3年
すてきな音を出してみよう     
−「音の出方と伝わり方」における教材の工夫−     
熊本県熊本市立川上小学校
中山 健二
1.はじめに

 音は大変身近なものです。私たちは朝起きて夜ねるまで音に囲まれて生活しています。あまりに身近すぎるために,音が聞こえることに疑問を感じたり,音の正体について深く考えたりすることなく日々の生活を送っています。

 子どもたちにとっても音は身近にある現象の1つです。しかし,「音は空気の振動が波として伝わること」というような科学的な理解をしているわけではありません。いろいろな物を使っていろいろな方法で音を出したり,音が出ている物を観察したりする豊かな経験を通して音に対する認識が深まるように進めていきたいと思います。

2.すてきな音を出してみよう!

 この時期の子どもたちは好奇心おう盛です。意外性のあるもので音を出し興味を高めようと考えました。そこで,ワイングラスを使うことにしました。音を出すといえば,ほとんどの子どもたちは,グラスを机の上に出したときから『割れたらどうしょう』と少し心配しながら,たたくつもりでいます。「たたかないで音を出すこと」と指示しました。

 子どもたちはこすって音を出すことに戸惑い気味で,音を出すことができませんでした。そこで,やってみせることにしました。グラスの不思議な音に子どもたちの意欲は高まり,自分で音を出そうと活発に活動を始めました。

【こすって音を出すコツ】

 (1) きれいに洗ったグラスを使う。

 (2) 手をきれいに洗う。

 (3) 手に少し水をつける。

 (4) きゅきゅと音をたてるような気持ちで軽くこする。

 音を出せるようになったら,グラスに水を入れます。音がするたびに水面が細かく振動し,驚きの声が広がりました。音が低くなることに気づく子どももいました。
 このとき,グラスから音が出ているときも震えていることを子どもたちは実感します。

 水を入れて音を出すことが重要なポイントです。これがなければ,音を出して遊んだだけになります。学習のまとめの段階で実施したほうが学習効果は上がるように思います。

3.ふえを作ろう!!

 材料はフィルムケースとストローとセロハンテープです。音がでる位置でストローを固定することに時間がかかりましたが,子どもたちは楽しく作って遊びました。比較的簡単に作ることができるし,空気の量を調整することで,簡単な曲を演奏することが可能です。

【作り方】
 

(1)

 フィルムケースの中央あたりにカッタで一辺5o程度の四角な穴をあける。音が出にくい場合は,少したて長にしたほうがよい。ケースのふたは使わない。あけたままでよい。けがをしないようにすること。

(2)

 ストロー(曲がるものが便利)を適当な長さに切り,あけた穴に当てて,音がよく出るところをさがす。

(3)

 音がよく出るところで,セロハンテープを使い,固定する。二人組でするとやりやすい。10〜15ぐらい角度をつけたほうがよい。

【遊び方・発展】
 


 ふたをつける部分を手前にすると,親指で空気を調整し,音の高さを変えることができる。


 半分ほど水を入れると,小鳥のなき声のような音がする。


 2個つなげて,穴を3つあけると親指より音の調整がらくにできる。


 工作用紙を利用して,紙のリコーダーを作ることもできる。

4.終わりに

 音の学習はアイデアしだいでとても楽しい学習になります。私が見たり聞いたりして実践したものですがお役に立てれば幸いです。


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