5〜6年

問題解決能力の育成

静岡県富士宮市立富士根南小学校
立古英之
 

1.はじめに

現在,各小学校で理科専科の設置がなされてきています。私は,理科専科教員2年目となります。この2年間は5,6年生の理科を担当してきました。5,6年生ともに1週間に3時間あり,内訳として1時間単位と,2時間続きの授業となっています。その中で日頃心がけていること,理科の授業の基本としていることを書きます。

2.問題解決型の授業

理科では,問題解決の能力を育てることが大切とされています。問題解決の過程として,課題予想計画観察・実験考察まとめ(新たな課題)があげられますが,授業の中に時間配分を考えて組み込んでいく必要があります。どの過程も大切ですが,1時間,2時間続きの授業の中では,単元や授業内容によってどの過程に重点を置くのか考えていかなければなりません。課題作りや,実験前の計画に時間をかけたり,実験後の考察に十分な話し合いの場をもうけたりと工夫しています。

科学的思考を評価する際,今までは,考察の過程にあると考えていましたが,計画の場面でも科学的思考を評価することができると考えるようになりました。予想をたて,どのようになれば予想があっているか,どんな実験をしてどんな結果がでればよいのかという「見通し」をもてることは科学的思考力が表れると思います。実験をやってから考える場合と,十分に「見通し」をもってから実験を行う場合があります。

3.授業の組み立て方

まず,授業の最後の「まとめ」で子どもたちが何と書ければいいのか,ここをスタートとして授業を組み立てます。言い換えれば,「まとめ」は本時の授業の到達している姿,評価規準達成の姿です。ここから考え,どのような課題を設定すれば,子どもたちがまとめでそう答えられるかを考えると課題が自ずと決まってきます。

課題は前の時間で子どもたちから出された新たな課題から生まれたり,導入から子どもたちの中から出されたりするのが理想ですが,教師側から提示することも多いです。しかし,課題は,答えがまとめに書けるように必ず「どうなるだろう」「どうしたらよいか」などの問いかけ型にしています。そして課題の答えが導けるように(課題解決のための有効な)手だて支援 を考えていくことで授業が組み立てられます。

4.ノートは1p(ページ)

今まで毎時間のプリントを活用しての授業,実験ごとのレポート作成などの授業も行ってきましたが,この2年間はノート作成に落ち着きました。ノートは課題からまとめまでをちょうど1ページにするようにしています。はじめは,半ページ程度で終わってしまい,続きの部分から次の課題を書き始めていた子も見られましたが,慣れてくると,実験図や結果の表などを適切な大きさで入れながら,ちょうど1ページでまとめられるようになってきています。1ページにすることは授業ごとに常に課題が1番上に来て,1番下にまとめが書かれているようになり,後で見たときに見やすく,学習の流れが分かりやすい点がよいです。

5.ノートの評価

授業後にはノートを集め評価をします。まず見るところは課題の答え「まとめ」の部分です。授業では「まとめ」の内容を黒板に書いていません。まとめの枠だけ書き,ヒントや補助のことばを与えたりしながら,子どもに課題の答えを自分の力でまとめていきます。よって,「まとめ」を見ることによって評価ができます。黒板にまとめを書いてしまうとそれを写してしまっているのでは,理解できたかを評価ができないと考えるからです。そのかわり,ノートで目標に達成していない子には,ペンを入れ支援します。

ノートの評価は A’ B Cでつけます。課題の答えが正しく書けていれば(目標を達成していれば)A’を基本として,さらに実験の図や結果のまとめ方がよく,新しい課題,感想なども充実しているものにはをつけます。Bは課題の答えが正しくない場合です。この「まとめ」の欄についても,慣れてくると課題の答えを書くことができるようになります。

多くの子がこのノート評価を期待し,をとりたいという意欲が見られます。

6.評価

このノートの評価は4観点の評価に連動していることを伝えてあります。ここでは配分は記しませんが,特に「関心・意欲・態度」と「技能」へ関連させています。評価規準を明示し,評価の共有化をしていくことは,評価の説明責任を担うとともに,分かりやすい授業となると考えます。

そして教師自身も評価をすることができます。

7.終わりに

これまでのとりくみで,問題解決の過程の定着,そして書く(まとめる)力をつけるという点で成果を感じます。一つのパターンを基本として,発展的な内容を扱ったり,ノートの掲示,指導を継続していくことで,理科に対する意欲,理科好きな子の育成につながると考えます。

<ノート>1Pにまとめよう。

課題 何と聞けば,本時の評価規準をクリアーするように 答えることができるか?自ずと決まる ×調べよう。○どうなるか? だろうか?

予想:最初の自分の考え,実験する前の自分の考え

計画 実験の図と説明:実験の図を描きます。注意や説明を入れます。(手だて・支援)

結果:自分の実験や班の実験した結果を表などに分かりやすくします。実験したようすを図で表す子もいます。

まとめ 課題の答えを自分のことばで書きます。本時の評価規準を達成した状態=A’の姿 子どものことばで表す 教師は書かない

評価 : A A’B Cで返します。

B,Cの答えの間違いには評価とともに,赤ペンで正答や支援を書いて返却します

(1) 関心・意欲・態度 (2) 科学的思考 (3) 観察・実験の技能
(4) 知識・理解 評価規準を伝え,評価の共有化を図る。説明責任と分かりやすい授業


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