3年
理科のノート指導            
北海道苫小牧市立豊川小学校
菊田 俊弥

 子どもたちの思考力を鍛えるために,ノート作業は重要だ。国語・算数同様,理科の学習でもノート指導をしっかり行いたい。私は,次のようにノートを使わせている。

 新学期にせっかく用意させたノートが,1年間を終えてもまだほとんど真っ白,という寂しい状況があってはならない。


1.観察記録をノートに

 動物や植物などの観察記録は,観察カードのようなものは用意せずに,ノートに書かせる。最初は少し大変で指導にも時間がかかるが,そこさえきちんと指導してしまえばあとはノートの方がいい。ノートに書かせるメリットは,

1 保管がしやすく,散逸が防げる。
2 記録が1冊のノートに時間順に連続して残る。
3 記録のチェックが楽。

など。

 互いの記録を見せ合いたいときも,ノートを広げてそのまま置いておくだけでよい。参観日などにそのまま置いておけば,保護者にもじっくり見ていただくことができる。

 3年生だと,初めはなかなか書けない子が多い。そういう子たちには「他の子のノートを見て真似してもよい」と伝えた。早く書けた子のノートを「これはいいノートだねえ」とほめながら教室の前にずらっと並べていく。それらのノートを,子どもたちはかわるがわる見に来て参考にしていた。もちろん,それでも書けない子もいる。その子たちのためには見本を作成しておき,それをそっくり写させた。



2.実験・観察を見開き2ページに

 「課題〜実験や観察の方法〜結果とまとめ」をノートの見開き2ページにまとめさせる。「見開き」というのがポイント。見開き2ページという限定があることで,

1 後で見直したときに,一つの実験・観察についての流れがひと目でわかる。
2 限定されたページに収めるためには,大事なことは落とさず,しかも簡潔にまとめなければならない。これを毎回繰り返すことで思考力が鍛えられる。
3 記録のチェックが楽。

となる。



3.単元のまとめを見開き2ページに

 各単元の学習も,見開き2ページにまとめさせる。用語の確認問題といっしょにこれをやっておくと,テスト前のよい復習になる。





4.トレーシングペーパーを常備

 教室にトレーシングペーパーを小さく切って用意しておく。教科書の図版は,(当然のことながら)ポイントを押さえた良質なものなので,そのままトレースするだけでも大変よい学習になる。子どもたちは必要に応じてトレーシングペーパーを持っていき,単元のまとめのときなどにきれいに写した図版をノートに貼り付けていた。

 また,ノート作業が早く終わった子にトレーシングペーパーを渡して昆虫の図版などを写させると,夢中になって取り組んでいた。作業の遅いことの時間調整にもなるし,写すことで昆虫の体のつくりなども学ぶことができていた。


5.参考文献

1 大堀真編著『向山型理科授業Q&A相談小辞典』(明治図書)
2 新牧賢三郎編著『向山・小森型理科授業 3年』(明治図書)
3 山ア一樹『ノート指導で読解力を鍛える』楽しい理科授業39巻2号p.60(明治図書)
4 瀧尾恵美子『勉強が楽しくなる見開き2ページノートまとめのすすめ』教室ツーウェイ364 p.51 (明治図書)

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