5年
円と正多角形       
山口県田布施町立東田布施小学校
河口 嘉彦
 この単元における「正多角形の学習」では,円との関係に着目しながら,それぞれの正多角形が持つ特徴や共通点を明らかにするとともに,その子の図形の世界をひろげていくことをねらいとしたい。そのために,日常生活の中から円との関係づけができやすいものとして,「こま作り」をする場や状況と出会わせることにした。

 ○ 正方形のこまとの出会い

 正方形のこまを提示したときの反応は様々であった。ほとんどの子どもたちは,回らないと考えていたので,実際にこまが回ったことに驚いていた。そして,「ぼくたちもこまを作ってみたい」という願いが出てきた。

<こま作りの材料は>

正方形の画用紙
(一辺が10p)
つま楊枝

 ○ 五角形のこま作り

 「この正方形のこまを切って,五角形のこまを作ろう」と投げかけた。子どもたちは,正方形のこまを作って回しながら,五角形のこまについてのイメージを広げていった。そして,下のような五角形のこまを作った。何度も回しては,修正を加えていった。

<子どもたちが作った五角形のこま>

 五角形のこま作りの結果,子どもたちは,どのタイプのこまも円や正方形のこまのときほど,よく回らないことに気づいた。このことから次のような願いや見通しを持った。「もっとよく回る五角形のこまを作りたい」「どんな形にすればいいかな」「正方形のこまや円いこまをヒントにするとできそうだな」

 ○ 自慢のこま作り

 子どもたちは,次のような2種類の形の自慢のこまを作り出した。

<子どもたちが作った自慢のこま>


 5つの辺の長さを等しくすれば,整った形ができてよく回るのではないかな」と正方形のこまから類推して考え,物差しとコンパスを使ってこまを作った。
(辺の長さに着目)

 軸のところから同じ長さにすれば,整った形ができてよく回るのではないかな」と,円いこまから類推して考え,コンパスで円をかき,円周上に点をうって作った。
(中心から頂点までの距離に着目)

 どちらの自慢ごまにも,整った形(正五角形)にしたいという願いがこめられている。実際に回して比べてみると,確かに最初の五角形のこまよりもよく回った。しかし,円や正方形のこまに比べると,まだ不十分である。子どもたちは,満足できず,新たに次のような問いを持った。「どのようにすれば,整った形(正五角形)に変えられるか」その問いを深めさせるために,下記のような教具を提示した。

<次の活動のヒント>


 可動式の五角形を自由に動かしながら,内角に着目していく。
「内角の大きさも等しくすればよい」

 可動式のものを自由に動かしながら中心角に着目していく。
「中心角も等しくすればよい」

 五角形のこまと出会った子どもたちは,「辺の長さ,内角の大きさ,中心から頂点までの距離,中心角の大きさ」に着目して,よく回るこま,つまり正五角形のこまを作り上げていった。

 その後,「もっと違う形のこまも作ってみよう」と,正五角形のこま作りのアイディアを正六角形や正八角形にも生かして,正十二角形や正二十四角形にもチャレンジしていったのである。その過程で,こまの形が少しずつ円に近づいていくことにも気づいていった。この学習は,円の面積の学習へも関連しているのである。


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