2年
数量に対する豊かな感覚を培いながら,    
基礎・基本の確実な定着を図る算数科学習指導の実践    

〜第2学年「1000までの数」の学習を通して〜    
北九州市立鞘ヶ谷小学校
奥 浩太郎
1.はじめに

 算数科において,基礎・基本の確実な定着を図るためには,様々な作業的・体験的な活動を通して,数量や図形についての意味をよく理解したり,数量や図形についての感覚を豊かにしたりしていくことが大切である。とりわけ,特に低学年の時期において,具体物を用いた活動や,作業的・体験的な活動などを通して,数量や図形についての「豊かな感覚」を育てていくことが大切であると考えた。

2.本時の指導のねらい

(具体的操作活動を取り入れ十進位取り記数法による数の表し方の理解を図る。)


3.授業の実際

 (1)  前時の様子(235本の数え棒を数える活動)

 〔袋の中の数え棒をみての予想〕 (児童数 29人)
100本 200本 300本 400本 500本 1000本 2000本 5000本 10000本
2人 2人 3人 4人 6人 8人 2人 1人 1人



 〔実際に235本の数え棒を数えている活動〕
 「十,二十・・」と手にとって数えていく。
 数え棒を色分けしながら10あつまりをつくる。
 「十,二十・・」と,横に積み重ねていく。

 100までは,順調に「十,二十,・・」と数えていたのだが,100を超えたところから,10の束を片手に握りながらも「百一,百二・・」と数えたり,1本ずつ取りながら「百十,百二十・・」と数えたりする児童もいた。

 驚いたことに,実際に数えた結果,正解の235本を導き出した児童はわずか1名であった。この正しく数えられなかった結果が,次時の正確な本数を知りたいというめあてにつながった。


 (2)  本時の主眼

 ○ 数え棒を数える活動を通して,3位数(235)について,十進位取り記数法で表すよさを感じ,数の表し方や数の構成について考えることができるようにする。

 (3)  本時の展開

学 習 活 動教師の指導・支援と児童の反応
1. 前時の学習を想起し,めあてを知る。

めあて1

 数えぼうをかぞえたあと,だれが見てもわかるようにしよう。


C:「大きな輪ゴムはないですか」

C:「輪ゴムだと50までしかできないから」

100の束用に用意しておいた平ゴムを渡した。

2. 10の束をつくっていく。
(2人組で,数え棒を使って)
10の束→10の束が10こで100の束



T:数え棒を絵に置き換えて黒板に掲示する。

3. 絵と漢数字とを対応させながら読み,めあて2をつかむ。

めあて2

 ならべたかぞえぼうをすう字であらわそう。

4. 十進位取り記数法による数の表し方を考える。

5. 「235」のしくみを考える。

6. 数の表し方や数のしくみついての練習問題をする。



C:「20035」

T:「それぞれの位の束がいくつ?」

T:「こんなにたくさんある数え棒を正しく数えることができたね」

C:「2・3・5の数字を使って簡単に表せるんだね」


4.おわりに

〔成果〕

 この単元の後に学習した「たし算とひき算のひっ算」において,それぞれの数字が何を表しているのかを振り返るとき,児童の中に100の束や10の束を容易にイメージすることができた。このことは,くり上がり,くり下がりの計算の仕方を学習する際にも生きてきた。さらに,この学習においても,数え棒を用いて計算の仕方を見付け出していった。
 このことから,児童の中に豊かな数量の感覚を養っていくことができたと言える。

〔課題〕

 感覚を豊かにするために,具体物を用いた活動や,作業的・体験的な活動などに取り組むにあたって,教師が明確なねらいを持って操作活動を仕組んでいかなければ,単なる遊びになりかねないことに気を付けていかなければならない。

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