仮商と真商

仮商とは,文字通り仮の商で,真商に対応する言葉です。わり算の筆算では,まず仮商をたて,修正を加えながら,真商を見出していくのが常です。
例えば,252÷36 の場合,252を250,36を30と見立て,25÷3 で商8と見当づけます。ところが,実際に計算すると,下記のようになってうまくいきません。そこで,最初にたてた仮商の8を修正して真商を見出すことになります。

この方法は,252,36の一の位を切り捨てて250÷30と見て,除法では「被除数,除数を同じ数でわっても商は変わらない」という性質を使って25÷3の計算に帰着させて仮商をたてるやり方です。この方法では,仮商を1ずつ小さく修正して真商を見出すことになります。
上の方法と違って,被除数,除数を四捨五入して仮商を考える方法もあります。例えば,168÷28の計算では,それぞれの数を四捨五入で十の位までの概数にして170÷30 と考え,仮商5 をたてます。この方法は仮商を修正する回数が少なくてすむというよさはありますが,仮商を大きく修正したり小さく修正したりするケースが生じることが難点です。
わり算の筆算では,「たてて→かけて→ひいて→おろして→たてて……」というアルゴリズムで処理していきます。仮商をたてる段階も機械的な判断ですむようにということを意図して,教科書では切り捨てによる方法だけを取り上げていきます。