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主体的な問題解決学習を促す授業づくりの工夫 〜「ふりこの動き」の実践を通して〜 |
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横浜市立菊名小学校 | ||
1.はじめに
学習指導要領の改訂に伴い,これまで「ふりこの動き」と「しょうとつ」の選択学習だった単元が,全員で「ふりこの動き」を学習することになった。理科の学習の中でもA区分は,実験結果が明らかで,子どもが思考を整理しやすいと考えられる。同じくA区分の前単元「電磁石の性質」に取り組む子どもたちの姿からは,知識として知っていたことが実験を通して体験的に,実感を伴う理解として自分の中に入ってくることを楽しんでいる様子が感じられた。そして,ますます理科が好きになったという子どもの声も聞かれた。 そこで,本単元では,これまでの学習を生かしながら,見通しをもって主体的に問題解決に取り組むことができる授業づくりを目指し,いくつかの工夫を試みた。
2.学習展開について
本単元で子どもに提示した問題解決学習の過程は,次の通りである。 問 題
結 論
なお,本単元の学習を終えたときのまとめは,次のようになった。
3.授業づくりの工夫
@ 学習の流れ・学習活動のポイントの提示
A 2人1組での実験
1人で実験する不安感もなく,また,友だち任せにすることもなく,どの子も意欲的に実験に取り組んだ。友だちと条件制御に気をつけて確かめ合いながら実験するよう促したことで,より自信をもって活動することができた。出た数値についても2人で話し合い,学び合う姿が見られた。
B 学び合う時間の確保
結果を書き入れる表は印刷したものを用意し,ノートに貼るようにした。(*1)
C ノート指導
D 実験器具の工夫
おもりの重さについて調べる実験も,ふれはばやふりこの長さの実験と同じように3段階,できれば2倍,3倍と条件を変えて実験できるようにしたいと考えた。そこで,インデックスのシールを使い,おもりの分銅を2個,3個に増やしてもふりこの長さが一定になるよう工夫した。その結果,子どもたちは正確に実験を行い,正しく理解することができた。
4.おわりに
これらの工夫により,子どもたちは見通しをもちながら主体的に学習することができるようになった。「もっとふれはばを大きくしても1往復する時間は本当に変わらないのかな?」「もっとふりこの長さを短くしたら,1往復する時間ももっと短くなるのかな?」など,共通の実験条件を超えた実験を自分たちから行い,学習を深めようとする子どもの姿がたくさん見られた。 また,第5学年で求められている資質,能力の一つである条件制御についても,変える条件と変えない条件を明らかにしながら実験方法を考えて3回実験する中で,定着を図ることができた。おもりの重さとの関係を調べる実験では,10gの分銅を7こ用いてふりこの長さが一定ならばどんなにおもりを重くしても1往復する時間は変わらないことを確かめた子どもが,分銅を縦につなげてあえてふりこの長さを変えて実験し,1往復する時間が変わることを確かめていた。 問題解決学習とは,子どもの「もっと知りたい」「本当か確かめたい」という思いを引き出す学習でもあると感じる実践だった。 |