3年
『トキワハゼ』の秘密を知ったぞ!       
−草花の一生を「出店」で学ぶ−         
埼玉県飯能市立美杉台小学校
浜中 信宏
1.はじめに

 『トキワハゼ』とは草の名前です。日本全土の畑地,空き地,庭,あるいは道ばたなどの身近なところに見られる野草です。むらさきがかった1cmくらいの小さなかわいい花が咲きます。

 この草には「秘密」があったのです。
 それを我々は「出店」で発見したのです。では,その「秘密」「出店」とは一体・・・・・・?


 さて,3年生の『草花のつくりとそだち』の単元では,草花の一生について学習します。 草花の一生とは,種→双葉→本葉→花→実→種という一連の過程です。植物の育ち方にはこのような一定の順序があることを学ぶのです。

 私は,この授業で,身近にある野草を用いました。『トキワハゼ』もその1つです。
身近な自然地域の自然に対してもっと目を向けてほしっかったからです。そして,身近なところにも,よく見るといろいろな驚きや発見があるのだということに気づくと同時に,自然科学のすばらしさやおもしろさを感じてほしかったからです。

 また,今の社会にはいろいろな乗法があふれています。このような中で児童は,自分にとって必要な情報をしっかりキャッチする力を「生きる力」として身につけていくことが大切でしょう。少しでも児童にそのような力を,と考えて私がこの授業に取り入れたのが「出店」でした。

2.「出店」で発見!

 (1) 「出店」とはこんなもの

この1つ1つの班が「出店」です。

  (2) 「出店」のしくみ

1) 「出店」ができるまで

 児童は,草花の一生を調べるために,それぞれ1人ずつ身近な野草を春から秋まで育ててきました。そのときいろいろ発見があったのです。それらの発見の中で特に驚いたことを「秘密」としました。
 児童は一人ひとりが皆,「秘密」をもちました。そして,学習の最後にその「秘密」を発表することにしました。

 その発表のために,同じような種類の「秘密」をもっている者どうしが集まりました。
 そして,8つの班ができました。発表は,班で協力して行うことにしたのです。
 このようにして「出店」はできました。


2)

 「出店」の品物

 ですから,それぞれの出店(班)で出品するものは違っています。つまり,それぞれの班が,発表する「秘密」のテーマをもっているのです。そのテーマとは,
「花の秘密」,「葉の秘密」,「花のあと,実・たねの秘密」,「成長の秘密」などです。


3)

 「出店」で学ぶ

 発表は,1時間の中を3つに分けて次のように行われます。

発表プログラム

第T部

  2班 花の秘密について

  4班 葉の秘密について

  6班 成長の秘密について

第U部

  1班 花の秘密について

  5班 花のあと,実・たねの秘密について

  7班 花のあと,実・たねの秘密について

第V部

  3班 成長の秘密について

  8班 成長の秘密について

 児童は,自分の班の発表のときは,自分の「出店」にいます。それ以外のときは,他の出店を自由に見てまわることができます。
 ここに,はじめに述べたような「出店」を取り入れた理由があります。
  児童は,たくさんの発表内容の中から,自分は何に興味・関心があるのか,どんなことが知りたいのかを考えて見学する班を選びます。そうすることによって,見学するときは,大事なことを逃さないようにしっかりと見たり聴いたりするようになる,つまり自ら目的意識をもって活動するようになると考えたのです。


4)

 『トキワハゼ』の秘密

 実際の授業でも児童は,大事なことをしっかりメモしながら発表に注目していました。そして友達のこんな秘密発表を発見し,驚いた子がいたのです。その秘密とは,

 「『トキワハゼ』は,成長が早く,芽生えるとすぐにつぼみをもち,花を咲かせる!」

 「できた種は土にこぼれ,すぐに赤ちゃんが生まれる!」

 「だから,『トキワハゼ』は,どんどんなかまをふやすことができる!」

 といったことでした。

3.終わりに

 学習のまとめの授業というと,発表する側を主体として考えることが多いと思います。調べたことをみんなによくわかるように工夫して発表する。そのことも表現力を育むということから考えるととても大切なことです。しかし私は,今回,発表を聴く側を主体として考えてみました。このことによって,児童は,自分で観察し発表したことだけに納得するのではなく,友達の発表からも情報・データを集めて一般化するということを経験することができたと思います。たとえば,「多くの草花はみな同じような育ち方をする(一生を送る)。」というように。このようなことは,理科を学ぶ上で大切なことではないでしょうか。


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