3年
3年生の理科学習における言語活動の充実            
〜「じしゃくのふしぎをみつけよう」の実践を通して〜       
宮崎県公立学校教諭

 単元を通して,書く活動を重視した。次の3段階で取り組んだ。

単元初期の段階
自分が発見したこと,不思議に思うことをカードに書く場を設けた。
単元中期の段階
自分がした活動を文章化する場を設けた。
単元後期の段階
実験内容,結果,結論を文章化する場を設けた。
また,理科だけでなく,理科で学習したことを素材に国語科の作文指導を行った。
国語科における関連指導


1.自分が発見したこと,不思議に思うことをカードに書く場

 単元の冒頭で,磁石を使った「自由遊び」を3時間実施した。
 1時間目は,U型磁石を一つ与え,自由に付くもの,付かないものを探した。
 2時間目・3時間目は,市販の磁石セットを使い,自由に遊ばせた。
 それぞれについて,発見したこと1つにつき,B6判カードに1枚ずつ書かせていった。
 途中で一度,自由遊びを中断して,「友達に教えたい発見」を一人ずつ前に立たせて紹介する場も持った。それをさらに,自分でもさせてみた。

 32名の子供達は,3時間の間に合計160種371枚のカードを書いた。磁化などを含め,3年生の理科学習で行うほとんどすべてのことがカードに出てきた。

<成果>

「内部情報の蓄積」の面から意義があった。のちの学習で,「〜だったから,〜だと思う」という意見が多くなった。
カードに書かせることで,枚数を競い合う状況が生まれた。

<課題>

大量にカードが書かれたため,全体の場で類別する時間がなかった。


2.自分がした活動を文章化する場

 単元の中期では,各授業時間末に,その時間に「したこと」を書かせた。
 その際,次のような文型を示して作文を書かせた。

 今日,〜について調べました。

 まず,〜をしました。

 次に,〜をしました。

 ・・・・・・・・・

 以下の例は,磁石に付くもの・付かないものを整理した授業で書いた作文例である。

<成果>

「したこと」を書く活動は,どの子供も取り組むことができた。作文の苦手な子供も,無理なく取り組めた。

<課題>

その授業で学んだことを端的にまとめる子供は少なかった。瑣末的なことも含め,ずらずらと書く状態となった。


3.実験内容,結果,結論を文章化する場

 単元の後期では,実験内容→結果→結論について書かせた。
 その際,次のような文型を示した。

 まず,〜しました。

 すると,〜なりました。

 だから,〜ということがわかりました。

 「まず,〜しました」は,実験内容の記述である。

 「すると,〜なりました」は,実験結果の記述である。

 「だから,〜ということがわかりました」は,結論の記述である。

 以下の例は,ゴム磁石の真ん中を切ったら,極はどうなるかを考えた時の授業作文である。

<成果>

学んだことが端的に示す文章を書くことができた子供が多くなった。
接続語を示すことで,無理なく,3年生なりに論理的な文章を書くことができた。

<課題>

結果と結論の区別が不明確になる子供もいた。


4.国語科での関連指導

 なお,理科の時間だけの作文のみではなく,国語科の時間における作文でも,理科を題材としたものに取り組んだ。

 自分のしたことを,読み手に順序よく説明することを目的にした作文である。(改行は原文通りではない)

 じしゃくのべん強

○○○○

 理科でじしゃくのべん強をしました。
 べん強をした中で,いんしょうにのこったことは四つあります。
 一つ目は,砂鉄のスライム作りです。
 二つ目は,切ってもきょくはあるかということです。
 三つ目は,NきょくSきょくはあるか,です。
 四つ目は,お金につくかつかないかです。
 はじめに,ひとつ目の「砂鉄のスライム作り」です。
自分で集めた砂鉄で作りました。
ざいりょうは,せんたくのり,砂鉄,ほうしゃ,水です。
はじめに,せんたくのりと,水をまぜました。
まぜたら,砂鉄も入れました。
そのあと,ほうしゃを少し入れました。
いっときまぜると,砂鉄のスライムができました。
強いじしゃくを近づけると,砂鉄のスライムがひきつけ合いました。
砂鉄のスライム作りはせいこうしました。
 次に,二つ目の切ってもきょくはあるかというのをせつめいします。
長いぼうじしゃくを半分に切り,NきょくSきょくはどうなっているか調べます。
わたしのよそうは下のとおりです(絵省略:筆者)。
じっさいにしらべてみました。
右がわがSきょくとしたときに,ぼうじしゃくのNをちかづけました。
すると,しりぞけあいました。
ぼうじしゃくのSをちかづけると,ひきつけあいました。
わたしのよそうははずれていました。
答えは,右がわがSきょくとしたら,その内がわは,Nきょく,左がわがSきょくになっていました。
 そして,三つ目のNきょく,Sきょくはあるかということをせつめいします。
 はじめは,ぼうじしゃくです。
 わたしのよそうは,ぼうじしゃくと同じようになっていると思いました。
 答えは,わたしのよそうと同じでした。
 そして,ドーナツじしゃくのことです。
 よそうは,表はSきょく,うらはNきょくと思いました。
 これもわたしのよそうとんまったく答えは同じでした。
 このじゅぎょうで,どんなじしゃくにもきょくはあるということがわかりました。
 さい後に,4つめのお金につくか,つかないかです。
 よそうは,百円玉だけじしゃくについて,ほかの,1円,5円,10円,50円,500円はつかないと思いました。
 答えは,全部じしゃくにつきませんでした。
 そして,おさつです。
 わたしは,「つかない」と思いました。
 答えは,つきました。
 おさつには,すごく小さなじしゃくがねりこまれているそうです。
 わたしは,びっくりしました。
 じしゃくのべん強をして,じしゃくのいろんなことがわかりました。
 また,じしゃくのべん強ができたら,じしゃくはだれが考えたかや,じしゃくはどうやってできたのかなどのことが知りたいです。
 じしゃくのべん強は,すごく楽しかったです。


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