| 天文台からの出前授業 | |
−児童にナマの星空を体験させる− | ||
大阪府枚方市立船橋小学校 西村 一洋 |
1.はじめに 新学習指導要領が実施され,1年が経過した。新学習指導要領では,学習内容が3割削減され,天文分野もかなり減っている。天文分野のカリキュラムは,旧学習指導要領では3学年で「太陽の影の動き」,5学年で「太陽・月の動き」,6学年で「星の動き」を実施していた。新学習指導要領では,3学年で「影の動きと太陽の位置調べから太陽の動きを考える」と4学年で「星座を観察し,星には色や明るさの違いがあることを見つける。時刻を変えて,星座の位置や並び方を観察する。昼間や夜に見られる月の動きを観察する」と3・4学年だけに実施することになっている。このあと星の学習をするのは,中学校の3学年である。月の学習については,中学校3年間には出てこない。 このような中で,新しく総合的な学習が登場している。そこで,天文学習を総合的な学習でかなり補えると考えている方も多いと思われる。しかし,天文をテーマにして実践している学校がどれだけあるのだろうか? 天文を中心とした総合的な学習を実施するには,社会教育施設からの働きかけが,かなり重要なポイントになると考えられる。前任校でも,天文を中心とした総合的な学習を実施してきた。そして本稿においては,理科として実施した星空観望会の実践報告を行うことにした。 2.単元について
3.天文台からの出前 天文台から来ていただいたのは,大阪教育大学天王寺天文台スカイクルーの人たちと枚方市野外活動センターステラホールカウンセラーの人たちである。大阪教育大学天王寺天文台スカイクルーの人たちには,体育館で人間星座をしていただいた。また枚方市野外活動センターステラホールカウンセラーの人たちには,天体望遠鏡を持ってきていただき月・惑星・恒星を見せていただいた。 この星空観望会の前には,天体望遠鏡による昼間の白い月を観察させたり,毎日変化する太陽黒点の観察も経験させた。また総合的な学習で,「太陽から地球環境を学ぶ」をテーマに行ってきたため,天体についてはいろいろと体験をさせてきた。かわべ天文公園とインターネットで結び,太陽表面が時々刻々と変化する様子をリアルタイムで送ってきていただいた。「近傍の惑星」について学習したときは,大阪教育大学天王寺天文台とインターネットで結んで行った。「宇宙の広がり」について学習したときは,国立天文台三鷹キャンパス結んで行った。「地球と同じ環境の星を求めて」について学習したときは,国立天文台ハワイ観測所と結んで行った。 このように天体については,子どもたちはいろいろな体験をしてきたのであった。そこでこれらの体験をふまえ,ナマの星空を体験させたいために,今回,天文台からの出前授業を計画したのであった。 まず体育館で行った,大阪教育大学天王寺天文台スカイクルーの人たちによる人間星座。 人間星座とは,何人かでチームを作って,各自が懐中電灯を手に持ってかざし,星座の星の配置を再現するものである。バックミュージックの聞こえる中,星座解説をしていただいた。また惑星の話も子どもたちにわかるように,まるで紙芝居を聞いているような感じであった。暗い中,子どもたちにとっては,とても印象深いものであった。 第2部は,枚方市野外活動センターステラホールカウンセラーの人たちに持ってきていただいた天体望遠鏡で,ナマの星空を見せていただいたのである。
観望した天体は,月・木星・土星・シリウスなどであった。天体説明はもちろん,子どもたちから出たいろいろな質問にも,わかりやすく答えていただいた。ナマの星を天体望遠鏡から見て,子どもたちはとても感激していた。 4.まとめ 子どもたちは,ナマのものにふれさせる体験をして,身につけることができると思う。天文の単元がかなり削減された今,体験がとても大切なものではないかと考えられる。またこの天文の学習が,今後の彼らの星に対する興味のきっかけになることを願っているしだいである。 謝辞 大阪教育大学天王寺天文台スカイクルーの方々および枚方市野外活動センターステラホールカウンセラーの方々,無償ボランティアで来ていただき,ここにお礼を申し上げたい。 | ||||||||||||||||||||||||||||
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