まずは,偶数や奇数の概念を規定している下記の場面に目を留めてみましょう。
この概念規定の「2でわり切れる整数」や「2でわり切れない整数」は,暗黙のうちに商が整数であることを指しています。実際,「わり切れる」とか「わり切れない」という表現は,下記のように第3学年の「8 あまりのあるわり算」で初めて導入されます。そこでは,商が整数で余りがあるかどうかで「わり切れる」「わり切れない」が判断されます。
しかし,除法の学習が進むにつれて,この表現の意味が変わってきます。例えば,下記の問題は,小数の除法の場面です。
ここでは,同じ「わり切れる」でも,商が小数の場合を含めて考えています。
このように,「わり切れる」の用語は,a÷bの商が有限小数になる場合にも使われます。そこで,商が整数の場合と有限小数の場合の違いを表す用語として,整除ということばを使うことがあります。先の偶数,奇数の意味をいい換えると,「2で整除できる数」が偶数であり,「2で整除できない数」が奇数です。ここでの考察の対象は整数であり,「わり切れる」が整除の意味であることをおさえて指導にあたることが大切です。