栃木県市貝町立市貝中学校 市村 政幸 |
1.はじめに 筆者が今まで行ってきた理科の授業は,科学の系統性を重視し,教師サイドである程度,筋道を立てたものが中心であった。従来の授業には,生徒の発達段階を重視して単元が構成され,適切な教材が配置されているため,多くの知識をスムーズに伝達できるという長所がある。反面,どうしても記憶を中心とした知識を詰め込むような授業に陥りがちで,生徒の主体性や創造性,思考力などを十分に育てられなかったという反省もある。 また,現行の学習指導要領では,ゆとりの中で自ら学び,自ら考え,問題を解決する「生きる力」を育むことが大きな目標として掲げられている。中学校理科でも「目的意識をもった観察,実験」「探究的活動の実践と問題解決能力の育成」など,いくつかの改善のポイントがあげられている。 そこで,知識を詰め込む学習から,自ら学び,自ら考える学習への転換を図りたいと考え,理科の授業における問題解決学習の可能性について探ってみた。 2.問題解決学習の基本型と思考の流れ 問題解決学習を理科の授業に取り入れるにあたり,生徒の活動を三つの過程に分けた基本型を考え,さらに問題の把握から解決までの思考の流れを詳しく分析した。
3.問題解決学習が効果的に活用できる単元 問題解決学習は,通常の授業に比べて学習に時間がかかり,すべての単元で行うのは無理である。そこで,問題解決学習が効果的に活用できる単元を洗い出し,指導計画に位置づけた。 【効果的に活用できる条件】
【効果的に活用できる単元】
問題解決学習が効果的に活用できる条件に当てはめて考えると,表の赤色部分の8単元が問題解決学習に適することがわかった。やはり,2分野より1分野の方が生徒の多様な発想や試行錯誤の面から効果が期待できる。また,観察,実験の自由度を考えると,物理分野が適している。 4.問題解決学習を活用した授業のモデルプラン 3で洗い出した8単元について,授業のモデルプランを作成した。一つの授業を5〜6時間扱いとし,1時間ごとの詳しい指導案(展開のみ)も考えた。次に示すのは,その一例である。 5.授業での実践 作成したモデルプランをもとに授業を行った。1年1分野2単元の「蒸留」に関連する部分での実践記録である。
6.問題解決学習を取り入れた効果
〈参考文献〉
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