1年
大 き い か ず       
山口県田布施町立東田布施小学校
河口 嘉彦
 この単元では,数の構成(合成・分解)を通して,120までの数の見方や感じ方を伸ばすとともに,その子の数の世界をひろげていくことをねらいとしたい。そのためには,まずたっぷりと数遊びを楽しむ場や状況と出会わせたい。その活動を通して,1つの数を他の数との関係からとらえていく視点や10のまとまりを基準にした数え方のよさにも着目していくことを期待している。

○ その子の数の世界を表現する

 100〜120個ずつある学習具(おはじき,ブロック,積木)との出会いから授業を始めた。「この3つの中から1つを選んで,数遊びをしてみよう」と投げかけた。子どもたちは,数という言葉のイメージとそれぞれの学習具が持つ魅力とを加味しながら数遊びの場を選択していった。

<おはじきを使った数遊び>

 ・既習経験により,10ずつ並べていくことに慣れている

 ・

位取りの考え方に導きやすい


 友達といっしょに左手にのせたおはじきの数や両手でつかんだ数を競い合っていた。5個ずつ,10個ずつ,20個ずつと並べ方を試行しながら,より簡単に数える方法を数遊びを通して学んでいる。

<ブロックを使った数遊び>

 ・磁石がついているので,数の大きさを長さに置き換えてとらえやすい

 ・

数直線を使った考え方につながりやすい


 友達といっしょにジャンケンをしながら,取ったブロックをくっつけていき,その長さで勝敗を決めていた。10個分のブロックの長さを元にして,「10個,20個」と数えていた。

<積木を使った数遊び>

 ・並べたり,積んだりすることができるので,数の大きさを長さ,高さ,広さ,かさなどに置き換えてとらえやすい


 友達といっしょにジャンケンをしながら,取った積木を積んでいき,その高さで勝敗を決めていた。何度か積んでいくうちに,10個ずつ積むと数えやすいことに気づいていった。

○ その子の数の世界をひろげる

 子どもたちの数遊びへの集中度や期待度を見計らいながら,次の遊びへの誘いをすることにした。50枚の数字カード(1から50までの数字を書いたもの)を提示しながら ,「このカードだけを使って数遊びをしてみよう」と促した。

<数当て遊び>

 まず,50枚のカードを裏返しにして並べ,代表の子が1枚ほどカードを抜いて,そのカードの数字を他の3人が当て合う数遊びである。

(例)(34というカードを引いた)→「25かな」→「もっと大きい数字だよ」→「じゃあ,35かな」→「おしいな」→「あっ,わかった。36だ」→「どっちもおしいよ」→「ということは,34か37だね」→ 「うん。34だ」→

<神経衰弱遊び>

 まず,50枚のカードを裏返して並べて,1枚だけカードを引いて数字を見せる。そして,もう1枚を引いて,そのカードの数字が,最初に出した数字の前後であれば取れるという数遊びである。

(例)「あっ,43だ」→「42か44が出るといいね」→「38か。残念だな」→「今度は,28だよ」→「27か29を出してよ」→「あっ,30だ。あと1つだったのに」→「37だ。待てよ。38はさっきあったぞ」

<7並べ遊び>

 まず,50枚のカードの中から,「7,17,27,37,47」という5枚のカードを縦に並べる。そして,4人に残りのカードを配り,並べることのできるカードを選んで出すという数遊びである。

(例)「あっ,16があったぞ」→「48を出そう」→「ぼくは,8を出そう」→「やった。9が出せるよ」→「10は後でいいから,26だ」→「35が出せるように,36にしよう」→「35も早く出してよ。あっ,25があったぞ」

 このように,半具体物を使った数遊びから数字カードを使った数遊びへ誘うことにより,量の大きさや違いとしてとらえていた見方を数の大きさや違いとしてとらえようとしていくのである。また,集合数のみにとらえがちであった数字を順序数としてもとらえていくことができるようになる。ここに,数遊びを通した数の世界のひろがりをみることができよう。


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