなく,子ども同士の学び合いの中で豊かな力として身についていく。
「集団の学びの良さ」・・・体験,学習過程の豊かさがある


 子どもたちが,自信を持って自分の考えを表現することは,そうたやすいことではない。Aさんが意見を述べた時,うなずきや他の子どもたちの認めているという態度や声かけがあって,学習意欲が出てくるものだと感じる。

 子どもたち自ら,学びやすい雰囲気をつくったり,算数の苦手な子にとってクラスで作ったマニュアルは有効であったと思う。

 グループ学習の場合,算数の苦手な子の活動を保障する支援や工夫は不可欠であると感じている。

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