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科学的な見方や考え方を育成する理科学習指導法について |
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埼玉県A小学校 教諭 |
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小学校学習指導要領解説理科編では,科学的な思考力・表現力の育成を図る観点から,言語活動の充実を図るために,観察・実験の結果を整理し考察し表現する活動が重視するように示しています。そのためには,結果から予想や仮説と関係付けながら考察を言語化し,表現する活動を一層重視させていく必要があります。そこで,指導法の工夫改善を図り,問題解決の活動を取り入れ児童に科学的な見方や考え方を身に付けさせたいと考えました。
小学校学習指導要領解説理科編より抜粋
(1)「科学的」とは
実証性,再現性,客観性の条件を検討する手続きを重視する。
(2)「見方や考え方」とは
問題解決の活動によって児童が身に付ける方法や手続きと,その方法や手続きによって得られた結果及び概念を包含する。
自分の予想をもとに実験を行い,得られた結果を考察し,自分の言葉で記述することができれば,科学的な見方や考え方の基礎が身に付いてくるであろう。
そこで,「ふりこの動き」の単元を通して,以下の4つの具体的な手立てで取り組みました。
(1)児童の興味・関心に基づく課題の設定 (2)考えを表現し合う場の設定 (3)ワークシートの工夫 (4)学習活動の言語化 |
言語活動の充実 |
単元導入 | 7時間目 | ||||||||||||
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課題
「1秒ふりこをつくろう。」 |
課題 「AとBのふりこでは,どちらが1往復する時間は長いのだろう。」 | ||||||||||||
身の回りの物を使って,手作りふりこを作って遊びました。ただ作るだけではおもしろくないので,メトロノームに合わせて「1秒ふりこ」を作りました。子どもは,ぶら下げるものを変えたり,糸の長さを変えたり,ふれはばを大きくしてみたり,試行錯誤を繰り返していました。 | 上の実験では,ふれはば・糸の長さ・おもりの重さ全て同じ条件にしました。同じ重さでも,おもりを縦に並べたものと横に並べたものを用意しました。子どもの予想は,
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予想を立てる段階 | |
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「なんとなく」予想を立てるのではなく,「どのような理由で」予想を立てたのか,根拠を持たせるようにしてワークシートに記入させました。さらに,自分の予想と同じところに,名札を貼らせるようにしました。これをもとに,意見を交流します。ここでは,異なる予想の友達に納得させるような理由づけが言えるかどうかが大切です。また,交流した後,友達の考えを参考にして予想の変更も可能としました。このようにして,根拠のある予想を立てられるようにしました。 | |
考察の段階 | |
実験結果からお互いに意見を出し合い,吟味する活動を行いました。実験模型をもとにして説明を行い,友達の考えに対して詳しい説明を付け加えしたり,疑問に思ったことを考えたりしていくことで,結果の考察を深めることができました。 |
ワークシートを見れば,「問題解決の過程」が分かるように工夫しました。また,上記の「問題解決の過程」をもとに,児童の記述からも評価できるようにしました。
学習の振り返りでは,「予想・方法・結果・考察」を言語化し,自分の学習活動を整理させました。自力で記述できない児童には,「まとめ方カード」を参考にさせて指導し,どの児童も表現できるようにしました。 |
理科学習のまとめ方について
《まとめ方の例》 わたしは,(課題を書く)を調べるために,(実験方法を書く)の実験[観察]を行った。 わたしの予想は(予想を書く)だったが,実験[観察]の結果は,(実験結果を書く)だった。この実験から,( )ということが分かった。 |
★★児童の記述の変化★★
《児童Bの記述の変化》 私は,ヨウそえきについて調べ,でんぷんがあるとかっ色色になり,でんぷんがあると青むらさきになるということがわかりました。 |
ぼくはAとBのふりこがどちらが長いかを調べるためにふりこのじっけんをおこなった。ぼくのよそうはAが長いだったが,じっけんのけっかも同じだった。この実験からたてで同じおもさとよこで同じおもさで実験するとたてのほうが長く,よこのほうが短い(ふりこの長さ)ことがわかった。 |
《児童Cの記述の変化》 ヨウ素液をたらすと,でんぷんがないは,かっ色になります。でんぷんがありのほうは青むらさきになります。 |
ぼくは,おもりをふったときの1往復する時間の長さをしらべるために,おもりの重さとふれはば,ふりこの長さをかえる実験を行った。ぼくの予想は3つの実験全て変わると思ったが,実験の結果はおもりの重さとふれはばは変わらず,ふりこの長さを変えると往復する時間がちがった。この実験からふりこの長さを変えると時間が変わることがわかった。 |
●『予想・方法・結果・考察』の4観点について言語化できているかどうかについて,児童のノート記録の変容は,左図の通りになった。言語活動を充実させることができ,科学的な見方や考え方の基礎を身に付けさせることができてきていると考えられます。
△科学的なものの見方や考え方を育てるためには,中学年から系統立てた指導をすることや,より一層の実感を伴った理解を図るための授業展開の工夫をすることが課題です。
参考文献 文部科学省『小学校学習指導要領解説 理科編』