時 数 | 活動の内容 | 主な発問と子どもの反応 |
1 |
[問いが生まれる活動]
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T | 「比べて何か気づくことはないか?」 |
S | 「どちらも円です。」 |
S | 「だんだん大きくなっている。」 |
T | 「何が大きくなっているんだ。」 |
S | 「面積」,S「直径」,S「半径」 |
S | 「円の周りの長さ」 |
T | 「同じことはないのか?」 |
S | 「半径の2倍が直径」」 |
S | 「直径の半分が半径」 |
T | 「それぞれの円には,半径,直径,周りの長さがある。半径と直径の間には関係があるのに,半径と周りの長さ,直径と周りの長さの間には関係はないのかな。」 |
S | 「何かあるかもしれない。」 |
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(2) | 一つのフラフープの周りの長さを測る方法を考える |
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T | 「このフラフープの周りの長さを測るにはどうしたらいいかな?」 |
S | 「巻き尺で測る。」 |
S | 「紐か何かを巻き付け,その長さを測る。」 |
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(3) | フラフープを1回転させて進む距離を予想する |
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T | 「こうやって1回転して調べる方法もあるぞ。 例えば,この長方形の周りを測るには・・・」
広用紙に一つのフラフープを使って円を写し取る。 |
T | 「このフラフープを1回転させるとどこまで進むだろうか?」 |
S | 「えっ,こんなに長いんだ。」 |
S | 「半径の6倍とちょっとあるぞ。」 |
S | 「直径の3倍とちょっとあるぞ。」 |
S | 「『ちょっと』をはっきりさせたい。」 |
問題 円周と直径,円周と半径の関係はどうなっているのだろうか。 |
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2 |
[調べる活動]
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T | 「『円周は直径の3倍とちょっと』の『ちょっと』をはっきりするにはどうしたらよいですかな。」 |
S | 「円周を調べて,『円周÷直径』を計算すればわかります。」 |
T | 「計算は電卓を使ってもよいですよ。 割りきれない時はそのまま電卓に出た8桁の答えを記録し班で平均を出してみましょう。」 |
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[探求的な活動]
写真4: |
直径10pの円で円周が直径の何倍かを出した班の一例 |
5×3.1=およそ15.5p 6×3.1=およそ18.6p 7×3.1=およそ21.7p 8×3.1=およそ24.8p 9×3.1=およそ27.9p 10×3.1=およそ31p
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T | 「みんなの調べた結果を見てどう思いますか。」 |
S | 「どれも, 3.1になっているので,そこまでは信じれそうだ。」 |
S | 「『3倍とちょっと』は『およそ3.1倍』だったんだ。」 |
S | 「後は,調べ方にずれがあってはっきりしません。」 |
T | 「では,円周と直径の関係を式に表すとしたらどんな式に表されますか。」 |
S | 「『円周=直径×3.1』です。 |
T | 「では,円周と半径の関係を式に表すとしたらどんな式に表されますか。」 |
S | 「『円周=半径×2×3.1』です。」 |
T | 「円の半径や直径がわかったら,その円周が計算で求められるんだね。すごいな。 今日使った6種類の円の円周を式で見つけるとしたら,どうなる。」 |
S | 「あっ!おもしろい!」 |
T | 「『おもしろい』って何だい?」 |
S | 「直径は1pずつ長くなっているのに,円周はおよそ 3.1pずつ長くなっていくんだ。」 |
S | 「他にもおもしろいことあるよ。」 |
S | 「ある,ある。2倍になると2倍になる。」 |
S | 「本当だ。半径が2倍になると円周も2倍だ。」 |
S | 「じゃ,3倍になると3倍なるのかな。」 |
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3 |
[身の回りにある物を用いた活動]
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T | 「教室に円の形はないかな。」 |
S | 「時計があるよ。」
教室の壁にある円い掛け時計を降ろす。 |
T | 「直径はどれくらいだろう?」 |
S | 「30pくらい」 |
S | 「40pくらい」 |
T | 「直径はどうやって調べようか?」 |
S | 「時計の針を止めてるところが円の中心だから そこを通る一番長い直線を調べたらいいよ。」 |
T | 「円周はどれくらいあるのだろう?」 |
S | 「70pくらい」 |
S | 「80pくらい」 |
