現行学習指導要領が平成24年度入学生から適用となり,統計に関する内容が必修化されました。長期休暇の課題などで対応してきた学校も多いと思いますが,センター試験の必答問題に出題されたことによって,悩まれている先生方がいらっしゃるのではないでしょうか。そこで,今回は「啓林館 数学Ⅰ 改訂版」の指導書に付属しているワークシートを利用した指導の記録を残しておきたいと思います。
指導書付属のDVDに収録されています。生徒が書き込むこと,プリントの枚数を考え,A3サイズ片面に2ページ分で両面印刷しました。ちょうど見開き2ページで見やすいように構成されているので,1ページずつの印刷は避けた方が扱いやすいと思います。
教科書 | 内容 | 授業時数 | ワークシート | |
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1 | pp.154~160 | 中学の復習,四分位数 | 1 | pp.2~8 |
2 | pp.161~163 | 箱ひげ図とヒストグラム | 1 | pp.9~11 |
3 | pp.164~166 | 分散,標準偏差 | 1 | pp.12~15 |
4 | pp.168~172 | 散布図,相関係数 | 2 | pp.18~23 |
5 | 問題演習(節末・章末問題) | 1 |
中学の復習が多く,それぞれの値をどのように求めたかの確認が中心でした。四分位数で注意すべきことは,データが奇数個のときの中央値(Q2)を,Q1とQ3を求めるときに,含んで考えてしまう生徒がいることです。
例えば,1,2,3,4,5の5つのデータで,中央値の3を含んだ左側の1,2,3から考えてQ1を2としてしまうのです。データが偶数個の場合には,中央値がデータの中に表れないのでこの間違いはありませんでした。
箱ひげ図は,データの分布のおおまかなようすを見るのに便利かもしれませんが,実際には,箱ひげ図から分布がわかるわけではなく,箱の中やひげの部分の分布は読み取れないので,p.163の箱ひげ図とヒストグラムの関係を説明するときは,とても気をつかいました。
偏差の2乗の平均値の式と,変量の2乗の平均値から変量の平均値の2乗を引いた値の式を,どのように使い分けるかの説明が必要になります。変量が大きい数だったり,小数だったりしたときに違いが感じられます。
また,p.174節末問題2のような,分割して与えられた平均値と分散から,全体の平均値と分散を求めるタイプは丁寧な解説が必要でした。
分散と標準偏差で精一杯の生徒がいますので,共分散の求め方は丁寧に行いました。ワークシートに用意されている例14の表がとても助かります。変量が与えられている場合は,表を作成し,偏差や偏差の2乗などを求めておくと楽になることが実感できたようです。
ワークシートは,授業の進み具合を調節できるだけでなく,特にこの分野では,データを黒板に書き写す作業は避けたいので,利用価値が高いです。式変形などは生徒自身にやらせてみたいところもありますが,いまどきはコンピュータを用いて処理することがほとんどなので,値を求めることを重視して問題ないと思います。是非ワークシートをご活用ください。
センター試験にも出題された,データの変換については補足の説明が必要でした。
p.173節末問題1のような問題です。参考までに。