6年
ゲームで数の理解を深める工夫〜倍数〜    
山口県
1.さっさ立て

 さっさ立てというゲームは次のように行う。

1.25まで数を書く。2人で対戦する。
2.1の方から25に向かって交互に消していく。
3.消し方は,3個以内ならいくつ消してもよい。
4.最後に25を消した人の負けである。
 

 ところが,このゲームには,必ず勝てる作戦がある。後攻があるきまりにしたがって消していけば勝てるのである。そのきまりとは,いつも後攻が4の段の答えになるところまで数を消すのである。そこで,このゲームで倍数を学習することにする。一度に消せるのを5個にすれば6の倍数,一度に消せるのを7個にすれば8の倍数,一度に消せるのを2個にすれば3の倍数を導くことができる。

 子どもは,おもしろいと感じたことは試していこうとし,算数ではその活動が学習の追究になっていくのである。

2.本時のねらい

 さっさ立てを通して倍数の意味を理解し,それらを求めることができる。(考)(表)(知)

3.授業のポイント

  
ポイント1
 早く勝ち方が分かっていても,言わせない。
  
ポイント2
 勝ちを意識したポイントを少しずつ聞く。
  
ポイント3
 学習した倍数を広げていく。

 早くから勝ち方を見つける子もいるが,作戦として大切にとっておかせることでみんなで考える場を保障しておく。次に,勝ちを意識したポイントが4の倍数であることから,少しずつ明らかにしていきたい。また,ここでは,4が倍数を知る窓口になっているので,4の倍数は無限にあることや,6の倍数や8の倍数等もあることを拡張していきたい。

4.授業の実際(TTで)

きょうは,さっさ立てというゲームをします。−ゲームの説明−

試しにA先生とやってみようかな。A先生お先にどうぞ。

※A先生の負けである。

では,みんなもやってみよう。

勝ちのポイントが見つかった人がいるみたいだね。どこだろうね。25から下がりながら言うから,見つかったポイントに手を挙げてね。

今度は相手を変えて,もう一度対戦してこよう。やったら席についてね。

新しい勝ち方が見えた人がいるようだね。聞いてみよう。



ポイントが出てきたね。後攻が4 8 12 16 20 24をとると勝てるんだね。ホントかなあ。
だれかA先生とやってみてよ。−対戦して後攻が強いことを証明−
※授業はじめのゲームで,A先生を先にさせたことがばれる。

この4はどこからきたかな。

この4 8 12 16 20 24のような数を4の倍数といいますよ。では,ゲームを続けてしてみましょう。

 このあとは,じゃんけんで先攻と後攻を決めたら,勝負がついていった。そこで,子ども達は,ルールを変えていった。30まで広げたチームもあれば,消すのを5個までできるようにしたチームもあった。6の倍数なども出てきた。

5.終わりに

 はじめは倍数が見えていないが,ゲームに夢中になって勝ちを意識してくると,ぱっと倍数に着目し始める。そして,4の倍数により勝ち方が分かったら,それには飽きてしまって,ゲームの条件を変えながら新しい考えに移行していく。子どもは,自分で数の世界を広げることができる。発展的な学習がそこに成立していくのである。

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