T | 「円周はどうやって調べるの?」 |
S | 「昨日の『直径×3.1』で計算すればいい。」 |
T | 「誰か,直径を測ってみてよ。」 |
S | 「ええと,だいたい33pくらい。」
みんな,計算をやり始める。 |
S | 「102.3p」 |
S | 「えっ!1mくらいあるんだ。すごーい。」 |
S | 「本当かな。」 |
S | 「先生,巻き尺か紙テープない?」 |
T | 「紙テープがあるよ。ほら。」
一人の子がみんなの前で測ってみる。 |
S | 「本当だ。1mくらいある。」 |
T | 「円周がちょうど1mの物を作ってみたんだ。何かに利用できないかな。」 |
S | 「1回転すると進んだ距離は1m,2回転だと2m・・・,だから長さを測れるよ。」 |
S | 「そうだ。何回廻ったかで,距離がわかる。」 |
T | 「作ってみようか。」 |
S | 「やる,やる。」
少し時間が経って |
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(2) | 円周から直径を求めなければならない課題が生まれる |
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T | 何か困ったことが起きたみたいだな。」 |
S | 「円周がちょうど1mになる円の半径は何pにすればいいのかな?」 |
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写真7: |
長さはかりクルクルを使って廊下の長さを実測する様子 |
[作る活動,調べる活動]
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S | 「3.1 でわればいいんじゃないかな。」 |
T | 「どうして?」 |
S | 「だって,円周=直径×3.1でしょ。だから, 円周÷3.1=直径だよ。そしてその半分が半径だ。」 |
S | 「確かめ算みたいなものさ。」 |
S | 「じゃ,1mは100pでしょ。だから,1m を100pにして,100÷3.1がいい。」
みんなが電卓で計算を始める。 |
S | 「わかった!およそ32p3oだ。」 |
S | 「半径は16p1oくらいでいいんだ。」 |
S | 「よし,作ろう!」 |
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4 |
(4) | 円周1mの円を工作用紙器具を作り,実測する |
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| 名前は「長さはかりクルクル1m」と決まった。円周1mの円を作り始める。 自分の作った「長さはかりクルクル1m」で色々な距離や長さを調べる。 |
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5 |
[実生活に生かす活動]
[体験的な活動]
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T | 「円の直径がわかるとその円周がわかる。また円周がわかるとその直径や半径がわかる。 これを使って生活の中で見つけたいものはないだろうか。」 |
S | 「部活でバスケットボールの円周や直径を見つけたい。」
直径がボールの高さになっていることに気づかせ,その測り方を簡単にふれる。 |
S | 「運動場にある円形の運ていの直径からその円周を見つけたい。」 |
T | 「なるほど,いろいろありそうだね。運動会で走るトラックの長さはどれくらいかな。」
これについて,暫く話し合う場をもち,計算方法を確認し合う。 |
T | 「学校の大きなドングリの木を切らずに, その直径を求めることはできないかな。」
これについても,暫く話し合う場をもち,見通しが持てたところで。 |
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(2) | 教室の内外において,円周から直径を見つけたり,直径から円周を見つける活動をする |
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共通問題
1) | 運動場のトラック1周を求めよう。 |
2) | 木の周りからその直径を求めよう。 |
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自作問題
3) | 何か探して,直径からその円周を見つけよう,また,円周からその直径を見つけよう。 |
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自作問題として子どもが取り組んだ物
・ | 一輪車の円周や直径 |
・ | 防球ネットの支柱の直径 |
・ | 上り棒などの棒の直径 |
・ | 色々なボールの直径や円周 |
・ | 自分のももやうでの直径 等 |
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「算数的活動を積極的に取り入れれば,算数の授業が児童の主体的な活動へと転換するんだ。」と強く感じる。それは,子どもたち自身が算数を創っていくような楽しい学びだ。これからも,子どもの中に輝きを見出していく算数的活動を研究しながら,感動ある算数学習を子どもたちと共に楽しんでいきたい。