1) | 社会情勢
物は質的にも量的にも豊かになってきています。この物質的な豊かさとはうらはらに,人々の心の豊かさは薄れてきています。物質的な豊かさは子どもたちに多くの誘惑を投げかけ,子どもたちの心を揺り動かし,正しい判断力,よりよく生きようとすることへの価値観を低下させる要因となっています。このことは,急激な社会の変化や情報化の進展により,人々の価値観が多様化してきていると言ったほうがよいのかもしれません。
更に,多くの家庭では,共働き,核家族化,少子高齢化,高学歴願望が進んでいます。このような社会の変化により,家庭での親子のふれあい,地域での子ども同士の交流・子どもと大人の交流も少なくなり,人間関係の希薄化が進んでいます。
本校においても,子どもたちの心の問題が深刻化しています。いじめ問題,授業放棄,喫煙などの非社会的な問題行動や反社会的な問題行動があります。
本研究を通して,子どもたちの心に起因する様々な問題を解決し,人間としてよりよく生きていく力(生きる力)を育成していきたいと考えました。
生きる力としての豊かな心をはぐくむためには,道徳の時間の充実を要として,教育相談やカウンセリングを生かした授業の充実を図ることが重要です。また,体験学習やボランティア活動を実施し,人とのかかわりの中で心を耕すなどの心の教育の推進を図ることも重要です。 |
2) | 教育目標から
本校の教育目標は,
『 | 平和な民主国家の一員として,心身共に健やかで,知・徳・体の調和のとれた実践力のあるたくましい人間の育成をめざす。』 |
です。この目標は,「生きる力」とも一致しています。この目標実現のため,本校の目指す生徒像を次に示します。
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1. | [道徳教育]
あいさつのできる生徒、掃除のできる生徒 |
2. | [基礎・基本の確実な定着]
進んで学ぶ生徒 |
3. | [総合的な学習の充実、選択教科の充実]
考える生徒 |
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研究主題『生きる力としての豊かな心をはぐくむ道徳教育の創造』は,本校の目指す生徒像の実現でもあります。 |
3) | 生徒の実態から
多くの生徒は,全体的には明るく素直で,挨拶もよくでき,勉強にも熱心で真面目に取り組んでいます。クラブ活動にもほとんどの生徒が参加し,練習に励み,市内大会でも好成績を収めています。しかし,現代の子どもたちの特徴もあわせ持っています。これらの子どもたちが,人間としてよりよく生きていけるように,「豊かな心」の育成が急務です。 |
4) | 研究の方向
現在の子どもたちの心の状態を「豊かな心」にしていくために,道徳の時間を中心にどのように道徳教育を展開すればよいかを研究していきたいと考えています。さらに,本研究では,「豊かな心」を『新しい時代を拓く子どもたちが身につけるべき生きる力の核となる豊かな人間性』(中央教育審議会答申)としてとらえ,答申において示された豊かな心の観点で研究していきます。 |