5年

実感を伴った理解を重視し
主体的に学ぶ意欲を育む取り組みの工夫
〜「ヒトのたんじょう」の授業実践を通して〜

実践研究会「絆」(帯広市)

1.はじめに

「ヒトのたんじょう」は,今回の学習指導要領の改訂により選択から必修になった単元である。児童はメダカの誕生について学んでいるが,学校で観察可能なメダカの発生の学習とは異なり「ヒトのたんじょう」については,市販のビデオ教材等以外で身近に実感を伴った理解や実生活との関わりを意識できる取り組みはなかなか難しい。

そこで,ここでは具体的な体験や主体的な問題解決を意識した実践を紹介する。

さらに,ヒトの命の連続性や偶然性,神秘性などを感じ取り,児童一人一人がたった一つしかない自分の「命」を大切にしようとする気持ちをはぐくむことができるような指導計画の工夫も図っている。

2.指導計画 全7時間

3.指導方法の工夫改善

(1)実践例<1> 「ヒトのたんじょう」

@「聴診器」で,自分や友達の心音を聞いてみよう。

<聴診器で心音を聞いている場面>
<聴診器で脈の音を聞いている場面>

A妊娠しているお母さん(クラスの保護者,自分の学校の先生などしっかり了解を得て)のおなかの中にいる赤ちゃんの命の証(心音)を聞いてみよう。

☆留意点☆

(2)実践例<2> 「ヒトの受精卵の育ち」

@おなかの中の赤ちゃんを見てみよう。

Aおなかの中の赤ちゃんはどのように大きくなっていくのかな。

妊娠5週
妊娠12週
妊娠16週

☆留意点☆

(3)実践例<3> 「発展学習」

@自分の課題をたてて調べたことを交流しよう。

〔例〕「ほかの動物のたんじょうについて」

☆留意点☆

4.実践の成果

日常生活においては,赤ちゃんの誕生に関わり,実際に学校で妊婦さんと関わる機会はそう多くはない。また,受精卵の育ちについても日常的に継続して観察することは難しい。本実践では,保護者や学校の職員の協力を得ることにより,単なる知識としての理解に終わることなく「ヒトのたんじょう」を実感を伴って理解することができた。また,児童の<調べた結果や感想>のところでも紹介したように精子と卵子の偶然的な出会いによって赤ちゃんが生まれてくることやお母さんのおなかの中で大切に守られて生まれてきたことを知ることにより,「命」の神秘性や連続性,偶然性などを実感し,祖先から続いている「命」の大切さに気付くこともできた。

この実践は,道徳教育の内容項目視点3の(1)「生命尊重」の授業で生かすことができた。


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